~惑星間移動装置 ステラ~
こんにちは!こんばんは!初めまして!
痺れるたんたんめんと申します。機械×魔法ってやっぱり惹かれるものがありますよね。今回はそんなテーマを初作品として選びました。
学校帰りの人、仕事帰りの人、主婦として家事にいそしんでいる方、その他にも、この世界を精一杯生きる皆様を、少しでも元気づけられるような、そんな心が熱くなる物語を書いていきたいので、応援よろしくお願いします!
それでは長くなりましたが、本編をどうぞ。
【出力上昇! 制御不能! 出力が規定値を……】
なぜこうなった……制御装置は確認したはずだ。何度も確認した。異常など一つもなかった。
それなのになぜ。
「……ドワード! ……エドワード!」
鋭い声が、思考の底に沈みかけていた私を現実に引き戻す
「はっ……ビアン先生!」
「エドワード! 私が何とか時間を稼ぐ! 君だけでも逃げるんだ!」
「先生……! だめだ !それではあなたが……」
目の前で幾重にも重なる円環が青白い光を発し始める。
クソ! 何を間違えた!
私は必死に思考を巡らせる。
時は数時間前にさかのぼる……
「みなさん、こんにちは! レポーターのアルマです! 今回は話題の惑星間移動装置『ステラ』のお披露目会に参加しています!」
「2030年に人類が火星に居住できるようになってから5年、今度はその星への移動が非常に簡易的になる装置が開発されたということです!さて、さっそく『ステラ』の開発者であるビアン博士の一番弟子と名高い、エドワード博士に詳しく話を聞いてみましょう!エドワード博士、よろしくお願いします!」
「えー、みなさんこんにちは、『ステラ』開発エンジニアのエドワード・サイトです。
今回は最新型動力『マキシム・エンジン』を使うことによって、理論上は星間飛行も可能です。まあ、今回接続するのは火星ですがね。地球からなら5秒とかかりません」
「とても素晴らしい発明ですね!このような発明をするには困難が付きものだと思いますが、そういったところはどのように乗り越えたのでしょうか?」
「……。仲間のおかげ……と言いたいところですが、やはり個々の頭脳レベルの高さでしょう。特にビアン先生は尊敬に値します」
「……あはは。師弟の絆の強さがよくわかる回答でしたね!ありがとうございました!」
当たり障りのないことをいう。レポーターとは大変な職業だな。そう思いながら私は『ステラ』のもとへ最終調整に向かった。
今日はお披露目会ということで、『ステラ』を実際に起動し、選ばれた参加者に火星に飛んでもらうのだ。
エレベーターを降り、様々な生体認証を通過し、最後の扉を抜けると、目の前にいくつもの円環を組み合わせたような巨大装置が現れた。
何度見ても美しい。私はそれに少し見とれていたが、忙しく動き回る研究員の足音で現実に引き戻された。
「エドワード! 少し遅かったな。テレビ対応は万全に終えたか?」
口ひげがたっぷりと蓄えられている細身の男が気さくに話しかけてきた。
私の物理工学の師匠ビアン・カルカスその人であった。
「ええ。まったく問題ないです」
「お前がそういうときは、大体何かとんでもないことを失言したときだがな」
まったく、師匠は手ごわい。最後の質問の回答は少し世間とはズレたことを言ってしまったとは思った。だが、事実だ。
「それより、『ステラ』の調子はどうです?」
「安定しているよ。驚くほどにね。君は『マキシム・エンジン』の制御の最終確認を頼む」
「わかりました。」
すぐに私は『マキシム・エンジン』の制御プログラムの最終チェックに入った。これが終われば、いよいよお披露目だ。私とビアン先生の至高の一作だ、失敗は許されない。
最終チェックを終え、『ステラ』は地下研究室から地上の実験エリアへと、専用リニアレールで運ばれた。
我々科学者も地上に出ると、そこには報道陣や各国の科学者、観覧券を抽選で得た一般人が多数いた。
『ステラ』が実験台に固定された。
そして……起動のときが来た
「いよいよだな……エドワード」
先生は希望に満ち溢れた瞳をして語りかけてきた。
「はい……我々の発明の一つの到達点です。確実に成功しますよ」
「うむ。ではみなさん! 『ステラ』を実際に起動させ、今回抽選で当たった5名を火星に送ります! まず装置を起動させますので、5名はまだ近寄らないようにお願いします!」
先生が起動プロトコルを入力し、一瞬見慣れない座標列が表示された。
【起動開始。】
機械音声が告げる。
「先生、今の数値は?」
「公開実験用に追加された補正値だよ。政府に依頼されてね。校正が間に合わなかったから今回は使わないが……」
確かにその座標は、起動系統から切り離されていた。
「相変わらず仕事が細かいな」
「先生に鍛えられましたからね」
先生が苦笑する。私はそれ以上気に留めず、制御盤に視線を戻した。そうして話していると、『ステラ』が低い駆動音を響かせた。
【エネルギー充填完了。座標を確認。エネルギー放出開始。】
私たちの最高傑作が、産声を上げたのだ。
そして私は一安心……できなかった。なぜならその産声が悲痛な絶叫に変わっていたからだ。
通常ではありえない機械の軋む音がステラを駆け巡る。
「なっ……なんだこれは」
私は思わずつぶやいた。
【出力上昇! 制御不能!】
機械音声が無情にも事実を伝え始め、混乱に陥いる。
「エドワード! システムが異常をきたしている! エネルギーが臨界点を超えた!」
先生は制御盤にしがみつき、猛烈な速さでコードを入力しながら、私に告げる。
「このままでは暴発する…… 私が時間を稼ぐ! 君は逃げろ!」
だめだ、それでは先生が……
「もう時間がない! 君は私が教えた中でも一番の天才だった……君だけでも生き残れば、世界はさらに発展する! 行け !私の……自慢の弟子よ」
先生が振り向く。その姿は激しさを増す青白い閃光に照らされていた。
「さあ、行け!」
私は走り出した。なぜ先生を置いて逃げたのかはわからなかった。ただ、あの瞬間は体が勝手に動いていた。
だが、もう遅かった。青白い閃光が私の体を包み、視界を塗りつぶした。
最後に見えたのは先生が私に何かを叫んでいる姿。だが、『ステラ』のきしむ音でその声は、私には届かなかった。
私と先生が生み出した最高傑作はまるで、泣いているようだった……
今後、ストックが尽きるまでは一日に一回のペース(原稿が早く書き終われば早めに投稿します)で投稿を進めていきたいと思いますのでよろしくお願いします!
読了後の評価、ブックマーク等してくださると、私としても嬉しい限りです。
さて、エドワードは一体どうなってしまったのでしょうか?
一話も同時公開していますので、気になった方は読んでみてください!




