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第274話 一騎打ち

皇帝がいたのは、魔王のいた場所。


いや、皇帝だった人間がいたのは、あるいは、人間だった皇帝がいたのは…だ。



「ふぅ…。

 これでもう、後戻りはできない…な…。」


皇帝だったナニカは、そう呟いた。


「え…。

 い、いったい…?」


その光景に一同は理解が追いつかない。



皇帝の姿は…魔族のように…、いや、まるで魔王のように変わっていた。



「これが【パンドラ】の最後の能力だ。

 自分と同じ生物をベースとしたボスモンスターとの融合。

 …こうなってしまえば、もう…元には戻れない。

 なんと名乗ろうか…。

 魔皇帝…といったところかな。」


悠々と話をする魔皇帝。


【全能の権化】を使っているロックですらその圧倒的な威圧感の前に動けない。


「ちなみにダラダラと話していたのは、涅槃珠が出てくるための時間稼ぎだ。

 魔王に心酔していた魔族を、混戦に乗じて魔王に殺させたのさ。

 他の魔族は命に関わるような命令は聞かないが、あの魔族だけはもともと魔王に依存していたからな。

 少しは役に立ったようだ。」


「くそ…!

 命を…物のように扱うなんて…!!」


「俺以外の命には興味がないもんでな。

 安心するために利用するだけだ。

 繋がりなどないほうがやりやすい。

 ほら、偉そうに語ってた繋がりとやらでどうにかしてみたらどうだ?」


「くっ!」


拒否する体を無理矢理動かし、皇帝へと立ち向かうロック。


【神速】で死角に入り、[武技]を叩き込もうとする。


しかし、魔王がやっていたように、魔皇帝の周りには風の魔法が渦巻いていた。


それも、数段強い威力。



「ぐあああっ!」


【守護神の加護】に守られているロックがHPを6割削られるほどのダメージを受ける。


ロックの傷をすぐに癒すティナ。



「おお、かなりダメージを受けたみたいだな。

 まだ【魔神化】も使っていないんだが…。」


「な!?」


あまりに絶望的な言葉に、ショックを隠しきれないロックたち。


魔王と戦った時に、【魔神化】の恐ろしさは身に染みている。


それを今の強さの魔皇帝が使えば…。


それに、[呪い]も涅槃珠や融合で解けているようだ。



「みんな…!

 絶対に追いかけてこないで!!」


今のロックですら大きなダメージを受ける魔皇帝の魔法。


他のメンバーがくらえば、間違いなく即死だ。


ロックは大きな声で追いかけてくるなと伝え、スキルを発動した。



「【神速】!!」


魔皇帝に触れられる位置に移動するロック。



「…ぐっ!」


風の刃がロックを切り刻む。


それを耐えて、再び【神速】を発動するロック。



ロックと魔皇帝がその場から消えた。



ロックのMPは膨大な値になっており、かなり離れた場所まで【神速】で移動できた。


すぐに魔皇帝から離れるロック。



「離したはいいが…、もう死にそうじゃないか…。」


呆れた様子の魔皇帝。


彼にしてみれば、一時的に移動しようがどうでもいい。


人間の姿を捨てたからには、全てを破壊し、支配するしか道が残されていないのだから。



瀕死となったロックは、持っていた涅槃珠を使った。



「ほう。

 涅槃珠を持っていたのか。」


ロックが回復することも、魔皇帝にはさして興味もないようだ。



迂闊に近づけないため、範囲攻撃の[武技]を放つロック。


だが、魔皇帝の纏う魔法と相殺され、届かない。



「この状態の魔法を相殺するとは…攻撃力は侮れんな。

 手を抜いては危険か。」



どうやら魔王と融合して、スキルもそのまま引き継いでいる魔皇帝。


であれば、魔力は上がっても耐久力はそこまで変化していないはず。


[武技]を当てることができれば、倒せる可能性がある。


だが、【魔神化】されては完全に勝ち目がなくなる。


被弾を覚悟で、【神速】を発動するロック。


魔法に耐えながら、魔皇帝の死角から[武技]を振り下ろす。



…しかし、その手に手応えを感じることはなかった。



融合によりステータスが上がった魔皇帝にとって、ロックの攻撃を避けることは難しくなかったのだ。



「【魔神化】を使うまでもなかったな。」


そう言いながら、魔王はロックに極炎を魔法を放った。



「うぐぁああ!!」



ロックの命を奪う一撃。



「…一度殺したくらいでは、気持ちが晴れんな…。

 築き上げてきたものが崩れるのは…、どうしようもない喪失感だ…。」


炎に包まれたロックを見ながら魔皇帝はため息をついた。


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