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第265話 大勢は…決した?

ユニークスキル【槍神】を託して、デルベルトは逝った。


初めからそのつもりだったのだろう。



ロックはファルクの元に移動する。


「グァ!?」


1箇所にまとまるのは危険なのに、なぜきた!?とばかりにロックを睨むファルク。


魔王からの攻撃魔法が2人を狙う。



「【スキルギフト】。」


魔王の魔法に耐えながら、【槍神】をファルクへ渡すロック。


そして、すぐにその場を離れる。



スキルを受け取り、ファルクは【豪龍化】を解いた。



「逝ったのか…。」


槍を握りしめ、一瞬下を向いたファルク。


だがすぐに前を向く。



「ありがたく、使わせてもらうぜ…!」



ユニークスキル【槍神】による[武技]を放つファルク。


それは、魔王の魔法の一部をかき消した。


相手の魔法と近い威力を誇り、さらにユニークスキルでの[武技]だけが成しえる現象だ。


【剣神】を持つデイジーも試してみたが、攻撃力が足りなかったようで、同じことはできなかった。



【神速】を持つハンナ・デイジーとイライサの戦いは、なかなか決着がつかなかった。


お互い【神速】で攻撃を避けるため、決定的な一撃を当てることができないのだ。


ハンナは2人分の移動でMP消費が大きいが、【神の恩寵】でなんとか使い続けられている。


イライサはデイジーの剣を一撃でも貰えば致命傷なので、必死で避け続けている。


当然、魔王への援護はできなくなった。



魔王vsロック・ファルク。


そして、ティナとミラが後方から2人を支援する。


ティナの【光輝の壁】や回復魔法、ミラの[シールド]が途切れれば、ロックとファルクはいつ死んでもおかしくない。


戦況は好転してきているが、それでもギリギリの戦いであった。



「…ロック。」


戦いの中、ハンナの【神速】でデイジーがロックの側にやってきた。


ハンナはすぐにイライサの対応に戻った。


「デイジーさん!

 ここは危険ですよ!?

 どうしました!?」


「…【剣神】、使って。」


「え!?」


「…ロックなら、これで魔王に対抗できる。」


「でも、このスキルは…。」


【剣神】はデイジーの師匠である前サンジャータ国王から受け継いだものなのだ。


「…構わない。

 …勝って。」


「…ありがとうございます…。」


ロックは【剣神】を受け取り、持っていた【剣聖】を渡した。


デイジーはニコッと笑うと、ハンナの元へと戻っていった。


「これが…【剣神】…。

 これなら…!」


自身に襲いかかる魔王の業火にむけ、[武技]を放つロック。


その[武技]は炎を切り裂いた。


全てを相殺することはできなかったが、【光輝の壁】の効果もあり、ダメージをほとんど無効化することができた。


ファルクは少なからずダメージを受けているが、【再生】の効果もあるので、十分に戦える。



「ぐっ…!

 人間風情が…!!」


魔王が完全に押され始めた。


ティナとミラの援護がなければ魔王に勝機はあるが、ロックとファルクを無視して彼女たちを倒すことは不可能。


他の魔族やモンスターの手助けも望めない。



「だが…、お前たちに我は倒せん!

 我が死ねば、お前たちの大事な恋人や仲間も死ぬぞ!?」



魔王はロックたちがイーザやリッチェルを切り捨てられないことを知っていた。


ユニークスキルは相手を倒せば手に入るが、魔王を倒してスキルを奪った時、魔族たちがどうなるかはわからない。


だが、それに賭けるしか道はない。



「それで自分の安全を確保したつもりか?

 甘えんだよ。」


ファルクの[武技]が魔王の肩をえぐった。



「ぐあっ…!!」



その隙をつき、ロックの剣も魔王の脇腹を切り裂いた。



「ぐ…お…っ……。」



ステータスUP系のスキルには、全て時間制限がある。


魔王の使った【魔神化】も例外ではない。


MPを半分消費した上に、20分間しか効果を発揮しない。



「え、MPが回復しない…!?」



魔王側にいた【神の恩寵】の使い手は2人。


1人はロックによりそのスキルを奪われた。


冒険者側は戦いながら、まだ【神の恩寵】の使い手がいることを感じていた。


戦いながらその使い手を見定め、アッサールが仕留めたのがつい先ほどであった。



そのタイミングで魔王の【魔神化】はタイムリミットを迎えた。


攻撃魔法でMPを消費していた魔王は、もう【魔神化】を発動することができない。


こうなれば、もう魔王になす術はない。



「魔王様っ!!」



魔王の危機に、イライサたちS級魔族たちが無理をして助けに入る。



だがそれは悪手であった。


ただでさえS級冒険者の相手で手一杯。


その状態でロックの目の前に姿を晒してしまえば、【スキルスナッチ】を防ぐことはできないからだ。


イライサの【神速】を始め、数人の強力なスキルがロックにより奪われる。


魔族たちもその危険性はわかっていた。


それでも魔王を助けるために動いたのだ。


しかし、リスクを冒した特攻も、S級冒険者たちやロックの分裂体により、何の成果もあげられなかった。



ロックたちはダメおしにクローディアに頼み、【吸魔】で魔王のMPを吸い尽くした。



「ぐっ…。

 だが、我を殺せばお前らの大事な仲間は…」


「黙れ。」


ファルクが魔王の喉元に槍を突きつける。


しかし、ロックたちは魔王を倒していいかどうか、最後の決断ができなかった。


スキルを奪っても殺してしまえば、魔族も一緒に死ぬ可能性は少なくない。



それでも、やるしかない。


ロックが剣を持つ手に力を込めた。



その時。




「やめるんだっ!」


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