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第128話 アルカトル防衛戦14

「だが、もう瀕死のはず!

 もう連れ帰らずに、この場で殺してやる!」


そう、欺くためとはいえ、あまりにリスクが高すぎる作戦だ。


最初の時点で【ミラーシールド】を奪った状態だったため、回復手段もない。


だが、瀕死ではなかった。


【再生】を奪って回復していたのだ。


魔族側にとって本体の見極めは重要だとわかっていたので、分裂体を積極的に倒しには来ないだろうという目算もあった。


再び分裂をさせると、その時点で本体がわからなくなるためだ。


魔族が冷静であれば、風の刃で受けた傷が治っていることに気付けただろうが、最初に放った魔族側の最大威力の攻撃を【光輝の壁】も使わず直撃を受け、さらに単身突っ込んできた時点で、本体候補からは外していたのだ。


魔族・モンスターは全員でロック本体へ集中攻撃を仕掛ける。


空の魔族もその状況を見て、本体側に矢を射る。


分裂体2体が防御に徹して本体を守り、背後からティナやもう1体の分裂体が攻撃を仕掛ける。


リーダー格の魔族は依然操られたままで、仲間を攻撃し続けている。


モンスターたちは操られていない手負いの魔族を庇いながらロック本体へ向かう。


鵺と2体いるうちの1体のマンティコアが攻撃を捌ききれずに力尽きた。



ガサッ。



木の上から微かな音がして、【隠密】を使っていた魔族がロックに襲いかかった。



キンッ!



どこかに潜んでいることはわかったいたので、警戒させていた分裂体の1体が攻撃を受け止める。



ズンッ…



もう1体のマンティコアも倒された。



「空にいた魔族が逃げてくよ!」


その時、グリフォンに乗っていた魔族が逃走を始めた。


「追いましょう!

 ロックの能力を伝えられたら、後々厄介なことになるわ!」


ミラとティナ、ロックの分裂体1体がグリフォンを追う。



「くたばれっ!」


ダメージを蓄積していた分裂体の1体が魔族の強烈な斧の一撃によって倒された。


しかし、ロックは【乗り移り】で身動きが取れず、新しく【分裂】をすることができない。


それでも、魔族たちが戦況をひっくり返すことはなかった。


「く、そ…っ。」


まず、リーダー格の魔族により、思いもよらぬ一撃を受けてしまった魔族が力尽きた。


そして、乗り移られた魔族と分裂体により、【隠密】スキルを持った魔族も為すすべなく事切れた。


残ったリーダー格は身動きを取れないまま分裂体の攻撃によって命を落とした。



【乗り移り】が解除されたロックは分裂体とともに、ティナたちが向かった方へあとを追っていった。




グリフォンに乗った魔族はティナたちを矢で牽制しながら飛行していた。


追いつけないスピードではないのだが、木や岩などの障害物があり距離が離れていく。


さらに、目の前に山が見えてきた。


「山を越えられたら、逃げられてしまうわね…!」


しかし、打つ手がない。


結局、グリフォンとその背中に乗った魔族を逃がしてしまった。


そこに、ロックが追いついた。



「ごめんなさい、ロック。

 逃がしてしまったわ…。」


「しょうがないよ。

 みんな無事で魔族を倒せてよかった…。

 …戦場へ戻ろう。」


「そうだね。

 あっちにいるモンスターも逃げてくれたらいいけど…。」


ロックたちは息つく間も無く戦場の方へ戻っていった。




…ドドドド…。



しばらく進むと、遠くから地鳴りのような音が聞こえてきた。


「モンスターだ!

 すごい数のモンスターがこっちに向かってきてるよ!」


「魔族がいなくなって、引き上げてるんだ!

 巻き込まれないように、どこかに避難しよう!」


ロックたちは急いで進行方向を直角に変更し、小高い丘の上に駆け上がった。



2〜300体くらいだろうか。


無理矢理に生活するエリアから駆り出されたモンスターたちが生息域に帰っていく。


冒険者たちも無理に追うことはない。


戦いは、終わったのだ。




『レベルが上がりました。』


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