第126話 アルカトル防衛戦12
風の刃がロックたちに到達したと思った、その瞬間。
半透明の盾が現れ、[エッジストーム]を反射した。
「【ミラーシールド】か!
情報にないスキルばかり…!」
ロックが最後に奪ったスキルが【ミラーシールド】であり、ミラの【光輝の壁】と重ねがけしていたのだ。
ただ、分裂体にはかけられないため、分裂体たちはダメージを負ってしまった。
刃の嵐が今度は魔族たちを襲う。
その途中にすでに魔法の直撃を受けたロックがいるが、魔法の長所として、敵味方の判別をつけられるという特徴がある。
「<ミラーシールド>!」
魔族側も【ミラーシールド】を唱える。
1度反射された魔法が【ミラーシールド】に当たった場合、反射されず消滅する。
魔法が行ったり来たりするようなことはないのだ。
「な、なに!?」
しかし、【ミラーシールド】は発動しない。
「「グァああああ!!」」
魔族とモンスターたちが風の刃に切り刻まれる。
【光輝の壁】を持つグリフォンも対応できなかったようで、やっとのことで自分自身にだけ発動できたようだ。
大きなダメージは受けたが、即死した魔族、モンスターはいなかった。
だがそこに[エッジストーム]に紛れていたロックが切り込んでいく。
「ぐあぁっ!!」
魔族の1人を仕留めた。
「くそっ、分裂体か!
一体なんなんだ!?
[オールミドルヒール]!」
敵全員が淡く光り、傷が癒されていく。
切り込んだロックは囲まれる前に距離を取る。
「分裂体は倒してもまた増やされる!
本体を叩くぞ!」
リーダー格の魔族が指示を飛ばす。
切り込んできた分裂体の方は警戒だけしつつ、本体の方を狙う作戦だ。
「空から狙い撃ちにしてやるわ。」
弓を持った魔族がグリフォンに乗り、上空へ飛んでいく。
そして、範囲攻撃の[武技]を放ってくる。
「くっ!」
【光輝の壁】と特殊魔法のシールドによりダメージを防ぐことができた。
分裂体も剣で防いでいる。
だが、ずっとは防ぎきれない。
その上、こちらの攻撃は届かない。
「ここじゃ狙い撃ちされるわ!
森の中に入りましょう!」
開けた場所にいたら完全に不利なため、木が生い茂る方へ避難する。
「はぁ、はぁ…。
空から矢で攻撃されると、何もできないね…。」
「そうね…。
他の魔族の能力もわからないし…。」
「…!
きたよ!」
「予定通りロックの分裂体に突破口を開いてもらうしかないわね。」
ティナとミラを守るように動いていたロックの分裂体が、敵の集団に接近していく。
もともと突っ込んでいた1体と2体による挟み撃ちとなった。
基礎ステータス的にはロックの分裂体が圧倒的に優位だが、スキルによってその差を埋めることができる魔族とモンスター。
7対3では分が悪いが、分裂体は倒されてもMPがある限りまた増やすことができる。
ダメージを顧みず、敵を1体ずつ集中して狙う。
ダメージを吸収する【深淵の闇】に【再生】も持つ異常個体のアモンが分裂体をまとめて引きつける。
その間にロック本体を狙うため、他の敵が接近してくる。
だが、分裂体は【深淵の闇】を使えてタフなはずのアモンをあっさり倒した。
「なに!?
【深淵の闇】や【光輝の壁】が発動してないぞ!?」
ダメージを半減するスキル【光輝の壁】を使えるグリフォンの援護を想定していたのだが、明らかにダメージが軽減されていない。
【深淵の闇】や【再生】も発動していないようだ。
陣形が崩れる魔族側。
魔族たちはロックたちが【ミラーシールド】スキルを発動したため、攻撃魔法を使えない。
ティナは【全能力50%UP】を発動して弓術の[武技]を放っていく。
接近しながら近距離からの[武技]を完全に躱すことは難しく、確実にダメージを与えていく。
こちらでも【光輝の壁】が全く機能していないことに動揺しているようだ。
「[オールヒール]!」
回復しながらタイミングを伺っている魔族たち。
陣形が崩れ、なかなか接近できないようだ。
上空の魔族は、仲間と敵の距離が近いため、範囲攻撃ではなく単体への[武技]に切り替えたようだ。
上空の弓を持った魔族から強烈な矢が飛んでくるため、ロックたちも気が抜けない。
弓を防ぎながら、魔族たちへの接近に備える。
その時。
ミラの動きが急に止まった。




