まだ試験があるだと?
「369じゃなくて336でしょ?まったく…昔から変わらないわね。それに試験に来てるなら行ってくれればよかったのに。」
「わぉ。ノーティの彼女さん?綺麗な人だねぇ。」
「いや、全く知らない人だよ?そもそも人生も今も彼女いない歴=年齢だ。」
誇れることではないのだが。
ノーティは自分の発言でと悲しくなったがそれよりも、「昔から」と言われて幼馴染より先に彼女という関係性を思いつくという予想の斜め上をいくマーティロの思考に驚いた。
「じゃ、なんで話しかけてきたんだろうね。」
「人違いかな?聞いてみるか。」
こちらの話は一切耳に入っていないようだった。
「まあ、話聞いてる感じだと受かったみたいね───」
「あの…えっと、どちら様で?」
「へ?ちょっと、冗談はよしてよ……あれ、誰?カイザルじゃないの?あれ?あれ?もしかして人違い?」
女性は冷静そうな外見からは予想もできないほど慌てていた。終いには、
「ってことは私、知らない人に話しかけてたの?どうしよう…もうお嫁にいけないわ…。」
と言いながら泣き始める始末だ。
「こうなったらお嫁にもらって───」
「そんな簡単にあげちゃだめだぞー。婚約者はちゃんと選ばないと。ね、ノーティ?」
人差し指を立てながらこちらを向くマーティロ。
「おう、そうだな、なぜ俺に聞くかわからんけど。」
「だって、ノーティそういうの疎そうじゃん。」
「うっ。」
心外だ…、とも言えないのか。
暫くすると俯いたままの女性が鼻を啜りながら
「ごめんなさい。気が動転してしまって…あの、名前聞いてもいいかしら。」
と言った。
「俺はノーティだ。よろしく。」
「えっと、ボクも挨拶したほうがよさそうかな?ボクはマーティロだよ。よろしく~。」
「私はツァリ=カイザ。よろしく。」
自己紹介が終わるとマーティロが「折角だから3人で合格のお祝い会しようよー。」と提案してきた。
「おーいいね。」
「でしょでしょ?ツァリさんは?」
「いやよ、なれ合うのはすきじゃないのよ。」
「えー、人が多い方がいいよ。ノーティもそう思うよね?」
うーん。放ってはおけないよな…
「そうだな。その方が賑やかで楽しいよ。だからツァリ、付き合ってくれないか?」
「「え!?」」
「つつつ、付き合うってノーティってば、大胆だねー」
「え?」
「そんな、付き合うなんて、今出会ったばかりなのに?」
「え?」
マーティロもツァリも顔を赤くしている。
こちらを見つめてくる空色の瞳と群青の瞳に吸い込まれそうになったが弁解を急ごうと思い我に返った。
「いや、なんでこうなるの!?」
結局、ノーティが2人の誤解を解くのに30分かかった。
誤解も解け、三人で打ち上げの話をしていると、
「あの~、」
「ん?あなたも行きたいのかしら?」
話しかけてきたおとなしそうな子にツァリが声をかける。
「いや、そうではなくて…。」
「人が多い方がいいし大歓迎だよー。」
「そういうことじゃなくて…。」
この二人には聞こえていないのだろうか。
「どうしたんだい。」
ノーティが優しく問うとこう答えた。
「お楽しみのところにすみませんが、まだ試験ありますよ…?」
「「「え?」」」
そんな馬鹿な。
彼女いない歴=年齢とか悲しくなる…




