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結論から言うと、ルート先輩はミーシャ相手でも反応した。

女と経験がなかっただけで実は両刀なのか、単なる生理反応なのかは分からない。

何はともあれ、お互いのある意味一番大きな懸案事項が解決したことになる。

そのまま朝まで2人でくっついて寝たその日は、ミーシャにとって特別な日になった。








ーーーーーー


ひたすら仕事が忙しい毎日を経て、いよいよ冬季休みになった。

ミーシャもルート先輩も、とてつもなく緊張していた。ダメと言われることはないだろうが、こればかりは蓋を開けてみないことには分からない。


転移陣を使って実家に戻る。

マーサがいつもの笑顔で出迎えてくれる。緊張して、いつもよりぎこちなかったのかもしれない。

マーサが不思議そうな顔でミーシャを見上げた。


善は急げと、その夜、両親たちに2人から話があると切り出した。間を置いて緊張が長く続くのを避けるためでもある。



「リチャード様。マーサ様。ご令嬢を俺にください」



ルート先輩が真剣な表情でそう言って頭を下げた。



「ん。いいぞ。持ってけ」



即答である。



「軽っ!」



ミーシャは思わずツッコんだ。



「えー。だって、ルート君ならこっちからお願いしたいくらいだもの」


「だなぁ。ルート君、ミーシャをよろしく頼む」


「はいっ!」


「ミーシャ。良かったわねぇ」


「……うん」


「おめでとう、ミーシャ」


「ありがとう、父様」


「結婚したらどうするの?このまま王都に住むの?」


「いえ、ミーシャにも薬事研究所から打診があったそうなので、俺もこちらに移ろうかと考えています」


「お、それはいいな。薬事研究所所長がルート君のこと、ずっと欲しがってたから喜ぶな」


「そうね。腕のいい薬師は大歓迎だもの」


「ありがとうございます」


「家はどうするんだ?」


「どこか、借りようかと考えています」


「あら、それなら家に住めば?ていうか、ルート君の体質考えたら家の方がいいわよ?」


「あ、それがあったわね」


「領館の部屋も余ってるし、家に住むといい」



ミーシャはルート先輩と目を合わせた。



「先輩の体質考えたら、私もそっちの方がいいと思います」


「うーん。じゃあ、ご厄介になるか?」


「はい」


「では、こちらでお世話になります」


「うん。家族が増えるな」


「ふふっ。そうね」



リチャードもマーサも嬉しそうに笑った。



「結婚式はどうするの?」


「こちらでしようかと考えてます。俺は身内がおりませんし、呼ぶのは職場の方くらいなものですから」


「家の転移陣使って呼んでもいい?」


「いいわよぉ。宿も家で手配するわ」


「ありがとうございます」


「ありがとう、母様」


「いーえー。ドレス作ったりすること考えたら、大体春先くらいかしら?」


「そうですね。春から此方に移りたいと思います」


「ねぇ、ミーシャ」


「何?母様」


「ドレスの好みってある?」


「特にないけど」


「なら、ドレスを私が用意してもいいかしら?私達、結婚式なんてしてないから、ドレスも着たことないの」


「いいわよ。母様に任せるわ」


「ありがとう。ミーシャ」



マーサが嬉しそうに笑った。

リチャードも上機嫌である。



「マーサ。とりあえず明日内祝いしよう」


「そうね。ご馳走いっぱい作らなきゃ!」



マーサが張り切るように手を叩いた。

起きてる他の皆を呼ぼう、とリチャードがピアス型通信機で皆を呼んだ。


リチャードから結婚の話を聞くと、皆喜んでくれた。

ルート先輩とミーシャは、祝福のハグとキスでもみくちゃにされた。家族皆が喜んでくれて、とても嬉しかった。


大事な家族とルート先輩が一緒なら、きっと誰よりも幸せになれる気がした。








ーーーーーー


忙しい日々を過ごし、あっという間に春になった。

仕事は引き継ぎを終え、新しい職場に関する事務的な作業も終わった。


王都から旅立つ1週間前に、王宮薬師局の面々が結婚祝いと送別会を兼ねた、ちょっとしたパーティを開いてくれた。

それにミーシャは、ルート先輩が作ってくれた白いワンピースを着ていった。

皆が祝福してくれたことに心から感謝した。


ジル中隊長にも2人で挨拶に行った。

5年ほどお世話になったお礼を言った。

友として心から祝福すると言って、ハグしてくれた。

泣きそうになるくらい嬉しかった。



引っ越しの日。

マーシャル達に手伝ってもらって、転移陣を使って荷物を運んだ。

領館の敷地内にちょっとした研究所を作ってくれたので、2人の個人での研究関係のものは全てそこに運び込んだ。

領館の部屋へ運んだのは着替えとちょっとした小物類だけだった。


領地に引っ越しても、ドレスの仮縫いや結婚式の準備で毎日忙しくバタバタしていた。

ルート先輩とは同じ部屋で寝泊まりしているが、色っぽい展開になったことはない。婚前交渉をする気がないのと、お互い忙しくてベッドに入ったらすぐ寝てしまうからだ。


隣にルート先輩がいるだけで、胸がいっぱいになって、幸せを感じた。

結婚式まであと少しだ。








ーーーーーー


結婚式当日。

天気に恵まれ、晴れ渡る空の下、神殿で結婚式が行われた。

ミーシャは清楚な白いドレスに身を包み、ルート先輩と並んで祭壇の前に立っていた。

神官長のムティファが取り仕切る中、式は粛々と進み、厳かな雰囲気で2人の愛を神に誓い、恙無く式を終えた。

祭壇の前で誓いのキスをすると、参列者から大きな拍手が送られた。


ミーシャの隣でルート先輩が穏やかな顔で笑っている。

手を繋いで指を絡めると、握り返してくれた。


多くの人に祝福され、ミーシャは幸せだった。

ルート先輩が側にいてくれる。

それだけで、これからどんな苦難があっても、乗り切れるような気がした。


ミーシャはもう一度、笑うルート先輩にキスをした。





<完>

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