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2. 森妖精と襲撃

今回はほとんど会話がありません。

前回のような会話の応酬を楽しみにしてた方はすみません。

 そいつらは突然やってきた。

 襲来を知らせる鐘が何度も打ち鳴らされ、村中に響き渡る。

 私はベッドから飛び起きて、ベッドの側に置いていた弓と矢筒の帯を掴む。

 そのまま北側にある窓を開け、移動時間の短縮のために飛び降りる。高さは大体4mほどだ。問題は感じない。

 着地の瞬間、衝撃で身体が固まる前に《ステップ》を発動させて、前に跳ぶことで衝撃をキャンセル。《ステップ》の勢いそのままに走り始める。


 明かりは無くても問題ない。そもそも森妖精(エルフ)なので《暗視》を持っているため、明かりが無くても視界を確保することが出来る。山妖精(ドワーフ)とは違い、光源一つ無い完全な闇の中では流石に見ることは出来ないが月明かりがあれば昼間より若干薄暗いぐらい程度なものなのだ。

 余談だが、我らエルフや獣人族の一部が持つ《暗視》やドワーフなどの《完全暗視》は種族スキルになるのでアビリティではない。アビリティの【暗視】を育てきったとしても我らの《暗視》には敵わないし、我らの《暗視》も《完全暗視》と同等になることもないことは我らの中では有名だ。


 さて、予め鐘を叩くパターンを決めておいたので敵の襲来方向には向かっているが問題は数と質。

 今回の依頼はCランクの『ゴブリンの群れの討伐』だ。Cランクの場合、ゴブリンファイターやゴブリンシャーマンと言った統率個体がいることが前提になっている。群れを討伐すると言うことで長丁場になることは確定していたから、一週間ほどを予定して消耗品を準備していた。

 問題はゴブリンキングやゴブリンロードと言った上位統率個体がいた場合だ。その場合はギルドに即座に連絡を入れ、Bランク以上の冒険者が来るまで防衛することになる。

 ただの統率個体なら数が多く連携をしてくると言った点が面倒なだけで済むが、上位統率個体がいる場合はゴブリン一匹一匹の質が変わる。天人の間ではエリートゴブリンと言われているとか。

 普通ならオークが2~3匹いればゴブリンの群れが壊滅する。しかし、エリートゴブリンの群れならば、逆にオークの群れすら駆逐する。

 完全に力関係が逆転するわけだ。こちらとしてもいきなり当たりたい相手ではない。

 我らが来た当日にいきなり襲撃があったのはあまりありがたくないが、これがゴブリンなら質が確認できるのだから最終的にはトントンだろうか。ギルドに報告するのなら早い方が好ましいからな。


 襲撃地点と思われる場所の少し手前で弓に弦を張る。

 弓使いなら常に弓を使える状態にしておけと言われそうだが、そもそも弓は張りっぱなしだと弓が歪んで使い物にならなくなる。知らないやつがそれなりにいるのが意外なのだが。


 襲撃者はまだ……着いていなかったようだ。と言うことは足止め用の罠にかかったのか?

 仲間が鳴子を仕掛けている間にスネアトラップをいくつか仕掛けたぐらいなので、戦力の低下はないとは思うが。

 もしかしたら、鳴子に気付いた時点で警戒を始めて移動速度を落としたのかも知れない。

 どちらにせよ時間が稼げたのは重畳だ。


 屋根の上に陣取り、商人から高値で買った望遠鏡を使って北の森を見る。

 ちょうど何かが出て……緑色の肌に小さな角、ゴブリンだな。

 武器は手入れのされた金属製の手斧や短槍を持ったものが3匹。弓を背負ってるやつも1匹いるな。

 わらわらと出てきてくれれば可愛げがあったのだろうが、軍隊のように見事に訓練された動きだ。偵察に出た斥候にしか見えない。

 どうやら悪い意味で当たりを引いたようだ。背後に上位統率個体がいるのは確定だろう。

 ため息を吐きたくなるのを我慢して、ギルドへの連絡用アイテムを持つサラに【精霊魔術】で《ウィンドウィスパー》をつなぐ。


『どうやら悪い意味で大当たりだったようだ。背後にキングかロードがいるぞ。今、北の森から4匹斥候が来てる。サラはギルドに連絡を。ケインとジグはこちらに廻してくれ』


 そう言って《ウィンドウィスパー》を切って、弓を構える。

 本格的な防衛戦は何年振りだったか……そう思いつつ、矢を放った。

今回はエルフとゴブリンのお話。

上位統率個体が出てくると強化されるのは、ゴブリンだけではなくオークやリザードマンなど、他の種族も同じです。

ちなみにオークやリザードマンの上位統率個体が出てくると、国で対処しないといけないレベル。

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