516ー5巻発売記念SS スイートアップルパイ
本日、ノベルの5巻が発売になります!
ですので発売記念SSを書いてみました!
「ねえ、まりー。ちゅくれしょう?」
「はい、大丈夫ですよ。作りますか?」
「うん」
何を作るのかというとね、スイートアップルパイなのだ。ふふふん。
普通のアップルパイだとりんごを煮たものにカスタードクリームを入れたりするけど、うちはさつまいものペーストを入れる。さつまいもの甘さとりんごの甘酸っぱさがとっても美味しいのだよ。
それを作りたいと言ったら、昨日マリーがパイ生地を大量に仕込んでくれた。まだパイ生地は冷やしたままだ。
「まるいのが、いいのら」
「はいはい」
丸い型を準備してくれる。まずはさつまいもペーストを作る。蒸したさつまいもを潰して、ミルクと少しだけお砂糖を入れてネリネリ、コネコネ。次はメインのりんごを煮る。
「ちいしゃくきって……」
「はい、お上手ですよ」
「ゆっくりしないと」
「手を切らないようにしてください」
「うん」
集中してりんごを切っていると、タコさんのお口になっちゃう。
それを水とお砂糖、ほんの少しのレモン汁で煮る。シナモンは、この世界ではちょっぴりお高いから入れない。
「まりー、おみじゅが、なくなってきたのら」
「はい、代わりましょう」
俺がすると焦がしてしまうから、マリーに交代してもらう。
りんごの色が変わってきた。飴色というのかな? 美味しそうな色になってきた。もうりんごの出来上がりだ。
その間に、オーブンを温める。
丸い型にパイ生地を広げて、さつまいものペーストをのせて、その上にりんごだ。
「いいにおいなのら」
「ふふふ、美味しそうですね」
甘い匂いがするから、少し離れた場所でピカとチロがもうスタンバイしている。
何か美味しいものを作っているぞと分かっている。ピカなんてお行儀よくお座りしているもの、お利口だね、いや、食いしん坊なのかな。
パイ生地を細く切って、それを網目に飾り最後に円周にもかぶせるように。
「よし、これれいい」
「はい、お上手ですね。焼きますよ」
「うん」
さて、これから少し時間が掛かるからお外にいようかな。
「まりー、おしょとにいるのら」
「はい」
これを全部マリーに任せると、りんごがとっても大きくてシャクシャクする状態だったり、上にパイ生地をドンと乗せたりする。
まん丸なアップルパイになったりするのだ。これはポットパイなのか? てくらいに。だからいつも一緒に作る。やっぱ少しは見た目も大事ってことで。
外に出ると、どこからか走ってきた。
「ピヨピヨ!」
「ピヨヨ!」
相変わらず、速いな~。畑の中からあっという間に家の前まで走ってくる。その後ろには。
「アンアン!」
「キャンキャン!」
走ってるのか? それとも飛んでるのか? と思うくらいにピューッて、やって来る。
『いい匂いがするピヨ』
『おやつピヨね』
フォーちゃんたちが口々に言っている。もう食べるつもりだ。
「まららよ。いま、やいてるからね」
「アン!」
プチゴーレムたちも、いつの間にか何でも食べるようになった。食べるのが楽しいみたいだ。
時々、味を確かめながら食べているように見える。この子たちに味覚があるとは驚きだ。俺はそんなの作ってないし、元は土だんごだから。
「ねえ、ロロ! とっても甘い匂いがするんだけど!」
あ、ディさんまで釣れた。あれれ? 今日はいつもの大きな籠を持っていない。
「でぃしゃん、おやしゃい、とらないの?」
「ん? もう採ったよ。今はね、ニコと一緒に薬草を植える準備をしているんだ」
ほうほう、ニコ兄と。ちょっと見に行こうかな。
家の横にあるニコ兄の薬草畑。そこにニコ兄が立っていた。
あれれ? 薬草を植えないのかな? そう思って見ていると、ニコ兄がスゥ~ッと大きく息を吸って両手を広げた。すると畑の何も植えていない地面がモコモコと動き出した。
「ね、凄いだろう? ニコったら魔法で地面を起こすんだ」
「おこしゅ?」
「そう、ああやって土を混ぜてフワフワにしているんだよ」
ニコ兄は魔力操作が苦手だったのに。違う、サボって練習していなかった。なのに、もうあれだ。土属性魔法を使い熟している。
これってやっぱニコ兄のセンスだと俺は思う。
俺たち兄弟だとレオ兄が一番使える。それは揺るぎないのだけど、今はもうニコ兄がレオ兄の次に使えるのではないか?
「リアももう少し練習してくれると、もっとできるようになるのにね」
「あー……」
だってリア姉は体育会系だもの。剣をどれだけ上達するかの方が重要らしいよ。
俺はトコトコとコッコちゃんの小屋へ歩いて行く。今はみんな小屋の外に出ているから、今のうちに中を掃除しておいてあげよう。汚れた藁を魔法で外に出してっと。
「ロロは相変わらず上手だね~」
「でぃしゃん、しょお?」
「うん、とっても上手だ」
コッコちゃんの小屋掃除を褒めてもらってもね、ちょっぴり微妙だ。
小屋の中をシャワシャワ~ッとお水で洗って、最後に乾燥させて終了だ。新しい藁を持ってきてあげよう。
「でぃしゃん、あたらしいわらを、もってくるのら」
「うん」
畑の側に、こんもりと小山のように藁を積んである。これはちゃんと乾燥させてから、支柱を中心にして周りにワラを積み重ねて置いてあるんだ。お野菜を育てる時にも使うから。
その藁を少しもらって持って行く。俺じゃなくて、ディさんが持ってくれるのだけど。それをコッコちゃんの小屋の半分に敷いておく。全部に敷いたら駄目らしい。コッコちゃんの希望だ。
「うん、キレイになったのら」
そして最後に小屋ごとクリーンだ。クリーンをしておくと臭わないからね。これはとっても便利で俺はよく使う。
「ふふふ、まさかクリーンをこんな形で使うなんて誰も思いつかないよ」
「え、しょう?」
そうなのか? でも、良い使用方法だろう? こうしてなんでもクリーンしておくと、衛生的に良いと思うのだ。
さて、そろそろ焼けたかな?
「まりー、やけた?」
「はい、とっても美味しそうですよ」
これをカットする時もマリーは大雑把だから大きく切ってしまう。その大きさはピカ用かな? て思うくらいに。俺は食べきれない。
マリーの足下でフサフサの尻尾を振ってピカは待っている。お鼻をヒクヒクと動かしながら。
「うふふ、ぴかはもうたべたいのら」
「わふん」
「キュル」
あ、チロもだった。ピカの頭に乗って待っている。
「次も焼きますよ」
「うん」
うちは一つでは足りない。ピカはたくさん食べるし、リーダーたちやプチゴーレムも食べるから。それにドルフ爺にもおすそ分けしたいし。
「ぴか、ちろ、まららよ。じぇんぶやけてからなのら」
「わふぅ」
「キュルゥ」
ふふふ、残念そうだ。もう食べられると思っていたみたいだね。
それから全部で四つ焼いて、やっとおやつの時間だ。
「どるふじい、しぇるまばあしゃん! おやちゅなのら!」
「おう!」
「あらあら、私もいただけるの~?」
どこからか声が聞こえてくる。セルマ婆さんはお花を育てるのがとっても上手。広いお花畑を持っている。ニコ兄のお花の師匠でもある。
「さあさあ、みんなで食べましょう!」
マリーがお外に用意してくれた。
「お茶どうぞ~!」
マリーの得意技が出た。みんなにお茶を配って、スイートアップルパイを取り分けて。
「おー、美味そうだ!」
「にこにい、おてて、くりーんした?」
「あ、忘れてた」
俺は食べよう。もうピカたちは美味しそうに食べている。本当、みんななんでも食べる。
フォークを入れるとサクッと良い音がする。お口に入れると、さつまいもとりんごのハーモニーがとっても美味しい。
「美味しいね!」
「美味い!」
「よかったのら」
ディさんとニコ兄にも好評だった。
こんな毎日を俺はとっても気に入っている。穏やかでのんびりとした毎日が大好きなのら。
お読みいただき有難うございます!
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宜しくお願いします。
本日5巻が発売になります!
もう5巻です。書影にもありますが、web版にはなかった女神のミッションが!?
ピンク色のスライムさんや、小さな精霊さんが登場します。
今回も特典SSを4本書きました。
どれも温かいお話になってます。クリスティー先生の恋心みたいなのも書きたかったのです。
アース・スタールナ様サイトに特典情報が出てますのでチェックしていただけると。
初回限定版封入特典SSは『約束』です。担当さんが初回版はこれでしょう。と選ばれたものです。
web版では影の薄かった人がメインです。
楽しんでいただけると嬉しいです!
よろしくお願いします(*ᴗ͈ˬᴗ͈)ꕤ*.゜




