工作
目を覚ましたとき、僕はどうやら病院の一室のような場所にいた。
だがそれではないと気づいたのは隣の部屋との境界が壁ではなくカーテンであったからだ。
そうか、ここは保健室。
でもよく思い出せない・・・けど、校長室で何かあった気がする。
いってみるしかなさそうだ。重い頭をあまりうごかさないようにしながら床に降りる。カーテンを開けたら目の前に校長がいた。
「おお、目を覚ましたか」
「ええ・・・何があったかはよく覚えてないんですが」
「・・・そうか。まぁ、すぐに思い出すじゃろう。とりあえず校長室に行くか」
「ええ、そうしましょう。」
校長室のドアノブに手をかける。
おっと、ノックを忘れずに。
トントン。
「はーい、どーぞ」
中から拗ねたような定子の声が聞こえた。
なんで拗ねてるのか、知ってる気がした。
何故かおそるおそるドアを開ける。
「じゃっじゃっじゃっじゃっじゃーん!悪を裁く冷たき氷の矢を背負い、弱きものを救う
暖かき炎の心を抱く!蛍光戦隊、カラペンジャー!!!!」
一瞬目を疑ったが、今変なセリフを放ったのは確かに定子だった。
蛍光ピンクのジャージを着て、ピンクに塗装してあるヘルメットを脇に抱えている。
「・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・なっ、何か言いなさいよ!!恥ずかしいじゃないの!!」
恥ずかしいと思うならそんな格好しなけりゃいいんでは?
「あはははははっははははははっははははっははははははははははっははは!!!!」
会長が定子を指差してクローゼットの中で転げ回りながら馬鹿笑いをしている。
あれ、なんか今イラっとしたのは何故だろう。
定子は顔を赤くしながら
「こ、これは文具協会の次の作戦よ!!!」
と言った。




