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新勢力?
「安心しろ。別にお前の敵ってわけじゃあないんだ」
言葉とは裏腹にイライラした様子で、組んだ手の先では指が一定のリズムを刻んでいた。
「・・・じゃあ、えっと」
「余計なことは喋らなくていいぞ。誤魔化しなど意味はない」
「・・・。」
こいつは文具協会を知っている。だが言い方からして所属しているわけでもなさそうだ。
どうしようどうしよう。定子たちに報せなければ。僕一人じゃこの状況を打破できない。
「聞きたいことがある。──────直截に言おう。」
そういうとまっすぐに僕の目を見つめてきた。
「文具協会で一体何があったのか────。事実はこちらでも確認中だがなにしろデータが少なすぎて困っているんだ。」
だからこそ直接委員長が僕を尋問しているのか。
しかしこいつは敵ではないと言ったが味方である可能性は低い。協力者であったならこんな風に深い事情は知らなくていいし、他勢力なら教える義理もない。
僕は心の中で叫んだ。
定子ぉおお!助けろー!




