会議
僕らが目を開けるとそこはすでに校長室で、定子の顔が目の前にあった。文具協会に会長は不在だったため、会長代理を任されている女性に挨拶をして帰ってきたのだ。
「どうだった?」
僕は仰け反る。顔が近いっす、先輩。
「・・・。」
僕達はしばらく黙ったままでいた。
「どうだった?」と聞かれても、正直なところ、僕にとってはどうもないのであった。でもとりあえず何か言っておこう。
「なかなか複雑っすね。」
「・・・チッ。」
「舌打ち!?僕の精一杯の感想に舌打ち!!?」
「それじゃあ明日は私も連れて行って頂戴。」
えっ、スルー?
ってか・・・
本当に通うのかよ!
「今日は定例会議を行います。」
会長代理が宣言する。
ここの屋敷の中は不思議だ。
口の動きは明らかに違う言語なのに日本語に聞こえる。これも何かの“力”が作用しているらしかった。
「まずは新しく解読された石板の内容について。資料の3ページを開いて。」
会議室中から紙をめくる音がする。
僕も指定されたページを見ると、そこにはよく分からない文字の刻まれた石板の写真とその各国語訳された文章が載っていた。
「そこに書いて在る通り、新たに、“救世主”についての記述が見つかったわ。」
そこで定子が手を上げ、会長代理が一瞥してから言った。
「サダコ。」
「“救世主”とはなんですか。」
「今の時点ではよく分からないけれど、私達の言う『ダイヤモンドの能力者』の事ではないかと考えているわ。」
「『ダイヤモンドの能力者』は藍であるという説が有力な筈ですが。」
「その通りよ。でも証拠がないの。だからこの石板の内容によってはこれから証明できるかもしれないわ。」
そこでようやく定子は引き下がる。
「ありがとうございました。」
会長代理はもう一度定子の顔を見てから続けた。
「“救世主”についての記述は今のところ詳しく書かれていない。しかしもっと詳しく書かれている書籍についての記述があった。」
すこし会議室がざわつく。
「この記述によるとその書籍は予言書の一種であり、現在は世界の至る場所にバラバラに保存されているらしい。そして表紙の題名もバラバラであるから、発見は容易ではないと思われる。しかしこの書籍は全てで十二冊。さらに十二の月に対応している事も分かっている。・・・もうここまで話せば次の君たちの任務はわかる筈だ。」
なるほど。十二の月の予言か。まだどういった予言書なのか現物を見ない限り詳しくは分からない。つまり次にやる事は───────
「文具協会全力をあげて書籍の探索を行う!」
その声とともに皆は立ち上がり、会議は終わった。




