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勇者落第、魔物清掃員29歳。〜異世界の呪物を回収してたら「魔神」になったけど、正体を隠して新人勇者からやり直します〜  作者: 仁胡 黒


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第5話:不合格の向こう側、最悪の「合格通知」。

いつも応援ありがとうございます!

勇者試験の結果がついに判明!……しかし、合格したのは「調査」という名の監視付きでした。

ケンジの秘密を疑いつつも「知らないふり」でサポートを続ける凛。そんな中、研究所を襲う新たなトラブル。第5話、緊迫の展開です!

【異世界:勇者ギルド第一試験場・メインホール】

 試験会場の空気が、これ以上ないほど張り詰めていた。

 模擬戦闘が終わり、ついに勇者試験の合格者発表の時が来たのだ。

「……以上で、本年度の合格発表を終了する」

 試験官が淡々と読み上げる合格者リストには、ルミを含めた若きエリートたちの名前が並んでいる。俺の名前は呼ばれなかった。当然だ。壁を切り裂き、挙句の果てに「掃除の職業病」などと寝言を抜かした男が、勇者として認められるはずもない。

「はぁ、やっぱり無理だったか……」

 俺が小さく溜め息をついてきびすを返そうとした、その時だった。

「――ただし、特例枠として一名、追加合格を言い渡す」

 試験官の声が、メインホールに響き渡った。

「佐藤ケンジ。……お前の『解体』の精度、及びその摩訶不思議な戦術に対し、特別調査委員会より『調査を兼ねた仮採用』の通知が下った」

「えっ……調査って、まさか」

「あくまで仮だ。だが、お前には我々ギルドが抱える『厄介な現場』を処理する掃除屋としての適性がある、と判断された」

 会場のあちこちから、「あの落第おじさんが合格?」「調査って、犯罪者扱いじゃないのか?」というヒソヒソ話が聞こえてくる。

「……やりましたね、ケンジさん!」

 マナトが俺の背中を叩いて喜んでいるが、俺の胃は冷や汗でキリキリと痛んでいた。ギルドの調査が入るということは、俺の正体や、近頃体内で起きている「得体の知れない現象」を徹底的に調べ上げられるということだ。隠し通せる自信はない。

      ◆

【日本:国立異世界資源研究所(NIIR)・凛のオフィス】

 その夜。俺は日本へと帰還していた。

 凛のオフィスで、今回の試験報告と「ギルドの調査」について相談するためだ。

「……なるほど。仮採用、ね。ギルドの連中もなかなか良い嗅覚してるわ」

 凛はパソコンの画面から目を離さず、淡々とキーボードを叩いている。彼女のモニターには、俺の身体能力や魔力推移のデータが淡々と記録されている。

「凛、いや、うーん。…調査が入れば、俺の体のこと…、…もう辞退した方がいいかな……」

「バカ言わないで。今辞退したら逆に怪しまれるわ」

 凛は視線をモニターに向けたまま、冷徹に言い放つ。彼女はケンジの体の異変には気づいているはずだが、あえて深くは追求してこない。まるで、何かを隠していることを「あえて泳がせている」かのようだった。

「私がギルドへ送る調査報告書を細工するわ。あなたの力を『NIIRが開発した特殊ガジェットによる、極めて高度な特殊清掃スキル』として定義し直すの。ギルド側には、ケンジの力は魔道具によるものだと誤認させ続ける。……それが、研究所の素材であるあなたを失わないための、私のやり方よ」

「凛、お前……」

 その時、凛のデスクに置かれた赤いアラートライトが激しく点滅を始めた。

『緊急警告。異世界側からの未登録の魔力転送を感知。座標、我が研究所の地下第4倉庫……!』

「……! 何よこれ、今この時間に!?」

 凛が即座にモニターを切り替える。映し出されたのは、つい先ほどまで俺たちが試験を受けていた場所ではなく、研究所の地下深くで発生している禍々しい紫色の霧の映像だった。

「おい、凛。これって……」

「最悪……! これは『次元の裂け目』。しかも、ただの自然発生じゃない。誰かが意図的に、私たちの研究所をターゲットにして異世界の呪物を召喚しているわ」

 凛の顔から余裕が消えた。

 ケンジという「何か」を抱える自分たちに対し、今度は研究所そのものが、何者かの攻撃に晒されようとしていた。


第5話をお読みいただきありがとうございました!

「調査」という名の合格に胃を痛めるケンジと、彼を管理下に置こうとする凛の微妙な駆け引きを描きました。

研究所を襲う「謎の召喚」。果たしてケンジは、凛に正体を知られることなく、この危機を掃除しきれるのでしょうか?

複数作品を書いてますのでもしよろしければ、評価やブクマで応援いただけると、こちらの作品を優先して進める目安になるので推してくだされば幸いです!

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