第28話:共鳴する魂、解体は芸術へと昇華する。
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数百の魔物に囲まれ、絶体絶命の危機に陥る一番隊。
レオの圧倒的火力さえ封じられる状況で、ケンジは「迷宮を清掃する」という前代未聞の戦術に出る!
清掃員としての技術を使い、戦場を支配するケンジの活躍にご注目ください!
【異世界:地下迷宮『静寂の揺り籠』最深部】
迷宮の最深部、そこは巨大な魔力反応の淀みそのものだった。
ゴーレムを倒したことで供給路が遮断されたはずの迷宮が、今度は迷宮そのものを核とした「自己再生」を始めている。周囲の壁から無数の魔物が這い出し、その数は数百を超えていた。
「嘘だろ……これじゃ、さっきのゴーレムより厄介じゃないか!」
カイルが槍を構え、震える声で叫ぶ。
レオは聖剣を握りしめ、圧倒的な魔力を解放しようと構えた。だが、その攻撃を放てば、この狭い迷宮の天井は確実に崩落し、全員が生埋めになる。
「レオ、やめろ! 全方位の魔力を一度に解放すれば、迷宮の構造が崩れるぞ!」
俺が止めに入ったその時、レオが唇を噛みしめながら振り返った。
「なら、どうしろと言うんだ! 貴様のその『清掃』とやらで、この数、片付けられるのか!?」
レオの言葉は挑発ではなく、限界を迎えた勇者の切実な悲鳴だった。
俺は一歩前へ出た。迷宮の壁に手を当て、魔力の流れを全身で読み取る。ここは、清掃員として何千回と潜り抜けた「現場」だ。ただの敵ではなく、この空間そのものが一つの「廃棄物」に見える。
「……やり方はある。全員、俺の背後に回れ。ルミ、マナト、俺の出した魔力の道筋をなぞるんだ。レオ、お前は俺が作った『隙間』にだけ、渾身の一撃を叩き込め」
「はっ、何を言……っ、分かった!」
俺は魔導銃の出力を限界まで解放した。
凛から託された高圧洗浄機の魔力流を、今度は「破壊」ではなく「選別」の波長に合わせる。
迷宮内の魔力を、魔物と壁の構造から強制的に切り離す――『分離』の術だ。
「ここだ、開けッ!」
俺の魔力流が迷宮内を駆け巡り、魔物たちの身体を構成する魔力だけをピンポイントで弾き飛ばす。魔物たちは断末魔を上げることもなく、ただの泥へと還っていった。
数秒後。数多いた魔物は消え、迷宮には俺が作り出した「最短の攻撃経路」だけが残っていた。
「今だ、レオ!」
「おおおおおおおッ!」
レオの放った一撃が、迷宮の最深核へまっすぐに突き刺さる。
迷宮全体が震え、悲鳴のような魔力の濁流が収束していった。
静寂が訪れる。
予選終了の合図である魔力鐘が、迷宮内に鳴り響いた。
「……馬鹿な。ただの魔力制御で、これほどの魔物の群れを無力化するなんて」
レオは剣を収め、崩れ落ちる壁を見つめながら呟いた。
ルミは呆然としながら、俺の背中を見つめている。彼女の瞳には、先ほどまでの「少し頼りないおじさん」ではない、別の何かが映っているようだった。
「これで、予選は終わりだな」
俺は銃をホルスターへ戻すと、ふっと息を吐いた。
ギルドへの報告、そしてレオとの決着。勇者としての本格的な日々は、まだ始まったばかりだ。
第28話をお読みいただきありがとうございました!
清掃員時代の知識と経験を、今のケンジが「勇者としての技術」へ昇華させた瞬間を描きました。
レオやルミが、ケンジという男の真の価値を認めざるを得ない展開になったかと思います。
いよいよ予選を突破し、次のステージへ向かう一行。物語のテンポを上げていきますので、ぜひ次回もお付き合いください!
複数作品を書いてますのでもしよろしければ、評価やブクマで応援いただけると、こちらの作品を優先して進める目安になるので推してくだされば幸いです!




