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キリ Nebulo
冷たく白い霧が、木々の枝についた氷を太らせていく。
雪の上を、赤い衣をまとった童女がひとり、裸足で歩んでいく。
なにかを探しているのだろうか、道に迷ったのだろうか。
膝下まで雪に埋めながら、よちよちと頼りない足どりで進む。
この美しくもさびしい場所の外は、幾重にも盗賊たちが陣をかまえ囲んでいる。
彼女の持つものといえば、懐にだいじに抱えた小さな夢ひとつきりなのだが、それすら奪われてしまうのではなかろうか。
よく見れば、その童女の顔はかつてのわたしのそれと同じだった。
わたしは今、生きている。
ならば童女は、雪の上に倒れもせず、盗賊に殺されもしなかったらしい。
しかし持っていた夢はどこへ行ってしまったのか?
まるで自分が霧になってしまったように、あいまいなのだ。
Fino




