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19 避難所

避難所を仕切っている、飯塚という人に会った。


飯塚は警官だったらしく、紺の制服姿で現れた。


いくつか言葉を交わし、原田達と同じく探索班として活動することに決まる。


誰かと組んだ方がいいと他の探索班の人を紹介されたが、1人の方が動きやすいと丁重にお断りした。



「じゃ、一応どこに何があるか説明するから着いてきてくれ」


「ああ、よろしく」



原田に案内されて校内を歩いていく。

どの教室にも人がいて、机や椅子はどうなったのかと聞いたら、大半は捨てたと言う。


かさばるもんな。



「本館と西館は一般の避難者だ。西館は俺たち探索班が生活してる。1人あたりの面積が他のとこより少し広いんだ」



なるほど、外に出てモンスター狩りなんて危険な役回りだもんな。

ちょっとくらい優遇されてないと不満が出るだろう。


露骨にしすぎると今度は一般の避難者に不満がたまる。

難しいな。



「中庭は洗濯物を干したりだな。隅っこの方で魔物を捌いたりしてるから、そこに近いと服が臭ったりするらしい」



次はグラウンドだな。さっさと行ってくれ。


グラウンドに出ると、原田が嬉しそうに声を上げた。



「そういや、そろそろ飯か?飯はこっちで食うんだが、これも順番がある。ちょっとずつ時間をずらして混雑を避けてるんだ。探索班はここでも基本優遇される。前日に申請すれば弁当も貰えるし、探索が長引いて間に合わなくても割り込める」



どうでもいいんだよ。

さっさと店について聞きたくて、指をさして聞いた。



「あれは?」


「あれは医療テントだな。回復魔法使いもいるから、怪我したら行くといい。で、隣のはな」



原田は言葉を切り、困ったように笑って言った。



「よくわかんねえんだ。なんでも食料が出てくるって話だが、今は調査中で触れない。昨日まで何も無かったのに今朝、突然現れたんだ」



そうか…………





夜。

毛布を持って自分に当てられた教室へ行くと、そこにはすでに15人ほどの男が居た。



「おや、新顔ですね?今日こられたんですか?」


「ああ、今来たばっかりだ。ここで寝るのか?やっぱり狭いな」


「はは、私はもう慣れたよ」


「ここには2000人くらい入ってるって話だもんな、仕方ねえよ。これでも広い方なんだしな」



男達の顔に暗さはなく、避難生活を送っているとは思えないほどだった。


この避難所は、思ったより空気が悪くないな。

避難者達がいがみ合わないよう、飯塚が奔走しているんだろう。



「2000?多くないか?」


「確かに、普通じゃないが…………だが、県中の人間全員が避難所に来てるんだぜ?ほかの学校もこんなもんだろ」



2000もの避難者がいれば、食料問題は深刻だ。

探索班の働きのおかげでギリギリ維持されていると言っても過言ではない。

戦闘職以外も様々な面で頑張っているらしい。


掃除や料理、洗濯を短期間で完璧にこなす者、衣服を作るのが上手い者、薬を作れる者など、それぞれにできることを精一杯やっているという感じがした。




朝、日が昇る頃に起きて探索に行く。



再び小学校に戻ると、店の調査が終わり情報が公開されたらしく、避難所は大騒ぎだった。


結構時間がかかったな…………

説明ちゃんと書いてたのにな。



「おい、聞いたか!?売れるもん持って行ったら物々交換で食料でも日用品でも、なんでも手に入るらしいぞ!」



だが、店はそれほど繁盛していなかった。

人だかりはできているが、大半は野次馬だ。



「でも、自分のものじゃないと売れないらしくてな……ほら、避難所に色々持ち込んでるやつなんて居ないだろ?確か1人、腕時計とかスマホとか、貴重品全部売った猛者がいたが……」



アイツだ、と原田がインテリ風の眼鏡をかけた男を指さした。

男は娘らしき子供と戯れていた。

2人とも笑顔で微笑ましい。




「なんでも娘が病気だったらしくてな。回復魔法使いにも錬金術士にも無理だって言われて、あれが最後の希望だったんだろうな。食料の他に回復薬なんかも売ってるんだ」



その日、探索班の全員が集められた。50人くらいだろうか、戦闘職に就いている若者達だ。



「明日からの探索ですが、避難者の家から私物を持ち帰る事も目標の1つとして頂きます」



どうやら、ショップで買った食べ物を回収し再分配する気は無いようだ。

自分の所持品と交換ということで、結果だけの平等に不満が溜まるだろうとの事だった。



その日から徐々に、ショップを利用する人数が増えていった。

今では、朝から晩まで常に列ができているくらいだ。



そうして1週間を避難所で過ごしたが、住めば都というか、初めは過酷だと思っていた生活にもだんだんと慣れてきた。



……そろそろ潮時か。





「つまり、あれはあなたの能力ということですか?」


「能力の1つだ。他にもあるぞ」


「それで、貴方の話しを飲めばかつての生活に1歩近づける……と」



ここのトップは飯塚だ。

皆飯塚を信用している。

初めに頭を落とせばあとは簡単だろ。



「無理やりに征服して欲しいなら、そうする。これ以上誰も生きたくないのであれば、そうする。だが、こちらとしてもできれば友好的に支配したい」



飯塚が眉を顰める。


存分に考えればいいさ。

どうせ答えは決まっているが、納得できる理由、安心できる根拠を見つけられるならそうしてくれ。



しばらく考え、飯塚は言った。




「……分かりました。とりあえず、放送室へおこし願えますか?」



その後、探索時に店を設置してきた各避難所を回り、ひとつずつ説得した。






1週間後。


大小数百の避難所を回った結果、250km²程をダンジョン化し、ダンジョン内の人間は16万5423人となった。


毎日、何もしないで10億前後のDPが入ってくる。





読んでくださってありがとうございました!


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