第20話 ヴァラシルヴィド 1
病気の為とは言え、少し・・・、いやだいぶ更新が滞ってしまい、何の話か判らない状態になってしまいましたが、ここで前回の最後に入る主人公のソウが無事だと連絡梟がくる場面が抜けた事に気付き、重大な欠陥のため急いで修正をした次第です。
前話も修正して居ますが、何の事やら分からないと思いまして、修正の前話末だけここに再掲載させて頂いていますので、読みにくいでしょうが宜しくお願い致します。
回廊が下の橋脚へ激突し傾いた時、フレイヤは、身につけていたマントの紐を、解くようにみんなに言うのだった。
そのまま、回廊は倒れ、雲間にあっという間に消えた時、フレイヤはフィーネを、セロスはアグニを掴んで、空に身を投げ出したのであった……。
崩れて、粉々になる回廊を眺めながら、4人は雲間の中を落下するように離れて行くのであった。
「今朝、フレイヤ様に、この『鷹のマント』をつけるように言われた時は、まさかこんな事になるとは思ってませんでしたが、本当に、感謝しております。この飛び心地、クセになりそう」
そう言って、笑うフィーネにフレイヤは頭を少し下げ、マントを手にしてみせる。
「しかし、少しマントではその効果が甘いみたいで、やはり今度は『羽衣』の方を入手するようにしましょう。これでは、長く飛ぶことは無理ですからね。もうすぐ、落ちてしまいそうだ」
そう申し訳無さそうに苦笑いを浮かべるフレイヤに、フィーネも同意したように笑うのであった。
「ま、ゼロスにはそれが最善みたいだ。この次は、王様にもっと奮発してもらおう!」
アグニの毒舌もいつもの調子を取り戻してきていた。
すると、そこへ一匹の梟が並行するように飛んできた。
ミミズクである。ワシのような顔をして頭に飾り羽が付いていて可愛い。
その梟が、フレイヤを見つけるとまるで何かを考えてるかのように近づいて来るのであった。
それが、フレイヤの元に近づいてくると、耳元に何事かを伝えてくるのであった。
「え、ええっ?!……」
フレイヤが突然、涙声になって何も言えなくなった。
ゼロスが、そして、フィーネやアグニもそのフレイヤの様子の変化に何事かと問うとして慌てた。
梟がそのあと、そこから離れていった。
「うん、うん……」
フレイヤは、何度も頷いていた。顔をその嬉しさに上げられずに。
そして、そのあと何も説明が出来ずに、みんなの心配を誘ってしまったが……。
「ソウが、ソウが生きてるって……。今、オーラの梟が教えてくれた……」
フレイヤは、皆にも聞こえる声でやっと必死に告げたのだった。
「エ?……」
皆は一瞬、一斉に信じられないといった顔になったが次の瞬間、怒涛のように歓喜の声を上げてフレイヤに声をかけるのだった。
その嬉しいオーラの知らせに沸いた4人に、半ば落下している地表がだんだんと近づいて来るのであった。
そして、それを認めたフレイヤが皆に声をかけてきた。
眼下には、黒い、研ぎ澄まされたような鋼の葉のような物が付いている森が見えてきていた。
それを見下ろし、フレイヤはキッと顔つきを変えて自分を引き締めるようにそう言った。
「そろそろ、近づいたようだ。気をつけて行こう。ここが、ヴァラシルヴィド。……人呼んで『鉄の森』に……」
4人は、静かに地表へ下りていくのであった……。
ロウランの山頂を結ぶ雲の上の回廊でゴーグやグラジルに襲われ、フレイヤ達は進退極まりない状況で敵の大群を相手に死に物狂いの反撃を試みた。
だが、そんな逃げ場の無い状況にも関わらず、運がフレイヤ達を見放したように飛竜が彼女等を襲って来た。
しかし、4人の力を合わせた攻撃で飛竜を撃退する事に成功。
飛竜の激突したロウランの回廊は無残にも雲下に崩れ去り、その虚をついて空飛ぶマントの力を借りて彼女等は空に脱出するのであった。
落下する途中、フレイヤ達の下に大賢者オーラが遣わしたソウの無事だという嬉しい便りを聞いて、皆は狂喜乱舞したあと地表に降りてくるのであった。
そして、一行は今、黒い森、通称『鉄の森』と呼ばれるヴァラシルヴィドの森の入り口を前にして、ひと時の休みを取っているのであった……。
「しかし、ソウは良くぞ無事で居てくれたものだ。あいつは中々運が良いからな~、きっと木の枝にでも引っかかって助かったんだろうな~?」
ゼロスは毛布にくるまって天空の散歩の寒さの辛さをぬぐうように身体をこするのであった。
それを聞いたフレイヤは火を中を枝で起こしながら、ゼロスの言う『木の枝に引っかかった』話を訂正するのであった。
「何言ってるんださっきも同じ事を言ったが、ソウはアルフの民に助けられて闇羽族の族長に会ったんだ。そして、オーラの伝言する所では、そのまま西方のジェノザード城にとある物を取りに行く事になったらしい」
すると、その名を聞いたアグニが顔を上げた。
「ジョエノザード城?。まさか『嘆きの森』に行ったってのか?。なら、あたし等が王家の墓に着く頃には、間に合わないのじゃ無いのか、フレイヤ?」
アグニの顔が険しくなった。
「…………」
その言葉を聞くと、フレイヤも気が重かった。
本当なら、オーラが付いているのだ、ジャノザード城になど行かなければ、王家の墓に付くよりも早く会えたかも知れない。
だが、それはソウも同じ気持ちだった筈。
オーラの伝えた伝言でも不可避な事だったのだ。
どうしてもやりきれない気持ちはあるが、それでもソウやオーラを信じるしか無かったのだ。
「いいえ、それは無いと信じましょう。そうはしないと思ってるから、きっと迷わず行かれたのだと思います」
押し黙ったフレイヤに代わり、フィーネが言葉を継いできた。
「きっと、そうですよね、ね、フレイヤ様?」
答えの出ない想いを代弁するかのように、フィーネはフレイヤに念を押した。
気持ちは皆同じだった。意の一番に仲間であるソウの元気な姿が見たいのだ。
だから、少しでもその気持ちを前に動かさなきゃ行けなかったから……、
「そうだ、そうだ!。フィーネ様の言うとおり、あいつはきっと王家の墓に間に合わせてくるさぁ!。あいつはああ見えてワシの教え子の中でもかなり優秀な部類の新兵だ。きっと、こんな時もさっさと用事を片付けて、待ち合わせの場所に駆けつけるに決まっとる。そうは思わんか?アグニ?」
「……。気楽な男だな?」
アグニは、いつの間にやら立ち上がってソウの優秀さを力説するゼロスを下から見上げ、そう毒づいた。
すると薄笑いを浮かべて自分を見るアグニの顔を見ると、ゼロスもニッと笑うのだった。
「おうさ!ワシの取り得は単純明快だ!。人は『豪傑』としか言わんがな。難しい事はよう分からん!。しかし、今、あいつが頑張ってワシ達の所に向かおうとしてるのだけは、判ってる。それだけは、誰にも言われなくても、分かってるから。安心して進む事が出来るんじゃ!。な、そうだろ、団長?」
フレイヤは嬉しそうにゼロスに頷いた。
「人は『豪傑』って言ってるんじゃなくて、『単純明快って言ってる』の間違いだろ、それ?」
アグニがまた下から茶々を入れた。
「なんだと~!」……アグニが笑って走り出すのをフレイヤとフィーネが楽しそうに見つめる。
もうそろそろ行かねばならないと二人も無言で言ってるようだった。
その姿を見てフレイヤの心も決まった。
ここを抜けて王家の墓を四人で突破しなければならない。
ゼロスの言った、ソウが間に合うと信じると言うのは、あいつなりの優しさなのも知っていた。
そう言う男だから、今まで付いて来てくれたのだとフレイヤは改めて感謝した。
向かわねばならない道だと、ゼロスは言ってくれたのだ。
それが王国騎士団の団長としての責務だと。
「行こう。王家の墓に先について、クルーガー王を先に見つけてしまおう!」
フレイヤがおもむろに立ち上がった。
何かを吹っ切ったような声に、振り返ったゼロスとアグニも納得の笑顔を見せた。
フィーネも、覚悟は出来ていた。
4人は、荷物をしまいその先に進むべく暗い森を見上げるのだった。




