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スパイ。
そう、この女性は、キギフィと同じく、かつては世界の闇の鉄火場にいた人間であった。
キギフィは「世界最強の特殊部隊」のエースであった。切り込み隊長だった。
その職を辞して、ほうき星町に流れ着いた。
一説には戦いにうんざりしたとか、一説には呑んだくれ人生を送りたいとか。
彼女を知る人間には、どちらも合点がいく説である。(ひどい)
が、どちらにせよ、キギフィはそのような人生を、やめた。
世界最強の特殊部隊のエース、は、決して誇大表現ではない。
キギフィはその部隊――GMP3という――の中で、最も若いうちに入るのだが、しかし、最も強く、最も勇敢で、傷を負い刺され刻まれ弾丸を撃たれ、それでも一歩も引くことなく、いや増して、無謀なまでに単騎、切り込み隊長として敵陣に乗り込んでいく。
その時につけるゴーグルは、般若のような鬼の面を模した、スナイパーゴーグルとフェイスガード、光学式センサー等を組み合わせた、ハイエンドの部隊用装備。
当然パンクルックなど身に付けず、戦闘に特化した「戦闘服」、タクティカルベスト、カーゴパンツ。入っているのはマガジン、銃弾、サバイバルキット。
ゴテっとした装備ではない。彼女の戦闘スタイルを最大限補助するために、軽装である。ヒット・アンド・アウェイを充分に遂行出来るような……。
ざっとここまで述べてきたような、あたかもFPSゲームの主人公のような(というかむしろ、敵役のボス格くらいが相当するかもしんない)いでたちが、まるで冗談になっていないレベルで、キギフィは「現代の闘士」であった。
幾多の戦闘を経験してきた。
先ほど過去を述懐したように。
少なくとも、
少なくとも、彼女ばかりは、こう形容してよいであろう、
「人類最強」と――




