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この小説を書くにあたって、そして「ほうき星町」というひとつの共同体を描くにあたって、大体いつも頭においていることは、上のようなことである。
即ち、「排斥された莫大な力」は、どこでどうしているのか。あるいはそういった連中に安らぎの地はあるのか。
わたしは――ある、と思いたい。そうでなければ、この世はますます地獄以上に地獄的であるからだ。
弱者のルサンチマンはさて置く。先にも述べたように、強者の孤独は、「黄金の王の転落」である。
強者は、己を研ぎ澄ますごとに、自らの毒に近づいていく。ちょうど、フグは毒のあたりが一番旨い、と言われるように。
だが……フグの毒を喰らわない限り、真にフグの味を味得したとは言えない、とするのは暴論である。
それでもそんな暴論がまかり通るのが、この世なのである。
そんな世界にうんざりした、ある種の天才たちは――逃げた。それはこの世に対する傲慢だと、驕慢だと、凡夫は糾弾した。
が、天才たちは、そんなことは知ったことではなかった――このままではあいつらに殺される!




