18話.付き合ってない
プールに遊びに行った次の日は、普通に学校があった。
俺と目黒は一緒に学校まで登校しているのだが…なんだろう。今日はやけに通行人の人と目が合う気がする…。
「スグル。なんか周りに見られてる気がする」
「いや…気のせいだろ?」
気のせい気のせい…気のせいであって欲しかった。
だが、学校の教室に入ったとき、一気に現実へと引き戻されただろう。
あれ…クラスの女子たちは俺と目黒のことをニヤニヤしながら見てくるし、男子たちは…俺に殺気を送ってくるんだが。
「…初川殿」
「うぉ!?な、なんだ吉田かよ…。急に俺の背後に立つなよ」
気配もなく真後ろに人がいるとか恐怖すぎる。
吉田は髪の毛が長いし、一瞬落ち武者に見えたぜ…。
吉田はなぜか唇を噛みしめていた。すげぇ俺に対して威嚇してくるんだが。
「初川殿はずっと拙者のことを裏切っていたのでござるね!?」
「え、いや…なんの話?」
「とぼけても無駄でござるよ!これを見るでござる!」
吉田はスマホの画面を俺に見せてきた。
普通にTwitterの画面だが…ん?
お、俺と目黒が二人でいる画像!?しかも、この前のプール行ったときの…。
「な、なんだよこれ…」
「生放送のテレビで、『ねぇ…俺の彼女になんか用?』ってやったらしいでござるね!?」
「いや!そんなカッコつけて言ってないけども!?」
「いつも初川殿と目黒殿が一緒にいるのはなんとなく分かっていたでござるが、まさか付き合っていたなんて…酷いでござるぅぅ!」
吉田はオイオイと泣いていた。
こんなことで泣くなんて…。それにしても困った。
まさかTwitterにもあのときのシーンが流れてるなんて…。しかも何だよこれ、美女と野獣って。
リプ欄が『男氏ね』『俺たちにも希望が』とか書かれてるし。俺に対して主に失礼すぎる。
俺が吉田に絡まれている間、目黒はクラスの女子に囲まれていた。
色々と矢継ぎ早に質問されてるみたいだが…
「付き合ってない」
その目黒の声が教室に響く。
「私とスグルは付き合ってない」
目黒はハッキリと俺との関係を否定した。
目黒の周りにいる女子たちは「そ、そうなんだ…」とか言って、居心地悪そうにしていた。
「でも」
でも?でもってなんだ…。
目黒が次に発する言葉に、俺は無駄にドキドキしていただろう。
「スグルと一緒にいるのは…楽しい」
俺は初めて見てしまった。
あの目黒の頬が、少し赤くなってることに。
照れて…いるのか?こ、これはもしかして…デレっていうやつなのか?
目黒のそのセリフと表情に、俺もなんだか自然と顔に熱が集まっていた。
「…初川殿。ずいぶんと顔がニヤけておりますな…」
「べ、別にそんなんじゃねーし」
一日中ずっと、吉田から謎の圧を感じていた。
一番の味方が敵になるとは…。学校生活も憂鬱だ。
「はぁ…。今日は散々な目にあったな…」
「そう?」
放課後となり、俺と目黒は寮への帰り道を歩いていた。
たぶんこうやって一緒にいるから、余計に誤解されるんだろうが。同じ寮に住んでるからな…。
「お前もクラスの女子に根掘り葉掘り聞かれて疲れただろ」
「大丈夫。スグルの方が疲れてそうだけど」
「まぁ…暫くは憎まれ役になりそうだな…」
クラスのヒール役として地位を確立しそうだ。
確かに、こんな冴えない俺が目黒みたいな美少女と付き合ってるみたいな噂が出ること事態おかしいものだし。
「ねぇ、スグル」
「ん?」
目黒は道の真ん中で急に立ち止まった。
「スグルって私のこと、彼女にしたいの?」
「ブフォっ!?」
い、いきなりこいつは何てことを言い出すんだ…。
俺は動揺を隠せない。
「そ、それは…その…」
「………」
目黒がじーっと俺を見つめてくる。
目黒は俺のこと、どう思っているのだろうか…。
教室では、一緒にいると楽しいと言ってくれたけど。
まだ目黒と会ってから3ヶ月ぐらいしか経ってないのに。
この急展開は…予想してなかった。
「やっぱりいい」
「へ?」
目黒は『待った!』みたいな、手のひらをこちら側に向けるポーズをしていた。
「スグルがそんなに真剣に考えるとは思ってなかったから…なんか恥ずかしくなってきた」
「お前にも恥ずかしいっていう感情があったんだな」
「スグル?」
「…すまん」
最近、目黒の感情が豊かになってる気がする。
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