第2話 異能訓練
三井「よろしい。で、風圧くん、能力の訓練日はいつが空いてる?」
風圧「今週の日曜日で、お願いします!」
三井「今週の日曜ね。うん、俺もこの日は予定が開いてるからとことんしごけるな。覚悟しとけよ~。」
風圧「望むところです!」
そして時は現在に戻る。
「てなことがあったんだよ。」
と俺は異能自警団になった経緯を話した。
「お前も色々と大変そうだな。」
と高藤は俺を労った。
「まあ、でも困ってる人たちを助けられるんだから後悔はしてないよ。あ、そうだ。今日も三井さんと能力の訓練をする約束をしてたからお前も来るか?」
と俺は高藤を誘う。
「俺もお前がどういう訓練をしてるのか気になるし、行きたいな。」
と高藤は興味ありげに言った。
「決まりだな。」
そうこうしている内に今日の講義が全て終わり、俺たちは三井さんのところへ向かっていた。
「そういえば、昨日話してたこと、俺に言ってよかったのか?その三井さんに他言無用で頼むなって言われたのに。」
と言いながら高藤は疑いの目を向けるから俺は
「それは俺が説明するから大丈夫だよ。」
と言い返した。
「そもそも三井さんって信用できるのか?」
そう高藤は疑いの目をまたもや向けてくる。
しつこいなと思いながら俺は
「少なくとも俺の命を救ってくれた恩人だからな。」
と言い返す。
「それとこれとは別じゃないか?」
とまた高藤はしつこく疑いの目を向けてくる。
しつこ過ぎて、内心キレそうになりながらも俺は
「だから大丈夫だって。」
と言った。
「なんかキレてないか?」
と高藤は俺に質問をする。
内心キレそうになったことがバレそうになったから俺は
「キレてないぞ。」
とこたえた。
「まあ、その、悪かったよ。色々としつこく聞いて。」
と高藤は申し訳なさそうに言った。
「俺もキレたりして悪かったよ。」
と俺も謝った。
が、その時の俺はまだ気づいていなかった。三井さんの倫理観がとっくに壊れていたことを。高藤の言ったように三井さんに対して疑いを持っていた方がよかったことを。
そうして、俺たちは三井さんのいる大きな倉庫に着いた。
「お、風圧くん、今日は友達も一緒かい?」
と三井さんは俺に質問を投げかける。
「ど、どうも、自分、高藤って言います。」
と高藤は緊張しながら三井さんに自己紹介をする。
「風圧くんから聞いてるかもしれないが、俺は三井と言うものだ。よろしくな。」
と三井さんも高藤に対して自己紹介をした。
「よ、よろしくお願いします!」
と高藤はこたえる。
「あ、あの、三井さんに謝らないといけないことがあって…」
と俺は勇気を出して三井さんに高藤に対して、全て話したことを言った。
「まあ、内緒にしてたことを他人に話すのは褒められたことではないが、俺も褒められたことではないことをしてるしな。それに高藤くんは風圧くんの信用できる人なんだろう?」
と優しく三井さんは言った。
「はい!それはもちろん!高藤には高藤が信用できる俺以外の人にもこのことは絶対に話すなって言ってあるので!」
と俺はこたえた。
「それならよろしい。」
と言い、三井さんは俺のことを許してくれた。
「それでは、能力の訓練を開始するが、高藤くんも参加するかね?」
と三井さんは高藤に問いをなげかける。
「いえ、一旦、風圧の能力訓練を見てから決めたいと思います。」
と高藤はこたえる。
「そうか。それではそこでしっかりと親友の頑張ってる姿を見るがいい。」
と三井さんは言った。
「それでは、風圧くん、能力訓練を始めるぞ。」
と三井さんは俺の意気込みを確かめる。
「はい!お願いします!」
と俺は元気よくこたえた。
「この2ヶ月間は能力の強化だけを訓練してきたが、今日からは応用に入ろうと思う。」
と三井さんが言ったので、やっと楽しみにしてた応用訓練に入れる!どんなことができるようになるのかな~と内心喜びながら
「俺にはどんな新たな力が身につくんですか?」
と俺は言った。
「まあ、そう焦るな。まず、風圧くんの能力は【風圧】、風圧だけで成人男性1.5人分を吹っ飛ばせるほどの超パワーを出せるってものだよな?」
と三井さんが俺に質問を投げかけると、
「え?風圧の能力ってそんなに成長してたんですか!?俺が知ってるのは風圧だけで成人男性1人分を吹っ飛ばせるのが限界の能力だったのに…」
と驚きながら高藤は言う。
「風圧くんも成長してるんだよ。」
と三井さんは高藤に対して言った。
「さてと、本題に戻すが、風圧くんは風圧くん自身の超パワーに耐えるために力を使う時は自然に身体が強化されるよな?だから自分の能力は身体強化系の能力だと思ってないか?」
と三井さんは俺に質問をした。
俺は疑問に思いながら、
「え?違うんですか?」
とこたえた。
「ああ、違うな。君の能力は身体強化系の能力ではなく、自分自身を強化する能力だ。」
と意味の分からないことを三井さんは言った。
「それを身体強化能力って言うんじゃ…」
と俺は混乱しながら言った。
「まず、始めに言っておくが、身体強化能力なんてこの世に存在しない。この世界で身体強化能力と言われてるものは全て自分自身を強化する能力だ。」
とさらにわけの分からないことを三井さんは言った。
「身体強化能力が存在しない?いや、でも、実際に身体強化はできるわけだし…」
と俺は頭を抱えながら言う。
「まあ、説明するから落ち着け。自分自身を強化するっていうのは身体以外の部分、いわゆる物理以外の部分を強化するってことだ。」
と三井さんはまたもや難しい話をしだした。
「物理以外の部分??ますます訳が分かりません。」
と俺は混乱しながら言った。
「まずは2ヶ月前のことを思い出してみろ。風圧くんは金縛りの能力で身動き1つできなくなってたな?だが、風圧くんの能力だったら本来、金縛りくらいすぐにほどけるんだ。」
と三井さんがあり得ないことを言うので俺は
「そんなのあり得ません。だって、俺の能力は身体を強化してパワーを増幅するだけの能力ですし、物理以外で拘束されては手も足も出ません。」
と言った。
「忘れたのか?風圧くんの能力は物理以外も強化できると言ったのは?」
と三井さんはこたえる。
「具体的にはどうすれば?」
と俺は三井さんに質問をした。
「まずは能力の根っこを感じてみろ。」
と三井さんはこたえた。
「能力の、根っこ?」
「ああ、そうだ。能力を発動する時には5感以外のものを使うだろ?それが根っこだ。」
俺は三井さんの言うとおりに能力の根っこを感じてみた。
「見つけました。」
「それなら、次はその根っこ自体を強化してみろ」
三井さんの言うとおりにしてみると、今ままでに感じたことのない感覚がした。
「なにこれ…」
と俺は驚きを隠せない声で言った。
「それをマスターすれば、金縛りの能力も効かなくなるだろう。」
と三井さんは言った。
「たしかに、これなら金縛りも効かなくなる気がします!」
と俺はこたえた。
「さてと、まずはその新しい力を確かめるために金縛り系の能力者を探さないといけないが、ここからは戦闘訓練に移ろうか。」
と言いながら三井さんは身を構えた。
そして、俺も身を構えた。
「すまないが、高藤くん、戦闘の合図をしてくれないか?」
と三井さんは高藤に頼んだ。
「お任せください!三井さん!」
と元気よく高藤はこたえた。
「それでは、始め!」
戦闘の合図とともに俺は能力を使い、拳をふるいあげ、パンチで風圧を飛ばしたが、三井さんの能力によって先読みをされ、普通に避けられた。
それならと俺は足を強化して、素早く三井さんの方に向かったが、やはり先読みをされ、避けられる。
そして、俺が三井さんに近づいてしまったのを良いことに間接技を決められてしまい、ギブアップした。
「う、嘘だろ…。身体強化系能力者相手に圧勝するなんて…。」
と驚きながら高藤が言うと、
「強化系能力者相手でも強化できない部分はある。それは関節だ。なぜ、関節だけが強化できないかと言うと、関節を強化してしまうと身体が動かせなくなるからだ。高藤くんがどういった能力を持っているのかは知らんが、身体強化系能力者と敵対した時には関節技を決めるといい。」
と三井さんはこたえた。
「いや~、やっぱり三井さんには敵いませんわ。」
と俺は悔しげに言った。
「俺だって普通に怖かったぞ。風圧くん、本気で来るんだもん。もしも、あの風圧に当たってたら死んでたかもしれないのに。」
「でも圧勝だったじゃないですか?」
「圧勝でも強化系能力者が1番怖いんだよ。特に今の時代のは。」
「まるで過去にも強化系能力者と戦ったことがあるような言い分ですね。」
「風圧くんほどのパワーの人は今までいなかったけど、何回か戦ったことはある。」
と三井さんはペットボトルの水をがぶ飲みながらこたえた。
「今の時代の強化系能力者が特に怖いって言うのはどういうことですか?」
と俺は疑問を投げかけた。
「今の時代の強化系能力者は昔だったら考えられないほどのパワーをしてるからな。そこで、さらにイカれたパワーをした風圧くんを見つけて、今に至るってわけだ。」
そう三井さんはこたえてくれた。
「それで今まで、戦闘訓練をしてこなかったんですね。」
「だって、怖いじゃん。今までは鉄で試してたけど、ものすごい轟音がするもん。怖いじゃん。そりゃあ、戦闘訓練も延期するしかなくない?」
と三井さんは嘆く。
「実際に今日、戦闘訓練をやってもらったわけですが、そんな俺に圧勝した三井さんの方が充分化け物だと思いますけどね。」
と俺は苦笑する。
「それでも二度と強化系能力者とは戦闘したくないがな。特に風圧くんと。」
「そんな~、もっと強くなりたいんで、もっともっと戦闘訓練させて下さいよ~。」
「風圧くんが戦闘訓練で本気出さないなら考えてやってもいい。」
と仕方なさげに三井さんはこたえた。
「本気出さないと三井さんに勝てないじゃないですか。」
と俺は口をとがらせた。
「はあ、分かったよ。これからは戦闘訓練もしてやるよ(今後、戦闘訓練の時は武装してこないとな)。」
「ありがとうございます!」
と言いながら俺は深く頭を下げた。
「さてと、今日の訓練はここまで!気をつけて帰るんだぞ~。」
と言い、三井さんは俺たちを見送ってくれた。
そんな帰り道、高藤と他愛もない話をしてると俺たちは何かに足を掴まれ、引きずられた恐怖とパニックで気絶した。
そして、気づいたら、手足を縛られ、目隠しもされて誘拐されていた。




