本屋と機械と一匹狼 1ページ
なんか文章を書く練習をするところに入っておけばよかったと常日頃後悔
「ある程度基礎体力はついたし、必要最低限の知識は入ったし、
よし!後は経験の方が身に付きやすいし、行ってこーい!!」(アディダ)
二週間以上前
傷が完治した後、
俺はここに所属したいとアディダさんに言った
いくつ日を重ねても答えは出てこなかった
俺の居場所は全部消えてしまった
家も家族も何もかも
今もなお残っているのは体と一冊の本
いまだ分からないことを探るために
俺は未知に飛び込んだ
はずだった。
まっていたのは筋トレ地獄
ひたすら走って、腕立て、
腹筋、スクワットなどなど
基礎体力・持久力をエンバーさんに
つけさせられた
なんでも前線でバリバリ働いていた
らしいが今は裏方をやっている
アディダさんの知り合いらしい
なんで筋トレをしているか
というと俺が本の能力を
完璧に理解できていないからだ
体が動けるようになった時
契書を使うことになったが
鍛錬中、液体が出ない
出ても少ししでない・変な方向に飛んでいく
など以前のようには使えなった
書店での戦闘の際は火事場の馬鹿力
つまり“無意識下”の出来事であった
そのため自分のやりたいと思っていたことが
100%行動できていた。
無意識下での極度集中状態
それを有意識下で再現することはできない
また俺の契書は不思議な点がある
契書とは元になった本に由来する能力が主能力になる
例えば「雪の女王」なら周りを凍らせる力や
物語に沿った能力が使える
だがシメイの本「10人勇者」は
できることと物語が合わない
できたことは
1.液体の放出による遮蔽物の形成
2.物や人にまとわせ武器や鎧にすること
2つ挙げてはみたもののまだ難しく
やろうとしても1つめができていない現状
良い結果は得られない
悲しくも現実を知った
また、アイツと接敵したとしてもまず戦いにすらならない
まず自らの力と向き合う必要がある
だがその前に肉体の基礎鍛錬を始めることになった
リハビリを兼ねているが
今のままでは能力を鍛えたところで
体がお陀仏になるとのことで筋トレが始まった
日頃、本屋の仕事をしているから
大丈夫だろうと自分を過信していた...
体にかかる重さ、食欲よりもくる強い吐き気
自分が舐めていたことを分からされた
基礎ができてからは
図書館司書のような雑務も追加された
返却本の整理、掃除や花壇への水やり
特に水やりがめんどくさい
じょうろで移動すればまだ楽だというのに
水道から直接つないでいる短いホースで
その場から動かず蛇口はふたひねりでやれ。とのことだった
全く届かないし水の勢いも弱い
最も効率が悪い形だが手に水をすくい
水をやっていたときアディダさんが駆け寄ってきた
「なにやってんだ?ホース使えって言っただろ」(アディダ)
「アディダさん、いや全然花壇に届きませんよ!」(シメイ)
「そりゃあ水だして花壇にむけても届くわけがない。
あと、それ普通のホースじゃあねぇ。それも話が詰まってるんだよ」(アディダ)
なんでもこのなんてこともないような
みっじかいホースも契書の力を宿したものらしい
俺のつかっているホースの正式名称はくじらほーす”kumo”
なんでも空を泳ぐクジラの話がつまっているらしい
「言葉にしてしっかりやりたいことをホースに言うんだ。そうすれば
ホースはしっかりやってくれる。掛け声は語尾に1・2・3!だ」(アディダ)
なんだそりゃ、恥ずかしい
でもやらなきゃ仕事終わらないしなぁ
「い、いきま~す。向こうの花壇まで届け1・2・3!」(シメイ)
首から上が熱くなるのを感じながら唱えると
確かに花壇に届いた。ホースを頑張って花壇にむけても
4~5mはあるっていうのに水が一本の線になって届いた
「お~届いたな~。でも届いてもそのままだと
水で花壇の土をえぐるだけだぞ~。」(アディダ)
「え。じゃあどうするんですか!」(シメイ)
「それはホースの口を縦におしたり、横に押したりして水の形を変えるんだよ
ホースは水を届けるだけだ。どうやって届けるかはお前が判断して変えるんだ。」(アディダ)
確かになぁ、普通に考えればその通りだったのに
すごいもの、今まで知りえなかったものを使っていると
なんでも勝手にできてしまうと思い込んでいた
違う、そうじゃない。起きることのスケールが変わっても
使っているのは俺。人なんだ
俺がしっかり使わないとうまく機能はしない
そこからすぐには慣れなかったが
少しずつなじんでいった
高い木にはホースの口より少し後ろを
強くおさえ水を溜めてから出したり
あたり一面の花には口をつぶし拡散させたり
やっていることはただの雑務なんだが
とても楽しくなってきた
そうやって筋トレと水遊びが日常化してきた
そんな日々の中俺に任務の話が来た
それは植物採取
国立図書館の整備業務も
組織は行っており、家での一件のような
住宅地での契書を使った暴動は
珍しく、そういった日常業務を行う人員
が少ないらしい。
ようするに見習いにふさわしい仕事
ということだ
向かうは隣国との境界となっている
バベル山脈方面の森
行ったことのない土地で不安に思っていたところ
俺よりも先に入隊していた同年代の2人と共に行くことになった
「初めまして!技術部のユニです!よろしく!!!」(ユニ)
「小隊予備役のフラン。以上」(フラン)
「自分は今のところ特にどこ所属でもないんですが
シメイ、シメイ・クローバーです。よろしくお願いします。」(シメイ)
「シメイクン!聞いているよ!氏族でもないのにグリモワルド
じゃないところから契書を手に入れたって!!」(ユニ)
自己紹介が終わった瞬間、一呼吸の間もなく
1人が話しかけてきた、本一冊分もないような距離感。近い
彼女が饒舌に語りかけてくるなかもう1人は
名乗った以上のことは喋ってこなかった
「よし!シメイ隊員!聞きたいことは山ほどあるが
早速仕事を申し付けよう!!あれ持って!!!!」(ユニ)
ユニが指指した方にあるものは
近所の町工場のおっちゃんが使っていた工具鞄よりも
一回り、いやもう少しでかいナニカであり
漫画でしか見たこともないようなでっかいリュックサック。
「あれをですか...?なんかシャベルみたいなのがつきささってるんですけど...」(シメイ)
「自生している植物には繊細なものもあってね。掘削する必要もあるんだよ~
そしてこの中では君が一番下っ端じゃん!下っ端はやっぱり荷物持ちからスタートすべき
だと思うんだな。」(ユニ)
「そんな...いやまぁそうですけど、」(シメイ)
「なにか不服なことでも?上からあなたことを聞きましたが足手まといもいいところ
なんで組織にいるのかさえ私には分からない。邪魔よ、あなた」(フラン)
く、くそうぜぇ
わかってる、わかってるんだけど!
なんだこいつら、1人は明らかに下に見ている不愛想なヤツ
もう1人は明るいけど素で癇に障ること言ってくるヤツ
え、もう帰りたいんだが?
男女平等理不尽パンチ顔面におみまいして帰りたいんだが?
そうして荷物持ちの奴隷状態で
俺は一歩も出たことのない町の外へ出たのであった
8時45分 シメイ一行(補欠組)出立
1時間ほど歩いて目的地付近に到達
首やわきに汗がたまり嫌な感触を
リュックサックが強制してくる
それでも気分は幾分かマシなほう
絵画から切り取ってきたかのような
The・森の中。
均等に立っているわけではないが
木の葉が屋根のように生い茂り
太陽の木漏れ日が地面に模様を作る
たまに通り過ぎる風も心地よい
まわりにある植物はいたって普通
目新しいさはないが
日焼けして薄れ始めていた
少年心を燃やしてくれる、なんかいい
「止まって。」(フラン)
鋭く小さな声が
のほほんピクニック気分を現実に戻した
言われるがまま木の陰に隠れた
「あちゃー。先越されちゃったかぁ」(ユニ)
目の前では緑色の四足動物のようなものが
お目当てであった花を食いむさぼっていた
「あれなんですか...?」(シメイ)
「あれはねぇカラカルってやつでね。染色にいる植物を好んで
食べるんだよ。」(ユニ)
初めて見る怪物のような動物
「どうしようかな~。近くに植生している場所なかった
きがするんですけどぉ」(ユニ)
ユニが地図とのにらめっこをしている中
俺たちの目的をむさぼり
悠々自適にランチをしている奴らの
どてっぱらに何かが突き刺さる
土煙が舞う
風が吹いて足元で起きるレベルを遥かに超え
口の中が砂利の味ではなく硬く固まった土の塊が直接くちに配膳される
何かが空気中を高速で移動する時圧力波が生じる
その圧力波が重なり大きな衝撃波が起こる
現象を目視している人は無音で急に現れる物体を
確認した時にはもう遠くまで吹き飛んでいる
シメイ!両腕から出し続けろ!(エスペル)
射出する土台となる肉体と液体を放出するイメージ
アディダ達にやらされていたことはただの雑務ではなく
習慣的な体験として理解させるものだった
吹き飛ばされながらシメイは右腕を勝手に伸ばしていた
射出する土台となる肉体と液体を放出するイメージ
アディダ達にやらされていたことはただの雑務ではなく
習慣的な体験として理解させるものだった
自然に、本当に自然にシメイは発射する形をとった
瞬間、大人達の考えをくみとったわけではない
だが確かに頭の中にはあのホースのイメージができていた
肉体に眠る安全装置ではなく
ここ一か月で身に着けた経験が呼び起されたのだ
心臓から血管を通し流れる血液のように
液体は俺の腕を伝ってきている
その感覚がいまよくわかる
あとは俺の意思、どうやって出すかだ
右腕を水平に伸ばし手のひらを開け
前に出す、そして発射
前方からシメイの肉体を襲う瓦礫を飲み込み
固まり始めている液体は真っ直ぐ吹っ飛んでいった
体制が90度まわり今まで背にしていた木にぶつかるという構図
また発射する形に持っていくシメイ
しかし先ほどよりは液体がでない
すぐに集中状態にもっていくことは難しい
「ぐふうぅぅぅ、、、はぁはぁ、、ふぅ」
身を守ることはできたが
吹き飛ぶスピードを完全に殺すことはできず木に激突した
シメイ!動けるか?(エスペル)
「なんとか、、、というか何がどうなったんだ?」(シメイ)
植物だ。シメイ達の左8m先にいる
今も俺たちを狙っているようだ、様子をうかがっている...
土の中だ。シメイ(エスペル)
え!? 何のこと言ってんだ!??(シメイ)
エスペルの言葉をかみ砕くよりも先に
植物の太く速いツルがシメイ達を刈り取ろうと迫る
とっさに木の背に隠れようと向かうシメイがだが
その行動を理解しているこのように
その木ごとツルをぶつかってきていた
このままツルがぶつかると木をへし折り
少しはパワーが落ちるがシメイの腹部に直撃する
シメイどうにかしてツルの線上から出るんだ
走らなくていい!だがあれをくらえば胴はつながっていても骨は砕かれる!(エスペル)
「いてぇ...、エスペル避けるんじゃねぇ。ツルが木をへし折る瞬間そこにあわせるんだ」(シメイ)
目の前の木に対し垂直になるように
数学のグラフのように重なった瞬間
シメイは見逃さない
今できることと今やるべきことの合致
体に走る鈍痛がシメイを臨戦態勢であり続けた
放たれた液体の凝固によりツルは固定され
動きは封じられた
「はぁはぁ....ふぅ。エスペル、さっき言ってた土の中ってのは一体なんだ...」
契書が植物の根に当たる部分にある。あれはそういった植物ではなく
契書の力の一部が暴走しているのかもしれない契書を取り除けばアレは活動を止める(エスペル)
「そんなこと言ったってどうやって近づけば…」(シメイ)
「なにをブツブツ言ってんの!そんなとこ突っ立てたらツルで
ぐちゃぐちゃにされるよ!!見てたでしょ!」(ユニ)
「そっちは無事だったんですか!?」(シメイ)




