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157●『ゴジラ-1.0』の疑問点と続編を妄想推理する。④海神作戦は誤算だらけ?

157●『ゴジラ-1.0』の疑問点と続編を妄想推理する。④海神作戦は誤算だらけ?



 そこで海神作戦です。


 大丈夫か?


 小説版P120から129の説明を読んだときの、これがまず、第一印象でした。


 「短時間で相模湾に沈め、その深海の圧力で息の根を止める」(P124)

 その深度は「二五〇〇メートル」(P124)。



 ここで、ネットのニュース

●哺乳類最強の潜水能力?アカボウクジラ

2014.03.28 ナショナルジオグラフィック

アカボウクジラの新たな長期的研究によって、哺乳動物の中では最大級の深度へ、そして最も長い時間潜水することが明らかとなった。並外れた1頭は水深2992メートルまで潜り、またある1頭は138分間海中に居続けた。

マッコウクジラは3000メートル程度まで潜水できると考えられているが、時間は最大で90分程度とされている。

深海では、肺のような空気に満たされた空間がつぶれるなど多くの問題が生じる。さらに、けいれんを誘発する高圧神経症候群と呼ばれる症状が引き起こされる可能性もある。

しかし、どういう訳かアカボウクジラを含む海洋哺乳動物は、体に目立った悪影響もなく数千メートルを繰り返し潜ることができる。



 クジラで平気なら、ゴジラも平気では?

 まず、そう考えてしまいます。

 ゴジラはおそらく、体内に生体原子炉みたいなものを抱えているのでしょう。そうでもなければ、放射熱線の小型原爆並みのエネルギーは生成できませんね。

 ということは、潜水中のゴジラは原子力潜水艦みたいなもの。

 その体内エネルギーで、おそらく何日も呼吸せずに潜水を続けられるのでしょう。

 とはいえ、肉体を形作るタンパク質は、他の生物を捕食することで得ていると思われます。それが一番手っ取り早いですから。

 といっても、あの口で何を食べるのか?

 オキアミとか、ありふれた魚類をエラで漉しとるような、ジェントルマンな食事をしているとは思えません。

 多分、クジラをガブリ。鯨食げいしょくってことでしょう。

 体長10~20メートルくらいのマッコウやナガスクジラを、人間が“うまか棒”に噛みつくような感じで食らっているのではないかと思います。

 ダイオウイカは、晩酌のツマミ程度の位置づけでしょう。


 それならゴジラも、クジラを追って、日常的に水深三千メートルあたりまで潜水する能力を持っていると考えても不思議はないでしょうね。


 気になるのは、急激な水圧の変化に対応できるか。

 これ、潜水艦でも同じですね。深く潜りすぎて船体がクシャッと潰れるとか。


 マッコウクジラは肺の中の空気を全部吐き出してしまい、代わりに筋肉の中に酸素を大量にため込む仕組みがあって、それで一時間以上も息継ぎなしの素潜りで三千メートルの深海まで潜航し、潜水病にならずに浮上できる……という説があります。


 とすれば、ゴジラもあの巨大な太ももなどの筋肉、その細胞の中に酸素を分子レベルでドッパリとため込むことができる体質なのではないでしょうか。

 だから、オキシジェンデストロイヤーで細胞内にたっぷりと含まれる酸素を破壊されると、細胞がミクロン単位で穴だらけのスポンジ状態となり、細胞膜がクシャッと壊れてしまい、体組織がズルけてズクズクになり、全身がドロドロ、ボロボロと崩れていった……と、なんだか理屈が通りそうです。


 ともあれそういうことなら、海神作戦はその前提が崩れてしまいます。


 ゴジラはクジラ同様に、水深3000メートルくらいの潜水は安全に可能。


 酸素を気体の状態で肺に貯めているのではないので、急速潜航しても肺がつぶれることはなく、急速浮上しても肺が急に膨らんで破裂することはなく、いわゆる減圧症もしくは潜水病の心配もない……ということになります。

 そもそも数千メートルの深海をねぐらにしているからこそ、その体の放射能で深海魚が死んで浮かび上がってくるのですから。


 こうなると、海神作戦の「急速な潜航と浮上による水圧の変化でダメージを与える」戦術は、ほぼ無意味に帰してしまう恐れがあります。


 作戦の立案の前に、米軍の潜水艦を使うなどして、ゴジラの潜航深度とその潜水スピードを探知計測しておくべきだったでしょう。


 小説『ゴジラ-1.0』では「それで、ゴジラを絶対に殺せるんですか?」(P125)という質問に対して、海神作戦の発案者が「生態は未知のことが多すぎて、予測で対策を立てるしかないんだ」(P125)と答えています。


 おいおい、結局、信頼できるデータに基づかない直感のあてずっぽうかい?

 そんなことで大丈夫か? となりますね。


 ゴジラの潜水性能に関するリサーチなしで実施するのは、無謀すぎる……というのが真実ではないでしょうか。


       *


 それでも作戦は実施され、ゴジラを深海に沈めますが……

 作戦の第二段階として、ゴジラを急速に浮上させて、「凄まじい減圧」(P127)で体内に障害を発生させようとします。

 これは減圧症もしくは潜水病とも呼ばれる症状ですね。ウィキペディアによると「減圧によって体内にある窒素ガスなどの生理的に不活性なガスが過飽和の状態となり、その気泡が組織内や血管内に形成され引き起こされる障害」ということです。

 症状としては、呼吸困難や血圧の低下、あるいは脳障害、けいれんや手足の麻痺などがあります。当然、命にかかわります。


 これは理屈としては、ゴジラにダメージを与える手段になりそうですが、ゴジラ君がその体内に酸素や窒素などのガスを気体の状態で保持していなければ、減圧症(潜水病)の発症は期待できないことになります。

 先述しましたように、「酸素などのガスを分子レベルで筋肉の中に閉じ込める体質」であれば、急激な減圧によって気泡になることがなく、それならば減圧症(潜水病)になる恐れもないのですから。




    【次章へ続きます】




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