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第344話 強くて弱い少女1

 なんと、騎士たちからとんでもない事を言われる。

 国王が俺たちのことを呼んでいるだと?


「国王ってあの国王ですか?」

「あぁ、このアルケニア王国現国王でいらっしゃるアルブレイト・フォン・アルケニア国王だ」


 俺たちは特に国王の気に触るようなことをした記憶は無いのだが、強いていえばこの前の依頼だ。だが、あれは遂行したし、なんの問題も無いはずだ。

 だったら俺たちのようなのに一体国王が何の用だっていうんだろうか。少し訝しんでしまう。


 でも、国王からの呼び出しだ。なんにしても面倒くさいことになるのは確実だ。とはいえ、国王からの呼び出しに応じない訳には行かないだろう。

 仕方ないので俺たちは呼び出しに応じ、騎士たちが用意してくれた馬車に乗り込んだ。


 ここは街のかなり端の方なので、少し時間がかかるので、騎士さんに少し話を伺ってみることにした。


「どういう要件なのでしょうか」

「それは我々も分からない。ただ、君たちを呼んだということは相当な何かがあったのは確かだろう」


 相当な何かってことは、俺たちじゃないと対処出来ないような何かってことか?

 つまり、前回に俺たちがあの依頼を遂行したことを見込んでのことってことなのか? まだ推測するには情報が少なすぎるな。やはり直接聞くしかないようだ。


 数十分馬車で街中を走り、ようやく城の前に辿り着いた。

 馬車から降りて周囲を見渡してみると、そこには俺たちが乗ってきた馬車の他に何台かの馬車を発見した。そして、その中からは俺たちと同じように人が出来てくる。

 俺はその人物達を見て驚く。


「カナタ、ユユ、それにルル」

「あっちにはスイ、サキも居るな」


 どうやらみんなも俺と同じく呼び出されてきたようだ。だが、あの時依頼を受けた人としては一人少ない。――そう、ハルトが居ないのだ。

 でも、ハルトの場合、今はどこにいるのかも分からない状態だから仕方ないのかもしれない。俺でさえ、あいつは普段何をしてどこに住んでいるのか分からないのだから。


「あれ、ヒロ達も呼び出されたんですか?」

「まぁ、そんな感じだ。なんだか面倒事になりそうな気がしてならなんだけど……」


 しかも、この錚々たるメンバーを集めたってことは相当ななにかだろう。もしかしたらこの街が壊れてしまう危険性がある魔物の接近なのかもしれない。

 それくらいの危険度じゃないとこのメンバーをわざわざ揃えたりなどはしないだろう。


「それでは皆さん、こちらへ」


 一人の騎士が先導して俺たちを王の間に案内する。

 王の間の前に着くと、とんでもないくらいの大きさの扉が俺の前に出現した。

 これは遠目で見ても他とは明らかに違う扉なので、王の間だということが直ぐに分かる。


 騎士が二人がかりで扉を開けていく。その様子に俺は生唾を飲む。


 見回してみると、他の人たちも緊張している様子だった。なにせ、この国の国王に対面するのだから。

 少し前まで極悪犯罪者として知れ渡っていた俺が国王と対面する日が来るとは夢にも思っていなかった。


 そして、重そうな扉がゆっくりと軋みながら開いていく。

 その先にはとても広い空間が拡がっていた。


 対面の壁に隣接してあるのは玉座だ。そしてその玉座には小太りして派手な服を来ている男性が座っている。

 恐らくあの人物が国王だろう。


「アルブレイト様、件の方々をお連れしました」

「ご苦労」


 国王がそれだけ言うと騎士は直ぐに俺たちの後ろに退避した。

 君たちが先日、私の依頼を達成してくれたのか?


 約三名、依頼という言葉で疑問を抱いている奴らがいるけども、確かにこの前、依頼を達成したのは俺たちだ。


「はい、そうです」

「なるほど、ということは君たちは相当な力があると見える」


 やはり話し方的に俺たちの腕を見込んでの呼び出しのようだ。ということは、今回もかなり危険なことで呼び出したのだろう。

 果たしてそれはなんだろうか、そう考えていると国王の口から驚きの単語が出てきた。


「君たちにはスノーランド王国に遠征に行ってきて欲しいのだ」

「スノーランド王国ですか?」


 確かスノーランド王国はバスタガ王国よりももっと北にある国で、スイの生まれ故郷だったはずだ。

 その場所に俺たちで遠征にいけと? 一体、なんの意図があってこんなことを言ってきたのだろうか。そう思っていると、国王は直ぐに理由を話し始めた。


「理由としては、最近はやけにスノーランド王国の不穏な動きが多いのだ。だから、君たちにはスノーランド王国現国王モーデン・ガイラーのことを調べてきて欲しいのだ」


 俺はスノーランド王国の話を聞いて反射的にスイの反応を伺ってしまったのか、弾かれるようにスイのことを見た。

 すると、スイは暗い表情をして俯いてしまっている。恐らく、生まれ故郷ではあるものの、色々と辛いことがあったため、行くのは辛いのだろう。今回の依頼はスイに取ってかなり酷な依頼だと俺は感じていた。

 しかし、俺たちは国王直々の依頼なので、断れないのは事実。だけど、スイだけは免除してもらった方がいいのかもしれない。


「あの、国王」

「なんだ?」

「ここにいるスイ・ノイレンは事情があって、スノーランド王国に行くのはかなり辛そうなので、免除していただけたりとかは――」

「大丈夫」


 俺が交渉をしようとすると、スイが俺の交渉を止めてきた。

 スイは大丈夫だと言い、俺に微笑みかけてくれる。その微笑みからはスイの優しさを読み取ることが出来、俺を安心させようとしてるのが伺えた。


「分かった。だけど、絶対に無理だけはするなよ」

「分かってるよ」

「ということで、やっぱりなんでもありません」

「そうか? じゃあ、詳しいことの説明に入るぞ」


 少し不安が残るが、スイもこの依頼を受けるそうだ。

 今回の依頼は特に何も無ければいいのだが……。

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