表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
230/487

第230話 過去と現在、そして未来へ6

「もう! 私に挨拶も無しに居なくなるなんて水臭いよ!」

「仕方ねぇじゃねぇか。あの時は仕方がなかったんだよ」


 ルルは俺を正座させて説教まがいなことをしてきている。主に今まで寂しかったよ! という内容だが。

 どうにも久しぶりに俺の家に行ったら俺が居なく、カナタとユユに聞いたら俺は国外逃亡したというのだから、今の今までずっと世界中を飛び回って探していたのだとという。

 どんだけ俺を探すのに必死なんだよ……。俺一人探すために世界中を飛び回るって……。どうやらかなりの心配をかけてしまったようだ。


「えーっと、どなたですか?」


 そう言えばマイに昔の仲間に合わせるのは初めてだったな。マイはカナタたちよりも特殊だからマイがどう思うかは分からないけど今は紹介するしかないな。


「こいつはルル。ドラゴンだ」

「ドラゴン!?」


 そりゃ驚くだろうな。何せルルの人間化時はとても美人で普通の人間にしか見えない。それがドラゴンだと言うのだからな。

 俺はルルと出会ったのはドラゴン時だったのでドラゴンが普通になっているのだが、それは俺とカナタ、ユユしかドラゴンのことを知らないからな。サキとスイにも説明しておくか。


「こいつはドラゴン族なんだが、スキルのお陰で人間の姿にもなれるんだ」

「「「「えぇ!?」」」」


 もちろん四人とも驚いたようだが、ユキが一番驚いているようだ。何せ、以前に見たのがあのデスワイバーンだもんな。そりゃ野蛮というイメージがついてもおかしくはないが、ルルたちのドラゴン一族は結構友好的なのだ、その代わり全員変わってはいるけども……。

 あいつらドラゴンのルルと俺を結婚させようとしてくるくらいだからな。やっぱり助けるべきじゃなかったかな?


 それよりもルルにも言っておかないといけないな。ここで裕斗なんて呼び出したら面倒なことになる。

 マイにはジャックということにしているから、ここで裕斗なんて呼ばれたらマイとも一緒にいられなくなるからな。釘を刺しておかないといけない。


「そう言えば、ひろ――」


 その瞬間、光の速さを超えた速度で俺はルルの口を塞いでいた。言ったそばから言いそうになっているし……。危なかったな。

 そのままマイたちから離れるとルルにこっそりと耳打ちをする。


「ルル、俺は今ジャック・ステイリーということにしているから、裕斗って呼ばないでくれるか?」

「ん? よく分からないけど分かった」


 心配だなぁ……。まぁ、呼びそうになったら全力で阻止するだけだがな。


「それはそうと、サキとスイは分かるけど他の二人は誰? 本命はもちろん私だよね」

「……あの獣人はユキ、俺の相棒だ。そしてもう一人はマイ・クラタガだ。マイはカラタさんの妹、よく見てみると面影があるだろ?」

「確かに、何となく眉毛とかが……なんとなくだけど」


 ちなみに本命がどうのこうのって部分は敢えてスルーした。こういう質問はスルーするに限るものだ。答えたら面倒なことになる。

 第一、こいつはルルと言って欲しいんだろうが、俺はルルと結婚する気はない。確かにルルは美人だが、ドラゴンだぞ?


「で、ルルはなんでずっと探していたんだ? カナタたちにもう帰る気は無いとか着いてくるなって言われなかったのか?」

「だからこそ来たのよ!」


 強い意志を感じる言葉だった。そう言えばサキとスイも同じことを言っていたな。こいつらは着いてくるなとかの言葉は無視する主義なのか?

 深いため息が出る。まぁ、見つかったものは仕方がない。ルルがこう言ってるからには無下には出来ないだろう。この後何を言い出すのかも読めてしまっているからな。以前にも同じことがあったし……。


「どうせお前も一緒に行くって言うんだろう?」

「当然よ。それ以外にはありえないわ」


 やっぱりか……。まぁ、今俺が泊まっているのはマイの家だからマイが何を言うかは知らないけど、もう二人も連れて行ってしまっているんだ、二人も三人ももう変わらないだろう。

 仕方がない。ルルも仲間に迎え入れるか……。


「了解した」

「やった!」


 そこまで話したら俺とルルはみんなのもとへ戻った。

 ルルが仲間になったってことを伝えないといけなしな。でも今回のクラン戦にはこの五人で出るつもりだから、登録はその後でもいいだろう。

 確かにルルの力があったらもっと楽になるだろうが、今仲間を増やしたら面倒なことになりそうだな。ギルドマスターに何を言われるか分かったものじゃない。


「あー、ルルが仲間になった」

「「「「……」」」」


 なんか、俺のことをジト目で見てくるんだけど……。しかも何故かルルまで同調してジト目で見てきている。その目は痛いからそんな目で見ないで欲しいんだけど。


「それじゃ、片付いたことだし剣魔法王者決定戦の続きを見に行くか」


 どうやらルルのお陰で誰にもバレずに魔物たちを倒すことに成功したようだ。

 最後の挨拶も出来なかったルルにも会えたし、結果オーライだな。


 そして俺らは闘技場の観戦席に戻って残りの試合を楽しんだ。ルルは先程着いたばかりだったので、途中から見ることになったが、それでもダントやパイプが勝ち上がってたので、その二人の試合を見て興奮している様子だった。

 俺にとってはダントが勝っているのは面白くはない光景だったが、実力は認めているのでしっかりと見ておくことにした。

 決勝戦、パイプとダントになった。しかし、ダントのスキルにスキルを持っていないパイプが勝てるはずもく敗北してしまった。結局ダントの優勝だ。面白くない。


『これにて夏季剣魔法王者決定戦は終了です! ではまた次回をお楽しみに!』


 終わったか……それじゃあ帰るとするか。

 そうして出口に向かって振り返る、その時だった。視界の端に映ったカナタの視線がこちらに向かっていた。というか、ガッツリと目が合ってしまった。

 これは面倒なことになりそうだな。そんな俺の考えはつゆ知らず、みんなは先に歩いていってしまう。それに続いて自然に俺も外に出ていこうとしたのだが、急に後ろから引っ張られるような感触が……。

 周りにはもうほとんど人は居なくなっていた。しかも見ず知らずの人を後ろから引っ張る人なんて居ないだろう。となれば、一人しかいない。


「ヒロ? もしかしてヒロなの?」

「違う。ジャック・ステイリーだ」


 やっぱりカナタだ。面倒なことになったな……。もうカナタとは関わらないって決めたのにこんな所で会うことになるとは思わなかった。

 だけど、カナタに関しては連れて行ってと言われたからってホイホイと連れていく訳にはいかない。これ以上、危険なことに巻き込む訳にはいかない。


「いいえ、あなたはヒロです。その鬱的な表情は間違いなくヒロです! 今までどこに居たんですか!? 心配してたんですよ。一緒に帰りませんか?」


 鬱的表情って……もっと別なところで見極めて欲しいんだけど、一体どんなところで判断してやがんだ。

 それにしてもカナタは仲間にしろではなく一緒に帰ろうと来たか……。確かに魅力的な提案ではあるが、俺は帰ったら即死刑執行されるだろう。だからそれだけは出来ない。

 心配をかけたのは申し訳がないと思うが、ここは諦めさせるためにも気が進まないけどやるしかないか。


「失せろ」


 その瞬間、カナタは尻もちを着いた。そう、威圧したのだ。

 以前より俺は何倍も強くなった。カナタ一人くらいビビらせるのには十分だ。


「もう、俺に関わんじゃねぇ。ろくなことが起きねぇぞ?」


 そう言ってその場を去ろうとする。しかし、背後でカナタが立ち上がった気配があった。まだ何があんのか?


「最後に、最後にお願いを聞いてもらえる? 恐らくもう、最後の」


 最後の願い。その言葉に俺は反応して立ち止まってしまった。それくらいなら聞いてやっても良いだろう……。


「今のあなたには他に仲間がいるだろうけど、その仲間達のお願いを、私にしてくれたみたいに聞いてあげてね。ヒロは優しいから」

「……優しくねぇよ。俺は最低だ」


 俺はその言葉を最後にその場をあとにした。これ以上カナタと話していてもいいことは無いだろう。俺は重罪人だ、そんな俺と関わったことがバレたらどうなるか分かったものじゃない。

 そして闘技場を出るとそこにはみんなが居た。待たせてしまったようだ。

 とりあえず遅れたことを謝って歩き出す。するとスイは俺に耳打ちをしてきた。


「あなた、昔の仲間によくあんなに殺気を放てるわね。好きなんじゃないの?」


 カナタに会っていたのがバレていたのか……。やっぱりスイには抜け目がないようだ。俺が気がついたらスイも気がついていると思ってもあながち間違いでは無いのだろう。

 あと、好きって言う単語はスルーする。


「脅しだ。本気じゃない。本気だったら今頃あいつは気絶してるだろうよ」


 今日は色んなことがありすぎて疲れてしまったな。

 俺は欠伸をしながら掌を何も無い方へ向ける。その行為にスイ以外は首を傾げる。これは誰にも言っていないのだが、スイにはどうやらバレていたようだ。やっぱりスイには隠し事は出来ないようだ。


「空間と空間を繋ぎ合わせろ『テレポート』」


 するとワープゲートが俺の掌の先に出現する。それを見てスイ以外は驚いたようだ。マイに関しては身を乗り出して若干涙目だ。スイはやれやれと言った様子で呆れているようだ。


「帰る……ぞ?」

「わ、私はもうお払い箱ってことですか? 私から風属性を奪って捨てる気ですかお兄さん!」


 ものすごい形相で俺を揺らしてくるマイ。何の話だか分からないけど何やらものすごい勘違いをしているようだ。


「捨てないから、安心しろ」

「本当ですか?」

「あぁ、本当だ」


 そういうとマイは安心したようだ。俺とマイのやり取りを聞いてどうしてかみんな呆れた表情をしているが、俺が何かしたか?

 どうしてかは分からないが俺はみんなを怒らせてしまったらしい。覚えておいたら便利だからテレポートを会得しておいたんだけど。


「はぁ……とりあえずジャック。当分はテレポート使用禁止ね」

「ん? あぁ」


 スイに禁止されてしまった。仕方がないからこれからはマイに頼むことにしようか。あんまり負担をかける訳にはいかないという考えからなんだけどな。

 こうして俺らは会場を後にしてバスタガ王国に帰還した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ