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第188話 スキルの特訓16

「スキル発動『身体強化』」


 ここで俺はスキルを発動した。

 俺のスキルは身体強化。身体強化の項目には筋力も含まれている。なのでさっきと同じく殴っても威力が桁違いだろう。


「今のは無傷だったかもしれないが、今度はそうは行くかな?」


 俺は再びブーストで駆けだした。俺の筋力はさっきの倍以上。そのため、ブーストも合わさって物凄いスピードになった。

 物凄いスピードのため、遠くの山に吹っ飛んだデスワイバーンまで辿り着くのは一瞬だった。

 一瞬で辿り着いた俺は挨拶がわりとばかりに、その勢いのまま回し蹴りをデスワイバーンにお見舞した。


 その蹴りを受けてデスワイバーンは再び叫び声をあげた。


 これはさすがにダメージとなったようだ。そう思って浮かれているとその瞬間、デスワイバーンの手が俺の足に伸びてきた。

 俺は空中でアンチグラビティーを自分にかけて回避しようとするも、時すでに遅し。俺の足はデスワイバーンに完全に掴まれてしまった


「くそ、離せ!」


 そう言うとデスワイバーンは砲丸投げの容量で俺を投げ飛ばした。離せとは言ったが、そうじゃない。

 そのまま俺は地面に激突。物凄い勢いで投げ飛ばされたので大ダメージ。恐らくデスワイバーンより俺のダメージ倍率の方が高めだろう。筋力と防御力の差だ。

 やはり人間とドラゴンでは筋力の差が激しい。

 しかし、唯一良かったのはこれだけ激しく叩き付けられたのに受けたのはダメージだけで骨の方の損傷は無さそうだ。


 そんな俺を心配してスイ、サキ、ユキが駆け寄ってきた。


「お兄ちゃん」

「あなた、大丈夫なの?」

「ユーザも無茶なことをさせるよね」


 みんなは心配してくれているが、その心配は無用だ。俺はまだまだ戦える。

 このダメージで済んだのはスキルのお陰なのかもしれない。スキルの身体強化は防御にも影響するのだとしたら、これほど頼もしいスキルはそうそうない。


「大丈夫だ。ユキ。あいつの行動を制限してくれないか?」

「わかった」


 ユキは詠唱を始めた。やはり俺では聴き取れない異世界言語だ。サキ以外の詠唱は基本的に聴き取れないようだ。

 そして詠唱が終わるとユキはデスワイバーンに手のひらを向けた。恐らく俺のフックアンドショットみたいにターゲットを絞っているのだろう。


「あなたの行動を制限します『スロームーブ』」


 その瞬間、デスワイバーンに鎖が巻かれたような錯覚を覚えた。いや実際に巻かれたのだ。

 ユキの鎖はデスワイバーンを縛りあげ、動きを制限した。翼も縛られて動かせなさそうだ。

 ナイスだ。ユキが作ってくれた隙、絶対に逃してたまるか!


 俺はまたまたブーストで駆けだした。

 さっきと違うのはデスワイバーンは自由に動けないって事だ。その状況を利用して今のうちに大ダメージを与えてやろう。そう思ったのだが、俺は一つ失念していた。

 ドラゴンの攻撃がなにも、物理だけでは無いって事を。


「何!?」


 ドラゴンは火を吐いてきたのだ。しかも俺が至近距離に来たタイミングでだ。

 ドラゴンは知性がある。そのため、タイミングを狙うことも出来るのだ。これはやられた。

 こんな至近距離で放たれたら回避することができない。アンチグラビティーも間に合わない。ゴーは発動までタイムラグがある。

 無理だ。これは受けるしか無い。


「重力の奇跡『アンチグラビティー』」


 攻めてもの抵抗でアンチグラビティーで防御壁を作る。しかし、そんなもので耐えられるはずもなく、成す術無くそれを受けてしまった。


「ぐ、あ、あぁぁぁぁぁ」


 熱い。物凄く熱い。焼ける。

 これは間違いなく今まで感じたどんな熱よりもダントツで熱い。

 俺の油断が招いた結果だ。それだけに悔しかった。ドラゴンに隙を突かれたことが物凄く悔しかった。


 俺を襲った炎は俺の背後の雪原を焼き焦がす。

 辺りの雪は一瞬で溶け、その下に埋まっていた草花は燃え始めた。まるで地獄絵図だった。

 スイも近くに居たため、熱気でダウンしてしまった様だ。

 今辛うじて立っているのはサキとユキ。俺も炎の放出が終わったら力なく倒れてしまった。

 全身を火傷してしまって力が入らない。そのため、そこでスキルを解除してしまった。


「お兄ちゃん、今回復します! 生命の力よ、汝に一時(いっとき)の祝福を『ヒール』」


 とりあえずサキはパッと見重傷そうな俺から回復したようだ。

 それなら戦いを辞める訳にはいかない。


「ねぇ、ヒロト」


 その時、ユキが俺のもとへ来て俺に話しかけてきた。その声はとても震えていて、いつもの無機質な声じゃ無かった。


「こんなドラゴンを倒せなんていうバカは放っておいて一緒に逃げよう?」


 ユキから出てきた言葉はそんな意外なものだった。


「今の一撃でわかったよね? 私達じゃあいつは倒せないってことが」

「あぁ、そうだな」


 今までの俺なら今の一撃を食らって速攻諦めていただろう。だが今の俺は違った。

 スイから教わったのだ、諦めないことの大切さを。


「なら!」

「だけど諦めないよ。絶対に……みんな必死に戦っているのに俺だけ逃げる訳にはいかない」


 サキもスイも、多分今の一撃を食らってだいぶ戦意を喪失して喪失してしまっただろう。だけど諦めない。それがこの二人の凄いところだ。こういう所は見習わなくてはいけない。


「何よそれ。どれだけ頑張っても勝てない存在ってのも居るんだよ!? そんなの、ただの死に急ぎだよ!!」

「死に急ぎか……そうだ、俺らは死に急ぎの集まりだ。どれだけ強い相手でも最後の最後まで戦う」


 俺らのやっている行為は死に急ぎ行為なのかもしれない。だけど俺らのやっていることは間違いだとは思わない。

 守り、守られ、そうやって俺らは戦っていく。最後の一秒、己の命が尽きるまで。


「スキル発動『身体強化』」


 体力的にこのスキルが限界だ。これが敗れても次は使えない。

 リラックス草を食べる。スキルは体にすごい負荷をかける。もう一回使うようなことがあれば慣れていない俺は爆散してしまうかもしれない。

 だから、これが最後だ。


「ユキ、これが諦めない力だ!」


 俺は思いっきりブーストで駆け出し、デスワイバーンに急接近する。

 そこで俺はスイを回復させようとしているサキが狙われていることに気がついた。


「どこ見てんだ! 聖光の波動」


 俺はスキルを発動した状態なら無詠唱で魔法を放てる。それを利用して少し発動に時間がかかるブレスが発動される前に聖光の波動を放ってブレスをキャンセルした。

 そのままデスワイバーンに急接近。


 その時、俺はとある言葉を思い出していた。

 今の力だったら本気で殴れば、このデスワイバーンすらも飛ばせる。でもそうすれば遠距離で物凄い攻撃を放てるデスワイバーンの方が有利になってしまう。


『力のコントロールだ』


 今まで特訓してきて一度も成功することの無かった力のコントロール。そんなのに最後のスキルの力を託していいのか?

 でもやるしかない。


 デスワイバーンは俺にそのでっかい拳を振り下ろしてきた。

「ゴー」

 その一撃は炎よりも遅い。ゴーで躱せないものでは無いのでゴーで回避。

 そこからまたブーストで加速をつけた。

 デスワイバーンは今拳を放ってしまったせいで胴体ががら空きだ。そこに懇親の拳を叩き込む。


「これが俺の力のコントロールの答えだ!!」


 物凄い衝撃波が放たれた。しかし、デスワイバーンを一ミリも動かさずに殴ることに成功した。

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