拝命
レンジの試合が終わり、ミレイはレンジが転送される部屋ではなく真っ先に近くの教会に向かった。
教会のシスターはミレイが現れたことに驚く。
ミレイは悠然と歩き、正面にいるシスターに「個室礼拝室をお借りします」と断りを入れる。
聖女というジョブを持ったミレイは教会内において体内より生成される神聖属性の魔力(スキル効果によるものゆえに普通の人にはなく教会関係職のみ得られる属性)が倍になりその姿は天使と見間違えるほど神々しかった。
シスターは思わず見惚れ、ミレイはその様子に軽く肩を戦いて過ぎ去る。
「あ、わかりました。ご自由に!」
という声が後ろから聞こえてくる。
個室に入ったミレイはすぐさま祈りを捧げ始める。
するとミレイは神聖属性の光に包まれてその場から姿を消したのだった。
※※※
「なるほど、そういうことでしたか。うん?あれ、みれい!?」
「おお、すごいね。一度この場に訪れたとはいえ招いてもいないのにこの場所にたどり着くなんて。いや、君がいるからかな?」
「おや、ミレイではないですか」
「あ、私のお気に入りのミオのライバルだね!」
ミレイは聞きなれた声に目を開けるとそこには愛しい人がいた。
「レンジ!」
「おっと、ミレイどうしてここに?」
レンジを確認してすぐに胸元に飛び込んできたミレイ。
レンジは彼女の突進の威力を殺しながらやさしく受け止める。
「レンジ君がね、心配だからね、わたし、わたし・・・」
涙目うるる上目づかいでか細い声を出されたレンジは心配をかけたことを実感しミレイを抱きしめて優しくなでる。
よくよく考えればミレイの前ここまで負けることは結婚した後だとほとんどなかった。
「ごめん、ミレイ。心配してくれてありがとう」
そういうと感極まったミレイはレンジの胸元で泣きまくる。
数分経つと涙も止まり、スー、スーという音が聞こえる。
どうやら眠ってしまったようだ。
レンジはミレイをなんとか(寝てるはずなのにすごい力れ抱き着かれていた)はがし御姫様抱っこする。
「エイト様、どうやら私を心配してる人がいるようなのでそろそろ」
「そうだね。僕も楽しかったよ。ああ、それとミレイ君はルーに任せてあげて。たぶん彼女はここに無理やり来て消耗してる。神殿か教会から神聖属性を無理やり使ってるようだから帰りはルーに回復がてら遅らせよう。ルー、お願いしていいかい?」
「はい、わかりました」
そういうとルーと名乗った少女は小鳥に変身する。
「やはり生命神様でしたか。それでは、コマさんも・・・」
「そう、私が破壊神」
そういって彼女は黒猫に変身し、エイトの方に乗って彼に頬ずりする。
「くすぐったいよ、コマ。そうだ、レンジ君」
「はい、なんでしょうか?」
レンジは抱えていたミレイを床におろし、ルーに「お願いします」と一声かけるとエイトに声を掛けられる。
「ミクス、という少女に目をかけてあげてほしい」
「私も彼女には伸びしろがあり、未知の可能性があるとは思いましたが、なぜ私に?」
少し困惑気味のレンジにエイトは堂々と仁王立ちし、言った。
「高坂レンジ、高坂エイトの名においてミクスレイ・ルン・フォートレイに高坂流の剣技を教えることを命ずる。・・・理由は指導すればわかる」
「はっ、高坂流師範 高坂 レンジ、拝命いたします」
レンジは片膝をつき、エイトに頭を下げる。
その様子をルーに少し回復させてもらって意識を取り戻したミレイが不思議そうに見るのであった。
「それではそろそろ戻そうか、レンジ君。君には期待してるよ」
「それはなんとも複雑ですね」
「そしてミレイ君。君は願い果たされて弱くなったかと思ったが、どうやら杞憂のようだ。君にも期待してるよ」
「私はあなたが嫌いなので、そんな期待はいらないです!」
「ずいぶんと嫌われてしまったようだね。・・・それでは、返そう。また、会おう」
「はい、次こそは勝って見せます」
そういってレンジは光に包まれる。おそらく送還されたのだろう。
「では、ミレイ。渡したも行きますよ。帰りが私が送ってあげます」
「ありがとうございます、生命神様」
「ミレイ君。―――」
「っ!?・・・そんなことダーリンは一言も」
「君を心配させないためだろう。まあ、日常活動に問題はないだろう。でも・・・」
「わかりました。あの力は私が使わせません」
「ありがとう。彼はあれがなくても強いからね。地球の神は本当に余計なことしてくれたよ・・・」
その言葉を最後にミレイはルーによって祈りを行った個室の礼拝室に戻るのであった。




