ミオとの再会、兄との邂逅
「あ、僕です。レンジです」
そう言って目の前の男はメガネとマスクを外す。
そこにはレンジがいた。
マスクによって変わっていた声は年相応の軟い物腰のものとなり、夜空でも見ているような透き通るきれいな黒の目が現れ、レンジが目の前にいると自覚したミオは胸の中が苦しくなった。
・・・まただ。レンジ君を見ていると胸がキューと苦しくなっちゃう。
「うん?ミオさん、大丈夫ですか?体調でも?」
レンジはミオが顔を赤くして胸を押さえた事により、心配して駆け寄る。
しかし、ミオは恥ずかしさから、距離を取ってしまう。
「大丈夫です。でもなぜここに?」
「ああ、あなたに言った通り友達の所にね」
「あなたの友達は王城勤めなの?」
もっともな疑問だ。
確かにここに自分がいるのは不自然すぎる。
「うーん、呼びだされることが多いのかな?たぶん普段からここにいる事はない思うよ。まあ今回は、ちょっと暴走しかけたから、落ち着けるために呼んだみたいなものかな?」
「へぇ…そうなんだ。そういえば、その服に合ってる。でも、執事とは違うよね?」
「そう?似合ってるのは嬉しいな。ありがとう。これはこう見えて、護衛服なんだ」
「・・・他の大陸の迷宮産?」
「まあ近いかな?…ミオもこれから用があるんだろ?自分はこれで失礼するよ」
レンジはミオが今来てる魔王の従者と思っていた。
それに二人に帰るといった手前、他の女性と一緒にいるのはまずい。
なのでそう言って去ろうとするレンジは背後から服をつかまれ足を止める。
「・・・少しお話したい」
「・・・でも」
「ちょっとでいいから」
レンジは少し考え、上目ずかいで頼んでくるミオに負けて了承した。
※※※
自分は今応接室にいる。無論マスクにメガネはつけてある。
ミオが一人でないことは予想していたがお兄さんときているとは知らなかった。
応接室に入ってそうそう、「さぁこい、ミオ」といって腹を突き出してきたときには思わずほうけてしまった。
まあ、そのあとミオが瞬間的にお兄さんの懐に入り、僕の教えたやり方でパンチを放ってお兄さんは回転しながら飛びかけたから僕が鉄壁〈モード:クッション〉で受け止めたけど、普通の戦士だったら即死クラスとわかり、少々ミオが怖くなったが、羞恥に悶え、顔を真っ赤にする顔はかなり可愛らしく思わず見とれてしまった。
ともかく、お兄さんはしばらく寝かせておけば治るということでソファに寝かせておいた。
そしてミオと二人っきりになる。
・・・正直話題が無い。
この世界の事をろくに知らない自分にとっては何が喜ばれるのか、何がタブーなのかわかっていないため不用意に話せないのだ。
「・・・」
ミオはレンジの顔を見つめて満足そうな表情をしていて、視線が合うと目をそらす。
…意味がわからない。
「・・・」
そうこうしているうちに5分ほどたつ。
気まずい雰囲気の中ミオを見ると、頬を赤く染めて心なしか息遣いが荒い気がする。
「みお?大丈夫か?」
「え?ああ、大丈夫。・・・しかし少し暑くないかしら?」
そう言って彼女は上着を脱ぐ。本当に暑かったのであろう汗をかき、それを吸った服が彼女の体のラインをかなり浮だたせていた。(ミオの女性としての発達はかなりすごい。…身長は最初話題に困って聞いた時に同じ年(※17歳)と聞いて、思わず「小学生かと思った。」と言わなかった自分を褒めて欲しい)
「・・・ミ、ミオ。そういうのは少し気にした方がいいんじゃないか?」
自分がそういうと、ミオはいたずらを思いついた小悪魔のように笑い、レンジに近づき顔を胸元で抱きしめる。
レンジはまるで金縛にあったように動けなく柔らかな双丘に包まれてしまう。
「・・・ね、ねえ。私、汗臭い?」
「え?えっと・・・そのまえに」
「これから王様にあうの」
・・・ちょっと待ってもらえますか、ミオさん。死ぬ!その豊満な双丘で窒息死しそう!しかもなんかいい匂いするし、やばいって。下がテントはりそうだから!
「汗臭くはないですけど…」
「けど?」
ミオが手を緩めたので顔を上げて新鮮な空気を吸う。
ただその空気にも彼女の匂いがして、少し汗が出る。
「ちょっとびしょびしょすぎるかな?と、おもって」
「それは透け透け、ぴちぴちで目のやり場に困るという事?」
彼女は恥ずかしがってるレンジを見て嬉しそう聞いてくる。
すると、レンジは「それもあるけど・・・」とSPの解呪を使って金縛を解き、離れてメニューを操作する。
「そのままだと風邪ひきますよ」
そう言って僕はスト-レージからタオル取り出す。
ミオはそれ受け取り「仕方ないな・・・」と言いながら体を拭こうとする。
もはタオルを体に当てると固まった。
そして匂いを嗅ぐ。
・・・何かにくさかったか?あ、もしかして俺がすでに一回使ったやつか?
「・・・」
「ミオ?」
「・・・」
「みお?・・・おーい、ミオさん?」
ミオから返事が無いので肩をゆすると自分に鋭い視線を向け、驚いた顔をすると自分との顔の近さに驚いたのか頬を真っ赤にしめて少し距離を取る。
「あ、あの。レンジさん・・・」
なぜ、敬語?
「うん?」と、とりあえず返事をする。
「もしよかったら私のp・・・」
その時、「ミオ――――――――――!」言ってトールが起きた。
「はっ。あれは夢か・・・」と周囲を確認する。
そして室内にいる自分に気づき、そして頬を真っ赤にしている妹に気づく。
それからのトールの動きは早かった。
「・・・妹になにをした?」
彼は自分のくびに手刀を当て、そう聞く。
「わたしはミオさんお友達のレンジというものです」
「ほう、友達と言うか・・・ふざけたことを!」
現魔王に擦り寄る良からぬ輩と思いトールは手刀を振るう。
・・・しかし。
「・・・あ?」
その瞬間、トールは死を予見した。
故に反射的に距離を取った。
それはほんの一瞬。
ただ、ほんの一瞬と言う長い時間トールは死んだ。
そしてトールは理解した。
彼もまた、自分のまだ届いていない高みにいる人物だと。
トールは急いで距離をを取り、レンジを警戒する。
「いい反射をしてますね。・・・努力の賜物ですかね。いいですね、嫌いじゃない。まだ伸びしろは十分そうだ。もっと、訓練をがんばってください」
レンジはトールに向けて、ほんのすこし意識を込めた殺気を強めに当てる。
それは、トールに無数の殴殺を幻視させた。
「・・・は、はい」
トールは膝をつき、びっしょりと汗をかきながらそう返事をした。
すると、さっき一瞬発せられた殺気が嘘のように消え、そこには純朴そうな青年がただ座ってお茶を飲んでいるだけだった。
トールは自然に敬語になるほど彼を強敵視していた。
「さて、自分はそろそろ帰ろうかとおもいます。ミオさん、さようなら」
「・・・あ、うん。バイバイ。レンジ君」
ミオはレンジに手を振り送ってゆく。
彼がドアを閉め、足音が聞こえなくなるとトールはミオに聞く。
「・・・あいつ何者だ?」
「レンジ君」
「・・・あ、お前の言っていたライファーの3人目」
「うん。ちょっとかっこいい」
「そ、そうか・・・」
トールは殺気を当てられたせいかレンジに対して若干の苦手意識が芽生えていた。
「しかし・・・伸びしろか」
トールはレンジの言ったことを思い出していた。
「彼には俺の伸ばすべき場所がわかっているという事なのか?」
トールはレンジの消えた扉を眺めそうつぶやいた。




