第898話 100日目 ファルケ国領主邸がある街に到着
夕方、武雄達はファルケ国領主邸がある街に到着していた。
城門での受付を済ませ、今はのんびりと宿探しだ。
「はぁ・・・何事もなく来れましたね。」
武雄が馬を引きながら言う。
「そうですね・・・
向こうを朝一で出て少し早く移動して正解でしたね。」
アンダーセンが頷く。
「あぁ、確かに。
一般的な馬の移動速度だともう少し時間もかかって着くのは夜だったでしょう。」
マイヤーも頷く。
「所長、宿どうしますか?」
ベイノンが聞いて来る。
「城門が見れる位置が良いでしょうし、そこまで高くなくて良いですよ。
あ、それとここは2泊の予定でお願いします。
少し街中を見たいので。」
「わかりました。
んん~・・・じゃあまずはそこに聞いてきます。」
ベイノンが勘的な物で宿を見てまずは聞きに行く。
武雄達は聞きに行っている間、道端でのんびりとするのだった。
・・
・
「1軒目で宿が決まるとは・・・流石ですね。」
「たまたまですよ。
数軒当たってもダメな時はありますので。
それに大部屋ですからね。
この人数用なら結構空きがあるのかもしれません。」
武雄が室内を見ながら素直に感心しているとベイノンが苦笑する。
今回も数部屋あり湯浴み場と厨房が完備された部屋が取れた。
「と、夕食の買出しをしないといけませんね。」
武雄がお茶を淹れるか迷う。
「所長、ここは2泊ですが、何かあるのですか?」
「これは私の部下の鈴音の依頼ですけどね。
楽器の問屋さんに行ってきます。」
「「楽器ですか?」」
オールストンとアーリスが聞いて来る。
「ええ。
マイヤーさん、ほら、鈴音が王都で弾いていたやつですよ。」
「あぁ、高音で奏でる不思議な奴ですね。
お前達もエルヴィス領に異動したらスズネ殿に聞かせて貰うと良い。
何とも言えない・・・割と聞きごたえがある音色だぞ。」
マイヤーが頷く。
「それはアズパール王国にないのですね。」
ブレアが聞いてくる。
「ないな。
所長、これは最近作られたのでしょうかね。」
マイヤーが聞いて来る。
「でしょうね。
それに音楽や絵画は芸術ですからね。
芸術は国が豊かで余力がないと発展はしないでしょう。
そういった意味ではウィリプ連合国はアズパール王国より余裕があるという事になりますね。」
「奴隷の上で成り立っている余裕ですか。」
ブレアが難しい顔をさせる。
「それも一つ。
国が形成されているならこの国にはこのやり方が合っていたのですよ。
それについてアズパール王国の者がとやかく言う事ではありません。
自分達が正しいというなら・・・まぁそれは後日でしょう。結果を示せば良いだけです。」
武雄も難しい顔をさせる。
と、不意に扉が不均一にノックされる。
皆が警戒しながら扉を見る。
すると再度同じノックがされる。
「・・・?
所長、これは違いますね。」
ベイノンが武雄を見ながら言う。
「・・・誰でしょうか。」
「たぶん知り合いです。
開けて良いでしょうか。」
「どうぞ。」
「はい。」
ベイノンが扉を開けに行くのだった。
・・
・
「二研殿、失礼します。」
入って来た男2名が武雄の前で礼をする。
武雄達はリビングの机に陣取っていた。
「ベイノンさん、説明をお願い出来ますか?」
「はい。
彼らは王都守備隊 第一情報分隊で私の元部下です。
何でいるんだ?」
ベイノンが2人に聞く。
「はっ!先の王城への侵入者の追跡でこの街に居ます。」
その言葉に皆が真顔になる。
「・・・そうですか。
マイヤーさん、カトランダ帝国であった盗人ですよ。」
「あぁ、ルイ・セイジョウですか。
王城の宝物庫の報告書は読みました。
この街にずっと滞在しているんだな?」
マイヤーが聞く。
「はっ!
他の町や村を経由もせずにここに来ました。
この街に滞在しており、宿も変更していません。
監視は続けております。
本日の追跡班の食材を買いに行った際に二研殿達が見えましたので挨拶に参りました。」
「ふむ・・・所長、どうしますか?」
「あ~・・・一応仕事でこっちにくる事は彼に言っているんですよね。
まさか待ち伏せかぁ。」
武雄が悩む。
「そのセイジョウという者は外部との接触をした可能性はあるのか?」
アーリスが聞いてくる。
「宿に泊まっている関係上、滞在者との接触は可能です。
むしろここは彼らの庭です。
していないと思う方が無理です。」
「確かに。
そのセイジョウが居る宿はどこになる?」
「はっ!地図を。」
そう言うと説明していた者とは違う男が地図を出し皆の前の机に置く。
「こちらがこの宿。
そして侵入者がこちらになります。」
「・・・?
なんだか微妙な距離ですね。
5路地先ですか?」
武雄が腕を組んで悩む。
「ええ・・・その・・・こう言っては何ですが、二研殿は貴族であり使節団です。
なのでこの侵入者がいる街区にある宿に泊まるのが普通かと。
こちらは商隊が泊まるような部屋ですので・・・想定していないのではないでしょうか。」
凄く言い辛そうに言ってくる。
「うん。
別に気にしていませんよ。
そうですか。
・・・一つ質問です、どこまで追いますか?」
「一応、命令として住み家がわかるまでになりますが・・・こう動きが無いと・・・
見切りとしてはあと2週間程度になるかと思います。
たぶん二研殿が戻られる時には一緒に戻る事になるかと。」
「ふむ・・・
なら私への報告はこれで終わりで結構です。
貴方達は仕事を続けてください。
また、私達が動き出し彼らも動いたとしても報告は不要です。
万が一、私達が彼に襲われていれば助力は欲しいですが、それ以外はする必要ありません。」
「よろしいのですか?」
報告に来た男が驚いたような顔をさせる。
「彼が私を目的と言うなら尾行か接触をしてくるでしょう。
接触するならそれなりに対応しますから気にしないでください。
それに接触をしてきて同行する可能性はありますが、いつかは別れます
貴方達は彼を追ってください。」
「はい。」
「・・・こっちから接触するのもありか。」
武雄がニヤリと笑う。
「所長・・・顔が悪くなっていますよ。
それに彼らは第一情報です。
所長が何か向こうと繋がっていると思わせる素振りはダメでしょう?
陛下や総長にそのまま報告が行くのですよ?」
アンダーセンがため息をつく。
「それで良いでしょう。
私に謀反の兆しがあるならそう報告するべきです。
私も知らないうちに操られている可能性は否定は出来ません。
審議は向こうですれば良いのです。
それで対決するならすれば良い。
私の味方はヴィクターにジーナにミアにパナとビエラですか。」
「やりたくない面子ですね。」
マイヤーがため息をつく。
「まぁ私は陛下からやりたいようにしろと言われていますが、エルヴィス家が不利になるような事はする気はありませんよ。
さて、私達はこの街を明後日の早朝出立します。
予定に変更はありません。
彼と接触をするかは明日の行動によりけりです。
明日は問屋街や雑貨屋等々街を見ます。
こちらからは以上です。」
「はっ!了解いたしました。
二研殿、失礼いたします!」
2人の男は武雄に礼をして退出していくのだった。
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