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第897話 99日目 武雄達の報告会(難しい事。)

皆が湯浴みを終えて武雄達は寝る前の会議をしていた。

お茶請けは武雄が夕飯の時に作ったキュウリの塩漬けだった。

ちなみに皆は意気揚々と湯浴みに行き、首を傾げながら上がって来るのを武雄は特に説明もせずに楽しそうに見ていた。


「なるほど。

 マイヤーさん達も同じような話になったと。」

武雄が腕を組んで考えていた。

「ええ。

 やはり奴隷国家という側面は難しいですね。」

「政策上は最低30年での解放ですが、実質は残り契約期間(・・・・・・)中の同業者間売買(・・・・・・・・)結果的に長期間の契約(・・・・・・・・・・)になっているという事です。」

「さらに問題なのが、一番酷使しているであろう農業関係者が忠実に守っているとの事で、この辺の話が噂程度に知れ渡っていて農業関係者と商業関係者での対立があるそうです。」

マイヤーが難しい顔をさせる。

「ふむ・・・

 まぁ私達が行った先では、明らかに奴隷を見下している雰囲気はありました。

 ・・・奴隷身分というのはそういう物だという事はありますが・・・

 これは面倒と言うか法の抜け穴と言うか・・・」

武雄が考える。

「この考えはアズパール王国でも採用されているでしょうか?」

アンダーセンが聞いて来る。

「可不可で言えば可ですね。

 25年で解放する、これは確定事項。

 ただし、ウィリプ連合国に連れて行き、更新もしくは他店への変更が可能でしょうね。」

「万全ではありませんね。

 所長の意見として完全に止めさせるのは難しいと思われますか?」

アーリスも聞いて来る。

「完全に奴隷を認めないもしくは解放するとしてしまうのが方法ではあるでしょうが、その際の奴隷を雇っている者達からの反発による政情不安が懸念でしょう。」

「この噂話は知っているのだろうか・・・」

「あの外交局が知らないわけないと思うがな。」

ベイノンの呟きにマイヤーが答える。

「王都では奴隷関連対策の第1弾として期限を明確にした。

 これは我々が考えるよりも相当王都側が地方の豪商に対し対決姿勢を明確に示したと捉えるべきなのかもしれませんね。」

「・・・戦争平気でしょうか?」

「さて・・・そこは軍務局と外交局等々がどう考えるかでしょう。

 地元の反発があれば戦費の確保・・・大変そうですけどね。

 まぁそれも相まっての外交戦術でしょうね。」

武雄が考える。

「ふむ・・・

 所長もですが、皆に意見をします。

 今回の旅では赴いた先の場所、店名対応した店員の名前をしっかりと報告書に記載するべきだと思います。」

ベイノンが皆に言う。

「場所と名前か・・・外交局が使いそうなんだな。」

マイヤーが考えながら言う。

「ええ。

 情報分隊の報告書は詳細を書いていました。それに倣う必要があるかと。

 ナニをしたとかまでは必要ありませんが・・・店と対応した者の名前とその者の雰囲気は必要でしょう。

 あとは外交局がどう考えるかです。」

ベイノンが頷く。

「なら今後は自由行動時は私の傍にはマイヤーさんかアンダーセンさんが控えてください。」

「「わかりました。」」

マイヤーとアンダーセンが頷く。

「確かにこういった情報はいろいろ聞いて報告が必要でしょうね。

 良い事も悪い事も記載し判断は向こうにさせましょう。

 それに外交局長からは私が買った奴隷の待遇について擁護してくれるとの文言は頂いています。

 無下には出来ないですね。

 ビエラは王都には渡せないでしょう。」

武雄が考えながら言う。

「ビエラ殿は王都では手に余ります。

 ビエラ殿は所長付きですよ。」

アンダーセンが言ってくると皆が頷く。

「報告・・・どうしましょうかね。

 クゥ殿の母親ってだけでも面倒なのに、ドラゴンが人型に変身するという事実を上げるのですよね。」

マイヤーが面倒そうに言う。

「・・・私の報告先は陛下ですが宰相や人事局・・・王都の幹部は目にすると思った方が良いでしょうね。

 ・・・いや、正直に上げましょう。

 もしかしたらドラゴンと今後何かあるかもしれません。

 陛下の手札を増やして損はないでしょうね。」

「よろしいのですか?」

アンダーセンが聞いて来る。

「スライムに関しては報告に時間がかかりますからね。

 ドラゴンについてはちゃんと報告をしましょう。

 そうすれば万が一何か・・・暴走したら対応して貰う必要がありますし。」

「そうですね。

 我々だけでは対応が出来ないでしょうからね。」

武雄の呟きに皆が難しい顔をさせる。

「あ!」

「主、ビエラが『暴走なんてしないよ』と言っています。」

ビエラが不満顔で言っている。

「最強種ドラゴンでも絶対はありませんよ。

 皆を待ってる時にミアとビエラは話していたようですが、ミアがアズパール王国で最初にされた出来事、私と会った時の状況。

 あれはオークだけの話ではないでしょう。

 ドラゴンに対しても何かしら操る方法があっても不思議ではありません。

 まぁそれは私達人間もですけどね。

 なので上に立つには万が一の対策を考えておかないといけません。

 対応出来ない者を抱える事は普通は出来ません。」

「あ?」

「主、『それが最強であっても?』と聞いています。」

「力が強いから欲しいというのは当然あります。

 でもそれは意思疎通が出来て言う事を聞いてくれる事が前提です。

 何でも良いから力が欲しいというのは・・・施政者側からすれば自然災害と同じです。

 なのでビエラにはこの8年でエルヴィス領を見て気に入って貰いたいですね。

 『ここに住みたい』『ここの住民の事なら多少は我慢しよう』と思わせるよう出来れば良いと思っています。

 それでもここは違うなと思うなら他領や他国に行って住むしかないでしょう。

 敵対する地域に住むのはお互いに争いの種ですからね。」

「あ~?・・・あ。」

ビエラが考えながら言う。

「そうですね。

 主、『クゥが居て何も問題ないなら住みやすいと思うからそういった事はないと思う』と言っていますよ。」

「あとはこちら側でしっかりと万が一の対策と友好関係を結べば良いという事ですか。

 まぁ住み家等々も一緒に考えて適度な距離を探しますかね。

 美味しい物を食べたいなら仕事も用意しないといけないし、ビエラからすれば仕事をしないといけない。

 下手に他人から奪ったりすれば駆除対象ですからね。

 人間社会や他の種族もですが街があり国家があるならそこには規則と法があります。

 逸脱しないようにすれば住み心地は良いでしょう。

 私もビエラも我慢する所は我慢して、お金を稼いで楽しく過ごせれば良いですね。」

「あ。」

ビエラが頷く。

「さて、寝ますか。」

武雄の一言で今日も終わるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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