第820話 夕飯と慣例の戦争の可能性。
ジェシーの部屋にて。
エルヴィス家3姉弟+精霊+彩雲達で夕飯を取っている。
本日の夕飯はベーコンの代わりに紅魚の肉を乗せたペペロンチーノもどき(辛さ控えめ。香料は料理長と相談して味を似せた。)
紅魚の魚醤を使っての煮つけ。(切り身の煮つけ)
紅魚のすり身をつみれ状にしてシイタケ出汁のスープで煮込んだ物。
サラダは葉物と紅魚の解した物をマヨネーズで和えたソース。
残飯が入った樽は彩雲達が乗ってから匂いがしない・・・なぜなのかは不明。
「はぁ~・・・肉を使わずに紅魚のみの料理でこれだけの物が出来るのね。」
ジェシーが感嘆しながら食べていた。
「タケオ!すまし汁!見事ですよ♪」
「美味しい♪」
「うむ、肉を使わないというのが趣があります。」
「この料理はゆっくりと食べると味がすごくわかりますね。」
「これはレシピを頂きましょうか。」
精霊達も好評なようだ。
「「美味しいよぉ♪」」
アリスとスミスも満面の笑顔で食べている。
武雄はスミスが魚醤がダメだったのは覚えているが、味は問題ないようでホッとする。
「ご主人様、良かったですね。」
ジーナが武雄に言ってくる。
「ええ、とりあえずホッとしています。」
「タケオさん、紅魚づくしにしたのは何か意味はあるの?」
「いや、料理長と話をしていて王家には専用の祝いレシピがあるらしいのですが、ジェシーさんには出せないそうなので私が作ったまでなのですが・・・ここでのお祝い事用の食材がわからなかったので『広い範囲に生息する』紅魚を使い、『広い視野と経験が積める』ように、『どこででも逞しく生きれる』ように願おうかと思っただけなのですけどもどうでしょうか。」
武雄が朗らかに言う。
「タケオさん、ありがとう。
私達の考えだと曰くよりも珍しい料理を出して祝う事が殆どなのよ。
最高級の肉や魚を用意して、煮込んだり焼いたりするわ。」
「それも祝い用の食事としては間違っていませんね。
入手困難な物を使えば、それだけで特別感が出ますし。」
「うん、そうなんだけどね・・・味という観点ではタケオさんが群を抜くわね。
このつみれ(?)のスープも一見すれば塩味だけど、ゆっくりと味わえばしっかりとした味があるし、煮つけ(?)はソースは濃い色だけど塩辛くなくて割りとあっさりとしていて食べやすいし、パスタも油っこすぎないで食べやすいし紅魚が柔らかいのよ・・・すっごく美味しいわ!」
ジェシーが満面の笑顔を武雄に向ける。
「はい、その笑顔で十分です。
と、ちょっと出て来ます。
ミアとパナ、ヴィクター、ジーナはアリスお嬢様に付きなさい。」
「「はい。」」
「「わかりました。」」
「タケオ様、どちらに?」
アリスが聞いて来る。
「王城内の簡単なバーに行ってきます。」
「あ・・・陛下達ですね。」
アリスが「大変そうですね」と苦笑を向けて来る。
「まぁ今日は多めに飲むかもしれませんから先に寝ておいてください。」
「はい、わかりました。」
「タケオさん、頑張ってね。」
「僕も先に寝ています。」
「はい。では行ってきますね。」
武雄は室内の人達に見送られながら退出していくのだった。
・・・
・・
・
王城内の簡単なバーに到着し、店内を見渡すと王都守備隊員が数名扉近くにおり、奥を見ると一番奥の席にアズパール王が座り食事をしているようだった。
武雄は何も言わずに奥に向かう。
王都守備隊員達も目線は武雄に一瞬向けたが何も言わない。
「・・・アランさん、1人で食事は寂しいと思うのですが?」
「ん?タケオが1番乗りだな。
今日は各一家で夕飯を取る事になってな。我は一人だからこっちに来ていた。
タケオ、早く来てくれて助かるぞ。」
「まぁ・・・殿下方が居ないなら好都合かもしれないですかね。」
「ん?・・・どうした?問題事か?」
「ええ。エルヴィス伯爵より報告が来ているのですが、今後どういう方針が必要か・・・難しいです。」
「ふむ・・・デザートを食べてからで良いか?」
「緊急ではありませんので、問題なく。
あ、では私もお茶とスイーツを頼みますか。」
「うむうむ、そうしろ。」
武雄が店員を呼んでスイーツを頼むのだった。
・・
・
「・・・ゴドウィン領内で慣例の戦争の可能性か・・・
厄介な時期にする物だな。」
「はい。向こうは新国王の選定中と想定するなら・・・これが本当にいつもしている慣例の戦争なのかが気にかかります。」
「ふむ・・・
前回の慣例の戦争ではエルヴィス領で実施したが、後ろを突かれているからな。」
「はい・・・ヴィクターが指示をしていないとは言え、魔王国中枢が動いたのかもしれないと考えれば今回も同様の事があると想定しないといけないと思われます。」
「・・・全くだな。
となると・・・アリスをジェシーの所に行かせればエルヴィス伯爵邸が手薄になるので出来んだろう。
かと言って、万が一、戦線が突破された際は次はゴドウィン伯爵邸が主戦場か。
王都からの援軍はこの時に出せるだろうし、残っている兵で何とか防衛戦は出来るだろうが・・・身重で防衛戦の指揮はさせられんしさせたくもない。
タケオ、この情報は誰が知っている?」
「エルヴィス家と手紙を見た私、そしてアリスお嬢様にスミス坊ちゃんです。
ジェシーさんやヴィクター達にはこの事項は伝えていません。」
「そうか・・・」
アズパール王が頭の後ろに手を持って行き軽く伸びをしながら考える。
「・・・」
タケオは何も言わずにお茶を飲んでアズパール王の思考を邪魔しないで待っている。
「・・・やはりジェシーはエルヴィス伯爵邸に里帰りさせる他ないな。
タケオ、魔王国からの宣戦布告文が届き次第、我からもエルヴィス伯爵とゴドウィン伯爵には通達しよう。
それにエルヴィス家であればアリスやテイラーが居る。そうそう落とされんだろう。
タケオ、明日のお使いの命令書と一緒にテイラーへの依頼金も渡しておく。
上手く使ってくれ。」
「はい。」
「スミスは王都に避難しているから平気だろう。
何としてもゴドウィン伯爵の息子を守らなくてはな。」
「畏まりました、陛下。」
武雄が頷くのだった。
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