第819話 内定書授与。
魔法師専門学院の学院長室前。
「「・・・」」
緊張している生徒が2名居た。
「ねぇ、ケイちゃん。」
「うん。パメラ、なんで正装なんだろうね?」
「お昼に『夕方に正装で学院長室』とは言われたけど・・・
皆知らなかったよね?」
「私達だけみたいだね。
という事は・・・研究所関係か。」
「採用取り消しなんてないよね?」
「流石にそれは・・・ないはず。」
ケイも若干不安なようだ。
「じゃ・・・入ろうか・・・」
ケイが扉をノックする。
中から「どうぞ。」と許可が下りるのを確認し扉を開け入室する。
中には複数の人(学院長やら教師陣等)が学院長の執務机の方を向いて座っていた。
そして執務机の後ろには王国旗が掲げられていた。
その光景を目にして2人とも一瞬息を飲む。
「失礼します、学院長。
423番ケイ・ケード、412番パメラ・コーエン。
2名、指示により参りました!」
「うん、来たね。
両名、私の机の前の椅子に座りなさい。
アンダーセン小隊長、来ました。」
トレーシーが皆の先頭の席に座り2人を見ながら頷く。
「はい、わかりました。
・・・始めますか?」
「はい、始めましょうか。
副学院長、お願いします。」
「はい、
ではこれより王立研究所 第二研究所 試験小隊 内定者に対し内定書の授与式を始める。
全員起立!王国旗に対し礼!」
掛け声と共にその場の全員が整然と動く。
「直れ!着席!
王立研究所 第二研究所 試験小隊 小隊長、訓辞。」
副学院長がそう言うとアンダーセンが立ち上がり執務机の横に移動し、王国旗にまずは礼をしてから執務机に移動する。
「本日は急遽、お集まりくださり感謝いたします。
さて、先日正式に研究所が発足し、第一、第二研究所の各所員に辞令が発令されました。
4月から入隊する貴女達には正式な辞令は4月に研究所でお渡ししますが、それまでの仮辞令として内定書をお渡しします。」
そう言ってアンダーセンが副学院長に頷く。
「ケイ・ケード、パメラ・コーエン、両名起立!」
「「はっ!」」
「ケイ・ケード殿。
4月より王立研究所 第二研究所 試験小隊への入隊を内定した事をここに証明する。
1月21日 王立研究所 第二研究所 所長 タケオ・エルヴィス・キタミザト。」
「はっ!」
アンダーセンが読み上げて1歩前に出たケイに内定書を渡す。
「パメラ・コーエン殿。
4月より王立研究所 第二研究所 試験小隊への入隊を内定した事をここに証明する。
1月21日 王立研究所 第二研究所 所長 タケオ・エルヴィス・キタミザト。」
「はいっ!」
アンダーセンが読み上げて1歩前に出たパメラに内定書を渡す。
2人とも席の前に戻る。
「この時点で貴女達は正式に試験小隊の内定者です。
その内定書を持って4月1日に研究所の試験小隊の部屋に来てください。」
「「はっ!」」
「さて、正式に辞令をお渡しするのは4月1日ですが、1週間前までに両名揃って試験小隊の部屋に来てください。」
「え?・・・その・・・事前にですか?」
「はい。制服を作らないといけませんのでね。」
「「わかりました。」」
ケイとパメラが返事をする。
「貴女達の住む場所等々は今検討中ですので、決まり次第書面でお教えします。
まぁ私達もまだまだ決まっていない事が多いので決まり次第お知らせします。
では、私からは以上です。」
「ケイ・ケード、パメラ・コーエン、両名着席!」
副学院長の号令でケイとパメラが席に着く。
アンダーセンは2人が座ったのを確認し、執務机の横に移動し、王国旗に礼をしてから席に移動する。
「魔法師専門学院 学院長、訓示。」
副学院長の言葉の後にトレーシーが席を立ち。執務机の横に移動し、王国旗にまずは礼をしてから執務机に移動する。
「さて、ケイ・ケード、パメラ・コーエン。
とりあえずこの内定書授与という行為はキタミザト所長の発案で実験的に採用されました。
今後は王立系の部門に配属される者にされる可能性があるとの事でしたが模索しています。
他の面々に見せびらかして無くさないようにしてください。
そして卒業まで、もっと言えば4月1日まで各々で準備をしなさい。
わかりましたか?」
「「はい!」」
ケイとパメラが返事をする。
「ふふ・・・今後の2人の成長を期待しています。
以上。」
「魔法師専門学院 学院長、訓示終わり。」
トレーシーが席に戻る。
「これをもって、王立研究所 第二研究所 試験小隊 内定者に対し内定書の授与式を終わります。」
副学院長が宣言をする。
「では皆さま、私はこれにて。」
アンダーセンが立ち上がり室内の人達に言う。
「はい。小隊長殿、お疲れ様でした。」
トレーシーも席を立ち言う。
「トレーシー、明日の件は考えておいてくれ。」
「わかってるよ。
行けなかったらその時はすまんね。」
「いい。所長もこっち優先と言っていたしな。」
「わかった、考えるよ。」
「そうしてくれ。
では今度こそ、皆さま失礼しました。」
アンダーセンが学院長室を退出していった。
・・
・
「はぁ・・・疲れる。」
トレーシーが席に座る。
他の人たちも席に座り直し雑談をしている。
「あ・・・あの!学院長!これはどういう事ですか?」
パメラが聞いて来る。
「ん?どうってことはないよ。
キタミザト殿がオルコット宰相達に『掲示だけでは不安でしょうから紙を渡しましょう』という実験的な配慮がされたんだよ。
実際、君たちも書面で貰った方が安心しただろう?」
「はぁ・・・それは・・・まぁ。」
「そうですけど・・・」
ケイとパメラがお互いに顔を見たり内定書を見てと落ち着きがない。
「さて、2人とも下がりなさい。
アンダーセンも言っていたがその内定書は再発行しないだろう。
絶対に無くさないようにしなさい。」
「はい!わかりました!」
「はい。」
パメラとケイが返事をする。
「うん、では下がりなさい。」
トレーシーの言葉に2人も席を立ち学院長室を退出していった。
「学院長、この内定式・・・良いですね。」
副学院長が言ってくる。
「来年もするかどうかは・・・君がしたいかによるだろうね。
まぁまずは王立系に配属が決まった者にしてみてはどうかな?」
「そうですね。・・・わかりました。
関係部署と話をしてみます。」
副学院長が頷く。
「ええ、その意気ですよ。
あの2人の顔・・・ふふ、良い物だ。」
「ええ、巣立ちですね。」
トレーシーはその後も職員達と歓談をするのだった。
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魔法師専門学院 食堂
「「・・・」」
ケイとパメラが半ば放心状態で歩いている。
「あ、帰って来た。
ケイ、パメラ、何だったの?」
ジーニー達同級生が待っていた。
「うん・・・何か凄いことしたよ。」
パメラがボーっとしながら言ってくる。
「・・・何が凄いのか全くわからないんだけど・・・
ん?何か書類を貰ったの?」
ジーニーがパメラとケイの手元を見る。
「見る?」
ケイがジーニーに渡す。
「見る見る。
・・・王立研究・・・・試験小隊・・・内定した事をここに証明する!?」
ジーニーが驚き固まる。
「「「「なに!?」」」」
その場の他の面々も席を立ち2人の周りに集まる。
「・・・試験小隊の小隊長から渡されたの。
室内は教官達が全員居て・・・王国旗が掲げられていて・・・凄かった・・・」
パメラは戻ってこれないようだ。
「パメラ、しっかりしなさい!
ケイ、大丈夫?」
「私はだいぶ平気。隣がこんな感じだと私も呆けられないから。
まぁとりあえず今回は第二研究所のみで内定書というのを渡す事にしたらしい。
他の皆は掲示のみ。」
ケイが淡々と説明する。
「くぅ~~!羨ましいわ!」
ジーニーが悔しがる。
周りを見ると他の面々も羨ましいようだ。
「あぁ・・・これ学院長達に報告しないといけないかなぁ。」
ケイがため息を漏らすのだった。
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