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第756話 立食会。(皆の動き。)

模様替えを済ませた大広間にて立食会が催されている。

中央の最奥にアズパール王が座っており横にオルコット、王家の者達が周辺に立っており、さらに貴族達や王都内の組合長夫婦、豪商夫婦が周りを囲んで参加していた。


「アズパール王国国王陛下、カトランダ帝国皇帝陛下からの親書をお持ちいたしました。」

総司令がアズパール王の前に来て恭しく頭を下げる。

「うむ、カトランダ帝国皇帝陛下に感謝を。

 御使者殿、遠路はるばる来ていただきありがたく思っておる。

 今宵は我の息子夫婦の新たな門出の時、さらには新貴族達の祝いの席だ。

 さしたる物は出せないが、ごゆるりと過ごされよ。」

「はっ!お言葉ありがたく頂戴いたします。」

そう挨拶をして総司令はアズパール王の前から去っていく。


「次にウィリプ連合国御使者殿です。」

「アズパール王国国王陛下、ウィリプ連合国大統領からの親書をお持ちいたしました。」

「うむ、ウィリプ連合国大統領に感謝を。

 御使者殿、遠路はるばる来ていただきありがたく思っておる。

 今宵は我の息子夫婦の新たな門出の時、さらには新貴族達の祝いの席だ。

 さしたる物は出せないが、ごゆるりと過ごされよ。」

「はっ!お言葉ありがたく頂戴いたします。」

そう挨拶をして使者がアズパール王の前から去っていく。


「・・・次は?」

「冒険者組合の組合長殿が来ましたね。」

アズパール王のボソッとした呟きにオルコットもボソッと呟く。

「陛下、この度はクリフ殿下、ニール殿下の挙式誠におめでとうございます。」

「組合長、いつも情報をすまぬな。」

「いえいえ、私共はアズパール王国あっての組織です。

 今後とも」

アズパール王の謁見は続く。


------------------------

「はい、ありがとうございます。

 王族の一員として恥じぬようにしてまいります。」

「ええ、本当に夢のような出来事で私自身足が地についていない感覚です。」

「うちに新しい風が入って嬉しい限りです。」

「家族一丸・・・いや王家一丸で国を盛り立てないといけませんね。」

リネットとクラリッサとローナとセリーナは組合長や豪商の婦人達に囲まれて対応している。

心の中では「早く終わって!」と叫んでいるのだが何とかやり過ごしている。


------------------------

「クリフ兄上。」

「ん?どうした?」

ニールに呼ばれてクリフが顔を向ける。

クリフとニールの周りは貴族達に囲まれ雑談をしていた。

「・・・タケオが居ません。」

「アリスがレイラとジェシーとスミスの所にいるし・・・トイレだろう?

 ・・・というよりあの姉弟綺麗過ぎだな。家系が良いのか?花がある。」

「・・・エイミー、頑張れよ。」

「子供達は一括りにしたからな。

 ・・・あとは上手くやれば良いだろう。

 うちのパットはどうして・・・あぁ・・・カトランダ帝国側の貴族と話をしてどうする・・・

 もっと顔を売れ・・・ちょっと連れまわすか。」

「俺は新貴族の方に行きます。」

「わかった。」

クリフとニールも動き出す。


------------------------

「んー・・・これはいまいちね。」

レイラがケーキを食べながら感想を言う。

「いや、レイラお姉様。各貴族や街の人達と話さないのですか?」

「ウィリアムとアルマお姉様がしているから私は良いのよ。

 私はスミス達のお守りですから。」

「ジェシーお姉様は?」

「本当は他の貴族とは面通しだけで良いんだけど・・・もう少ししたらするわ。

 今はテンプル伯爵が種蒔きをしてくれているし、こういった席の最初に女性が居ても話は進まないでしょう。

 もう少し酒が入らないと私と話しても有益な話(・・・・)は出来なそうだし。」

「ジェシーお姉様、あまり喧嘩を売るのは頂けないのですけど。」

「喧嘩は向こうが仕掛ける物という風にするのがベスト。

 それにこっちは女性、ちょっとした暴言を言ってくれるのなら後々こっちに有利になるわね。」

ジェシーが政治家の顔をしている。

「ジェシーお姉様ならそういうの得意だし・・・今後10年はゴドウィン伯爵家の地位は安泰ぽいわね。」

レイラが違うケーキを食べながら言う。

「で、タケオさんはどこに行ったの?

 さっきまで居たわよね。」

ジェシーが周りを見る。

「タケオ様はお仕事です。

 他国の使者が来たみたいで相手をするらしいです。」

「就任早々大変ね。」

「私も同じ事を言ったら『しょうがないですよ』と返されました。」

アリスが苦笑している。

「こっちも大変だけどね~・・・」

レイラがボソッと呟きスミスの方を見る。

ジェシーもアリスも見る。


エイミー、クリナ、アン、スミスが1つの机を囲んでいるのだが、話が皆無なのだ。

エイミーは「恋人前提」と言われ続けた影響か緊張で固まり、スミスは王家相手に話を振るわけでもなく淡々としている。

クリナとアンはエイミーが何も言わないので自分達も何も言わずに黙々とお菓子を食べている。


「・・・どうしましょう?」

アリスが呟く。

「ん~・・・もう少し様子を見てダメなら私達が介入する?」

「その時は私は席を外すわ。

 アリスとレイラだけならまだ訝しがられないわ。」

「ジェシーお姉様、もっともらしい事を言って逃げる気ですね?」

レイラがジト目で見る。

「違うわよ~。

 レイラは王家の一員として。アリスは割としがらみのない立場でこの場に居れるでしょう。

 一人くらい他の事をしていないとエルヴィス家(うち)が一丸となってスミスを押すと周りがうるさそうでしょう?

 なら私はゴドウィン家の方を地固めしないとね。

 なので2人とも頑張ってね♪」

ジェシーが手をひらひらさせて言ってくる。

「レイラお姉様・・・どうしましょうかね?」

アリスは早々にジェシー参戦は諦めたようだ。

「タケオさんに内緒でこんな事するから一番使えそうなタケオさん(人材)が他の用で居ないという結果になってしまったわ。

 アリス、どうやればスミスが話すのかしら?」

「えぇぇぇ・・・こっちに投げるのですか?

 それを言うならエイミー殿下からというのはないのですか?」

「ここから見てもわかってしまうくらい緊張しまくっているエイミーちゃんを?

 あれは無理よ~。」

レイラが苦笑する。

「アン殿下もクリナ殿下も大人しいですね。」

「アンちゃんもクリナちゃんも元々大人しいわよ。

 アンちゃんはタケオさんが来るといろいろ動いているけど。

 他の人の目がある時はあの感じね。

 さて・・・どうしようかなぁ。」

レイラがそう言いながら考えるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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