第755話 書斎で一休み。
アズパール王の書斎にアズパール王とウィリアムとタケオ達が戻って来ていた。
ヴィクターとジーナがアズパール王とウィリアム、武雄の着替えを手伝い、着替えを終えるとお茶を飲みながらマッタリとしていた。
「陛下!ありがとうございました!」
エリカがアズパール王に深々と頭を下げている。
「ん~・・・?我は何もしておらんぞ?
全てはタケオが計画した事だ。
そうだな?ウィリアム。」
「ええ。タケオさん、下手したらカトランダ帝国から文句を言われる所ですよ?
上手く行ったから良いようなものを。」
ウィリアムが苦笑しながら一応苦言を言ってくる。
「そうですね、そこはすみませんでした。
でもする前に陛下の許可を貰いましたよ。」
武雄も苦笑を返している。
「こっちに責任がきてしまったな♪
まぁ良い、折角他国に来たのだ。これもまた良い思い出になってくれるだろう。」
「そうですね。
それにエリカさんの口から魔王国側に行くと言ってありますし、アズパール王国には何も実家の事は言っていないと言いましたので大して問題にもならないでしょう。」
ウィリアムが言ってくる。
「その・・私は何も言わなくて良いのですか?」
エリカが恐る恐る聞いて来る。
「エリカ、何か言いたいか?」
アズパール王が聞き返す。
「・・・いえ。すみません、決心がつきません。」
「ふむ。エリカよ、特に何か言う必要はない。
というよりもさっきの話で大よそ皇帝と話は着いた。」
「え?」
エリカが驚く。
「タケオ、カトランダ帝国は5年以内にウィリプ連合国に侵攻する。
我が国はそれに乗じてニール領からウィリプ連合国の海側を侵攻する。
これは両国の口約束だが確証が高い約束事になる。」
アズパール王が言ってくる。エリカが目を見張る。
エリカの知っている情報のままなのだ。
「・・・5年以内・・・
では現状の想定計画をどう考えますか?」
「4年後までに兵力を順次増やすしかない。残り1年は訓練だな。それでもギリギリだろう。
だが、基本的には西側の貴族領と王都の騎士団が主力だな。
魔王国相手には何もする気はない。3伯爵・・・実質エルヴィス伯爵とゴドウィン伯爵には関の強化と現状維持をして貰う。3伯爵からの派兵もしなくて良い。
タケオとウィリアムは観戦のつもりでおれ。」
「やっぱり・・・タケオさん、そうなるみたいです。」
「ウィリアム殿下、私達は引き籠ってはいけないようですね。」
「しょうがないですよ。」
ウィリアムと武雄が「面倒だね~」と言い合う。
「それと4年後までに研究所の試験小隊の人員を増員させる。
3小隊でどうだ?2年ごとに1小隊分増やそう。
再来年と3年後で20名1小隊ずつだ。」
「んー・・・王都守備隊からどれだけ来てくれそうですか?」
「要相談だな。
だが同格組織という看板があるからな。王都守備隊を多めに入れたいのはわかる。
それにタケオが欲しているのはベテラン勢だろ?第1騎士団も候補に入れて欲しい。
ちょっとベテラン勢の再就職先がなくてな。
面倒を見てくれると助かる。」
「そこはうちの総監と小隊長に任せます。
これは言っても構いませんか?」
「構わん。だが今から唾を付けるのもありだが、内々にしてくれ。」
「わかりました。その辺は皆で考えます。」
武雄が頷く。
「あ・・・あの、父上とそんな話をされたのですか?」
エリカが聞いて来る。
「何となくな。
皇帝は5年以内とは言っていたが、早まるかもしれない。
我らとしてはどんなに頑張っても4年後が最短だろう。
3年では準備が間に合わん。3年でされたら我らの侵攻計画は白紙だ。
それに領地なんて無理に取りに行くこともない。」
アズパール王の言葉にエリカは「いったいどんな会話をしたの?」と不思議がる。
「ならそれに合わせた開発をしないといけないですね。」
「うむ、頼む。」
アズパール王が頷く。
武雄は「研究内容を公的と私的で分類しないとなぁ」と考える。
「タケオはまずは盾だな。
次が・・・なんだったか。」
「今の予定では輸送船用の駆動部分ですね。
難航はしそうです。もしかしたら違う研究を始めるかも知れませんが、とりあえず今は盾の完成を目指します。
ちなみにアルダーソン殿は何を?」
「ふむ。初級魔法なら消費魔力量を抑えるアイテムの開発を依頼したのだがな。」
アズパール王が言うのを見ながら「いや、素材系の研究は難しいのでは?初っぱなにさせる内容じゃなくない?」と顔には出さないがアルダーソンに同情する。
「難色を示すかと思ったが、意外と出来そうだと報告が来たぞ?
とりあえず1割減を目標にするらしい。」
アズパール王の続きの言葉に武雄は心底驚く。
「それは凄いですね!
1割・・・十分に魔法師の質の向上になりますね。」
「あぁ、ニールの領内に腕の良い魔法師兼製作者が居たようだ。
だが、かなり高給らしくてな・・・人員の給与配分で悩んでいるそうだぞ。」
「向こうの試験小隊はどういった出自なのでしょうか?」
「ふむ。
ニール領以外のカトランダ帝国とウィリプ連合国に面した貴族5家の騎士団に依頼したそうだ。
意外と皆乗り気だそうでな。
すでに10名が選出を終えていて、さらに5名が王都の第2騎士団だ。
で、残りの5名分でタケオと同じで装備や服装を決めると言っていたな。」
「第二研究所が王都+魔物系で第一研究所は王都+地方ですか。
まぁどんな人選でもうまく回れば良いですけどね。」
「そうだな。
タケオはエルヴィス家から取る気はなかったのか?」
「・・・向こうは向こうで私のしたい事をしてくれていますからね・・・」
武雄が目線を斜め下に向けて呟く。
「・・・そうだったな。
研究所の内容だけがタケオがしたい事ではなかったな。
タケオ、明日の講義で聞かれると思うが、4月から本格始動なのだったな?」
「はい。トレーシーさんが3月末ですので、4月からですね。
それまでに建物も出来る予定ですし。あ、机とかも探さないといけないか。
なので今は用意をする期間ですね。」
「アルダーソンもそう言っていた。
向こうは研究所は屋敷に隣接するみたいな事をバビントンと話していたぞ?
タケオはどうするのだ?」
「文官達の庁舎周辺に建てて貰う運びになっています。
倉庫の建て替えと一緒にして貰って何とか賄える金額にして貰いました。」
「ふむ、各々考えているようで何よりだな。
と、そうだ。ヴィクター、ジーナ、雇用されて1か月弱だがどうだ?上手く行っているか?
あ、その前にこの後の予定を考えないとな・・・爺を呼ぶか。」
アズパール王達は雑談をしながら先ほどの会談の疲れを癒すのだった。
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