第729話 領地持ち達のお茶会。2(武雄が少し怒り気味)
武雄とアルダーソンとバビントンが地方貴族の控室の扉を開けて入って来る。
3人は一斉に室内の者達から見られる。
「ん?・・・あぁ。
皆さま、はじめまして。タケオ・キタミザトです。」
「バリー・アルダーソンです。」
「ビル・バビントンです。
私達がこの度、爵位を授与される事になりました。
皆さま、お見知りおきをお願いいたします。
さ、キタミザト殿、アルダーソン殿、一つずつ席を回っていきましょう。
まずはこちらはカトランダ方面の方々です。
あ、アシュトン子爵様はキタミザト殿と会っておいででしたね。」
「うむ。ひさしぶりですな、キタミザト殿。」
「はい、お久しぶりでございます。」
アシュトンと武雄が会釈しあう。
「では、キタミザト殿の紹介はあとにするとして。
こちらが王立研究所 第一研究所の所長になる」
3人は部屋に居る各貴族に挨拶をしていくのだった。
・・
・
「テンプル伯爵、エルヴィス殿、こちらが領地持ちになるバビントン男爵と第一研究所所長のアルダーソン男爵です。
アルダーソン殿、バビントン殿、こちらがテンプル伯爵とエルヴィス家次期当主のスミスです。」
「「「「よろしくお願いします。」」」」
4人が挨拶をする
王都の壁の3人は武雄達が席を回っている間に自ら挨拶に赴いており、今は違う席についていたりする。
アリスが心配するような事はとりあえずなかった。
なので一番最後の席にいたテンプルとスミスの2人だけに挨拶をしていた。
「さてと、とりあえず全員に挨拶はしましたかね。
テンプル伯爵、最後になってすみませんでした。」
「いや、カトランダ帝国側が最初でウィリプ連合国側を次にするのは順当でしょう。
波風立てないやり方ですよ。」
テンプルが苦笑してくる。
「タケオ様、予行は終わったのですか?」
「はい、終わりましたよ。
少し予定外の事がありましたが。」
「「まぁ、そうですね・・・」」
バビントンとアルダーソンが苦笑する。
「タケオさん、何をしたのですか?
あ、お座りになってください。」
テンプルが席を勧めながら聞いてくる。
武雄達が座る。
「・・・怒っただけです。」
「タケオ様が怒る?
タケオ様、何をされたのですか?」
スミスが武雄が怒ったのを見たことがなく不思議がりながら聞いてくる。
「キタミザト殿は人事局の若手に意見しましてね。
まぁ私達6人と騎士5人も賛同しましたし、人事局とは先程謝罪と打ち合わせをしてきたので問題にはなっていませんよ。」
バビントンが苦笑する。
「予行だったので私達は式典の流れ、立ち位置、立つ・しゃがむのタイミング、唱和内容と声の大きさ等を確認していたのですが、最後の最後で人事局の陛下役の文官が演説をしましてね。
まぁ、それが私達3人と王都勤め4人を比べた内容でしてね。
あまり良い内容ではなかったので苦言を言われたのです。」
「誹謗されたのですか?」
アルダーソンにスミスが聞く。
「いえ・・・比べられたので怒りました。」
武雄が面倒そうに言う。
「?・・・どういう事ですか?」
スミスが更に聞いてくる。
「はぁ・・・私達3人は各皇子の推薦で爵位が授与されます。
そして王都勤めの4人は表だっては総監局と人事局の推薦で爵位が授与されます。
その人事局の若手は何を思ったのか、『王家に推薦された方々以外の4名は人事局で決めたのだから貴族会議でしっかりと足跡を残すように』と言ったのです。」
武雄がつまらなそうに言う。
「うわぁ・・・」
スミスが「馬鹿がいる」という反応をする。
「いや・・・キタミザト殿、もっと回りくどい言い方をしていましたが?」
「そうですね、ですがその通りでしょうね。
実際、『ん?』と軽く思う程度に演説に入れられたのですが。
誰も何も反応しなければそのまま終わりかねませんでした。
まぁ、そこでキタミザト殿が『貴族会議組だろうが領地持ちだろうが研究所だろうが、この場にいるのは実力者のみ。
求められる役割は違うのは確かだが、推挙される所が違うから能力が足らない訳ではない!我々を舐めるな!』と言いましてね。」
アルダーソンとバビントンが追加説明を加える。
「タケオ様、一々王都に噛みつかないでください。」
スミスが呆れる。
「噛みついてはいませんよ。私達を比べたから怒っただけです。
これが『皆様、これから大変な職務に付かれます。ですが、ここは終着点ではありません。始まりです。
若輩の身ではありますが、敢えて言わせて頂きます。
我らのアズパール王国発展の為、一層の努力をお願いいたします!』とか全体への奮起なら頑張らなきゃいけないと思ったかも知れませんけどね。」
「・・・タケオ様、どうして比べられて怒ったのですか?
普通なら持ち上げられて少し気分が良くなると思うのですけど。」
スミスが聞いてくる。
「私達3人だけを考えればそれでも良いかもしれませんけどね。
ですが今回は一気に7名が貴族になります。
私達は確かに各々違う仕事を任されますし、互いに切磋琢磨する間柄ですけど、同期だからこそ対等に言い合える関係が築けるのですよ。
これは先達や後輩、部下とかではなかなか出来ないんですよね。
だからそういう者は大事にしないといけません。
スミス坊ちゃん、これは何も私達だけの話ではなく、寄宿舎でもそうです。
同時入学で同い年なのです。
家族やお付には話せない事でも気軽に話せる関係を作ってこれたら良いですね。」
武雄が優しく言う。
「タケオ様、それは作らないといけないのですか?」
「ん~・・・そうですね・・・
無理に作ろうとして作る物でもないのは確かかもしれませんね。
『気が付いたらこいつにいろいろ話していた』とか『良く話をしてくるけど嫌な気持ちにはならないなぁ』とか気が付いたらなっていたという所でしょうね。
なぜかはわからないですけど気が合うのです。
こればっかりはスミス坊ちゃんの感覚ですし、『この子が良いよ』と紹介する物でもないですね。
そこが私達大人との違いですね。」
「大人は違うのですか?」
「ええ、感覚だけで友人は作りませんよ。
お互いの利害や背景等々いろいろ考えて友人は作ります。
なのでさっきも言いましたが、私達は『関係を築く』と言うのです。
スミス坊ちゃん達はまだ『関係を作る』なのですよ。」
「ん~・・・タケオ様の言いたい事がわかりません。」
「ええ、わからなくて良いのです。
今は色んな人間と会っていろいろ話をして、いろいろと経験をしてくれば良いのです。
そしてふとした時に『あ、こいつとは気が合う』という友人を作って来なさい。
それが一生の宝になりますから。」
「ん~・・・わかりませんが、わかりました。
とりあえず僕は寄宿舎で友人を作ってくれば良いのですね?」
「はい、楽しんできなさい。
男も女も種族も関係なく真摯に向き合ってくれば自ずと良い友人が出来ますよ。」
武雄が朗らかに説明するのをテンプル達も朗らかに見るのだった。
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