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第728話 聞き耳を立てる者達。(皇子妃とエルヴィス家の姉妹。)

ここは地方貴族の控室というかお茶会場、の横の控室。

この部屋はなぜだか(・・・・)隣の声が聞こえこちらの声は聞こえない構造になっている。

そこに皇子妃達と子供達とエリカとジェシーが居た。


「ジェシー、そんなに眉間に皺を寄せると老けが早まるわよ?」

セリーナがお茶を片手にジェシーに言ってくる。

「ジェシーお姉様、やる気にならないでください。」

レイラもお茶を片手にジェシーに言ってくる。

「・・・」

ジェシーは隣に続く扉を凝視している。

「まぁ気持ちはわかりますけど・・・

 はぁ、アリスが居なくて良かったです。」

クラリッサがそう呟き、リネットも頷く。

「・・・殿下方、あのような言い方は日常茶飯事で?」

ジェシーが皆に聞いてくる。

「まぁ割と?」

「もっと穏便に言うのではないですか?」

アルマとエリカが普通に返してくる。


ちなみにエイミーとクリナとアンは各々小さい覗き窓から向こうの室内を見ていたりする。

もちろんこちらからの声は聞こえない仕様です。


と扉がノックされ扉の外にいる執事が入って来て「アリス殿が来られました」と伝えるとセリーナが入室を許可し、アリスが入って来る。

「殿下方、ジェシーお姉様、失礼いたします。」

アリスが礼をして入って来る。

「おかえり、アリス。

 予行は終わったの?」

セリーナが言葉を発し皆が会釈をして出迎える。

「はい、割とつつがなく。

 貴族になられる7名の方々は今宿題をされていますが。」

「宿題?」

「はい。何でも明日の授与式の最後に宣誓をするのだとかでその原文を後程総監部に提出する運びです。

 ちなみに王都勤め代表はボールド男爵、領地持ちはバビントン男爵、研究所はアルダーソン男爵が宣誓をするそうです。」

「あれ?タケオさんは?」

レイラが聞いてくる。

「『一研を差し置いて二研の所長がするわけにはいきません!』と押し切っていました。」

アリスが苦笑する。

「逃げたわね。」

「そうね。」

ローナとセリーナが頷く。

「バビントン殿やボールド殿達は過去の宣誓文を見て考えるらしいですが、タケオ様とアルダーソン殿は一から考えるそうです。」

「まぁ研究所は創設ですし。」

「そうですね。」

クラリッサとリネットが頷く。

「タケオさん、逃げ切れなかったわね。」

「逃げようとしたからだわ。」

ローナとセリーナがため息をつく。

「それで・・・いったい何があったのでしょうか?

 ジェシーお姉様が怒っていますけども。」

「アリス、聞きなさい!」

ジェシーがさっきの話をするのだった。

・・

「ふーん・・・」

アリスはジェシーからの説明を目を細めながら聞いていた。

周りの皆はドキドキです。

「アリス、どう思う?」

「特には・・・タケオ様も昨日言っていましたが『先見性も能力もない他者から何を言われても気にもしません』し、タケオ様がどんな理由で(・・・・・・)取っている行動(・・・・・・・)なのかを真剣に考えられる人ならそもそもそう言った質問をしてきませんから・・・相手するのも面倒ですね。

 それにお三方は、だからこそ未だに男爵(・・・・・)なのでしょうけど。

 なので私達と事を構える事を遠回しに言った所で相手にする気はありませんし、直接言ってくるなら何かしら相対すれば良いだけです。」

アリスがそう言うが。

「あ・・・相対する・・・アリス、それは戦争という事なのですか?」

クラリッサが聞いてくる。

「戦争・・・そもそもあの王都周辺の貴族達は戦争をした事があるのでしょうか?

 確かここ10年で一番戦闘をしている(・・・・・・・・・)のはエルヴィス家(うち)だと思うのですが。

 さらにはエルヴィス家(うち)を相手にするという事は一緒にキタミザト家(タケオ様)とも戦います。

 どこかの騎士団みたいに私達が戦果を誤魔化している(・・・・・・・・・・)とでも考えているのでしょうかね?

 伊達や酔狂で戦闘はしていません。

 魔物相手に知恵を絞り、犠牲を無くす為に全員が命を懸けて考えて行動した結果があれだったのですけどね。

 それを国内の領主間でしたい(・・・・・・・・・・)とは酷な事を言いますね。

 それに私達が居なければあの御仁たちが魔王国との最前線なのですよ?

 なのに『私達の任務は王都防衛』とか筋違いな事を言っています。

 揺さぶろうとか警告のつもりで言っているのでしょうが、言葉に重みがありません。

 あの御仁の言葉よりタケオ様の『じゃあ。やってみましょうか』の言葉の方が私は怖いですね。」

アリスがすまし顔で言ってくる。

「・・・そうね、タケオさんの方が行動力があり過ぎて怖いわね。」

ジェシーもアリスの考えがわかるのかさっきまでの溜飲は下がっていた。

「アリス、あの王都の壁と事を構えるのは止めてね。

 私やお義父さまの胃が持たないわ。」

レイラが言ってくる。

「レイラお姉様、それは向こうの出方次第でしょうか。

 私もお爺さまもその気はありません。

 彼らのように言うならエルヴィス家(私達)は王都の東北部を守る為に創設された貴族です。

 その使命を放棄して他の貴族と事を構える意味はありませんし、そんな事よりも領地運営をしていた方が健全です。」

「そうね。

 ほんとそうして貰えるとありがたいわ。

 アリス、彼らにはもう少し自重して貰うように仕向けるからね。

 それで今は溜飲を下げてね。」

ローナが言ってくる。

「はい、わかりました。

 ですが・・・」

「ん?どうしたの?アリス。」

セリーナが聞いてくる。

「いえ、もうすぐ・・・宣誓文が書き終わったらタケオ様達があの部屋に行きますのでそこで何もなければいいのですが・・・」

アリスが若干考えながら言ってくる。

「あぁ・・・平気かしら。タケオさんに喧嘩を吹っ掛けるとかやめてよね。

 こっちの胃が持たないわよ・・・」

アルマがガックリとするし、クラリッサやリネットが顔を引きつらせるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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