第708話 75日目 中間地点。1(部下と婚約者からの不満。)
武雄達はエルヴィス邸を出立して5日目。王都に向かう際にクゥと出会った野宿場所に到着していた。
「あぁ・・・着きましたね・・・今日は野宿ですか。」
ジェシーが馬車から降りて伸びをする。
「ん?あれ?・・・タケオさん、もう帰って来たの?」
既に広場には武雄達試験小隊が陣取っており、焚き火をして待っていた。
ちなみに今回も他の商隊等は居ません。
「はい、皆さんお疲れ様です。」
タケオが朗らかに皆に挨拶をする。
「戦果はどうなの?」
「まぁ上々でしょうね。
ミルコ、馬車はどうですか?」
「よく眠れましたぁ。」
ミルコが目をこすりながら言ってくる。
「ボールド殿、すみません。」
「いえいえ。駆除に出かけている方に労って貰うのも何だか変ですが、こちらは何もありませんでした。」
武雄達の駆除は毎日行われていた。
やり方は簡単、試験小隊4名+ミアで先行組を作り、1つ先の休憩場所まで行き周囲をミアが感知。
大き目の魔物が居たらアーキンかブルックのどちらかとアニータとミルコのどちらか2名が後方の馬車組の所に戻りアニータかミルコの馬に武雄が乗って先行組に合流。
馬車組が到着する前に対象魔物を駆除し、休憩場所に戻るといった具合だ。
なんでこんなに時間がかからないかというと・・・
「またタケオさんの小銃改1で倒したの?
結構使えるわね。」
「まぁこれは魔力を異常に使いますから・・・ジェシーさん達が配備しても魔法師達が嫌がるだけだと思いますけどね。
アーキンさんやブルックさんに同じ様な事は魔法で出来ると言われていますよ。
ですけど、いくらでも魔力が使える方が実行すれば1日何回も出来るでしょう?
それにここはエルヴィス伯爵領内ですからゴドウィン伯爵家の人に頼るのも違いますし。」
「まぁそうか。
道中の脇の魔物を排除してくれると助かるわ。
警戒しながら移動するのも大変なのよね。」
「そうでしょうね。
と、火おこしはしましたから料理と寝床の準備ですね。」
「今日はタケオさんが料理でしたね。」
「野宿の際は私がした方が良いでしょう。
宿があるならそれに従うのが良いでしょうが。
手伝える人はいますか?」
「後ろの馬車に1名居るわ。
連れて来るから使って。」
「はい、わかりました。」
武雄が頷くとジェシーが使用人達が乗る馬車に向かうのだった。
「タケオ様、私も行きたいんですけど。」
アリスが不満顔で言ってくる。
「え?何しに?」
「たまには私も早馬で走りたいです。
馬車は暇です。
リバーシも将棋も何回も出来ません。」
「んー・・・」
武雄が思案する。
「アリス殿、かなりこの狩りはつまらないですよ?」
ブルックが呆れながら言ってくる。
「そうなのですか?」
「ええ。魔物を遠目で見つけたらさっさと所長が打ち込んで終了。
私達なんか戦闘のせの字もしていません。
ただミア殿が感じた方角に進んで敵を確認して所長に教えるだけ。
所長が始末したら一緒に大袋に入れるのを手伝うだけ・・・とってもつまりません。」
「安全なのは確かなんですけどね・・・暇です。
訓練にもなりません。」
アーキンも不満そうだ。
「部下が仕事にやる気をなくしてる・・・」
武雄が「どうしようかなぁ」と考え始める。
「部下だけでなく婚約者もですよ?」
アリスも不満そうだ。
「はぁ・・・なら明日は午前中はブルックさんとアニータ組と私とアリスお嬢様で先行をして。
午後はアーキンさんとミルコ組と私とアリスお嬢様で先行をして魔物を率先して退治しますか。
もちろん私も小銃改1は極力使わないで接近戦でいくという事で。
それで良いですか?」
「「「はい!」」」
3人がやる気を出す。
「何物騒な相談をしているのよ。」
ジェシーが呆れながら戻って来る。
「婚約者と部下の不満解消案を提示していました。
と皆さんいろいろ作業を始めていますね。」
武雄が周りを見ながら言う。
「まぁその辺は皆わかっているし。
料理人は『今日はパスタでしたっけ?』と食材を見ながら待っているわよ?」
「あ、やばい。じゃあ私は作りに参加してきます。」
武雄が走って食材近くに居る料理人を目指すのだった。
「はぁ・・・と寝床の用意は。」
「ジェシー様、終わりました。」
「終わっちゃったわ。
あと私が出来る事はないか・・・
アリスは?」
「私は薪拾いでもしてきます。
ブルックさん達はどうするのですか?」
「寝床もお風呂も用意完了していますからね。
所長からのんびりしていろと言われています。
なので火の番くらいです。
それと薪も結構拾いましたのでアリス殿も火の番組です。」
「んー・・・ジェシーお姉様、私達はのんびりらしいです。」
「そうね。スミスは?」
「寝床を作っていますね。」
アリスが遠目にスミスを見つめる。
「それが終わればこっちにくるか。」
「ですね。」
ジェシーもアリスも大人しく焚き火の周りに腰を下ろすのだった。
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