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第680話 武雄と魔法師商店の今後の話。(テイラーの商売感覚。)

「あの・・・どうしてこちらに?」

「研究所の襟章を作りに。」

「注文ありがとうございます。

 と、そこではなくて・・・あの看板は何ですか?」

テイラーが目線を店内の一角にある机に向ける。

武雄も後を追って向けるが。

『第二研究所 研究室(仮)』と書いてある看板が店内の方を向いて(・・・・・・・・)机に掲げられていた。

「ん?・・・さぁ?さっき鈴音が何かしていましたけど?

 合意ではなかったのですか?」

武雄がテイラーに向かって聞く。

「いえ、スズネさんに『キタミザト様との専用の打ち合わせスペースを作って良いか』と言われたので、小銃等々の話をしないといけないと思っていましたから許可はしました。

 でも、まさか研究所と看板を作るとは・・・」

「まぁ・・・あながち間違ってはいませんね。」

「許可されるのですか?」

「鈴音の心意気でしょう?

 どうせここでは小銃の事を話すのでしょうから研究所と変わらないでしょうね。

 それに鈴音としても技研内で話はしたくないのでしょう。」

「まぁ・・・そうでしょうね。」

テイラーが複雑な顔をさせる。

「所長、襟章を決めましたよ。

 本当に私達で決めて良かったのですか?」

ブルックが聞いてくる。

「ええ、何案か出しましたからね。

 それにエルヴィス家と王家の襟章も参考に見せていますから・・・良いのがありましたか?」

武雄は研究所の襟章案を数個紙に書いてアーキン達に選ばせていた。

「はい。

 やはり王家の直属ですから王家に近い物をと思って。

 所長や総監を金の下地に黒線を1本入れ星を付けるようにしました。

 黒線を白線にすれば試験小隊内の序列という感じでどうでしょうか。」

ブルックが紙に序列を書いて説明する。

「なるほど。

 ふむふむ。テイラー店長、とりあえずこの襟章を来年の出立までに3個ずつ作ってください。」

「はい、畏まりました。

 王都でちゃんと認証なさってください。」

「ええ。それとアーキンさん、この襟章と王家も含めた序列を清書して2部王都に送ってください。

 王都守備隊も含めて私達王家直属の襟章としてしまいましょう。

 王都守備隊の威光も借りて襟章は決めてしまった方が良いです。」

「はい、すぐに書きます。」

とアーキンがブルックと確認しながら書いていく。


「テイラー店長、どうですか?住み心地は。」

「快適ですね。

 工房の・・・技研の下に店を構えて空いた時は魔法刻印の練習が出来ますからね。

 充実しています。」

「タケオ、そうは言うがな、全然客がこないんだ。

 客商売としてはダメな部類だと思うぞ。」

「ここ数日見ているけど全く来ないようですね。」

「主、お茶ください!」

テイラーの報告にカウンターの隅にいたチビッ子3人が声を出してくる。

「はは。

 仁王様もテトもそう思うのですか?

 はい、ミア、お茶を入れますからね。」

武雄がミア達用に用意されている小さいコップにお茶を入れて持ってきた茶菓子バターサンドも一緒に渡す。

「うむ、すまんな。」

「タケオ、ありがとう。」

「主、もう1杯ください。」

「はいはい。」

武雄が朗らかにお茶を注ぐ。

「ふむ、相変わらずエルヴィス家の料理人は腕がいいな。」

「サリタの料理も美味しいけど、やはり本職には敵わないなぁ。」

「美味しいです♪」

チビッ子達は満足そうに答える。

「で、客だったな。

 タケオ、客が来ないんだ。なぜだと思う?」

「それは売れる商品がないからでしょう?」

「ぐっ・・・」

仁王の相談に武雄がバッサリと切り捨てるとテイラーがガックリとする。

「テイラー店長、本当に売れない物ばかりなのですか?」

ミルコが聞いてくる。

「ん~・・・

 品質はちゃんと見ていますから変な物は置いていませんし、値段もそこまで利益を見てはいないんですけど・・・

 売れないですね。」

「確か王都のおじさんから輸入物も入れているのですよね?」

武雄が腕を組みながら聞いてくる。

「はい。

 国内ではあまり見かけない魔法がかかっている物を値段も低めに商品を揃えています。」

「ん~・・・

 ブルックさん、品揃えは問題ないのに売れない理由がわかりますか?」

アーキンの横で手の空いたブルックに武雄が聞く。

「そうですね・・・

 そもそもの魔法師が少ないのではないですか?

 昨日も街中を見回りましたが、魔法具を扱っているのがこの街で4軒ありますね。

 確か、エルヴィス家だと2小隊40名ですから・・・40名に対して魔法具を扱っているのが4軒、冒険者を多少見込んでも店の数の方が多いです。」

「あ!」

テイラーはここに来て初めて売れない理由がわかったようだ。

「テイラー、確か魔法師達は小隊ごとに古くからの馴染みの店が代々あるんだったか?」

仁王がテイラーに聞いてくる。

「ええ。」

「そうですか。じゃあこの店はうちの研究所の面々が使えば良いでしょうね。

 他の小隊と重ならないのも良いかもしれませんね。」

「キタミザト所長、また簡単に決めましたね。

 まぁ所長の息のかかっている方が私達も便利ですから反対はしませんが、一応聞いておきますがなんでここを御用達にするのですか?」

ブルックがため息をつきながら聞いてくる。

「ステノ技研と直結してますからね。

 各員が欲しい武器を直ぐに作ってくれそうでしょう?

 ブルックさんが言ったように製作者も販売人も私の知人ですからね。

 安心して任せられますよ。」

「所長、どんな武器を私達に勧めますか?」

「各々考えてください。

 これを持てと言うのは私からは小銃ぐらいですよ。

 あとはどんな任務があるか(・・・・・・・・・)考えればおのずと選ぶ武器は決まるでしょう?」

「「・・・」」

アーキンとブルックが考える。

「・・・ショートソードかなぁ?」

「だなぁ・・・ロングソードを持っていても敵と正面切って戦うわけではないし。

 移動時の戦闘だけを考えれば殲滅をする必要も無さそうだ。

 ちにみに所長の装備は何ですか?」

「いつもと変わりませんよ?

 1000mクラスの遠距離用の小銃改1もしくは3、接近戦用の小太刀、戦闘以外用のナイフです。

 のちのちは100m~20mの近距離用の小銃改4が待っていますね。」

「・・・何ですかその全距離適性は?」

「いやぁ魔法特性が貧弱なので手数が欲しいんですよね。」

武雄が「あはは」と笑うがアーキンとブルックが「天才相手に負ける気しかしない」と思うのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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