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第641話 58日目 もう寝ようよ。

ここはエルヴィス邸の客間。本来は寝る前のティータイムでのんびりしているはずが・・・


「うぅ・・・また負けました。」

アリスがリバーシの前で自身の黒色を並べてガックリとしていた。

「ぬぅ・・・フレデリック、ここはどうじゃ?」

「主、それは後々を考えれば危険ではないでしょうか?」

エルヴィス爺さんとフレデリックが将棋の前で次の1手を相談していた。

「お姉様、次は僕の番ですよ!どいて!どいて!」

スミスがアリスを退けようとする。

武雄は・・・「なんでリバーシと将棋の2面打ちをしているんだろう?」と自分の置かれている状況を静観していた。


ハワース商会の面々が帰った後、リバーシと将棋の説明をしてゲームを始めたのだが・・・ルールについては流石に上流階級の人々、すぐに飲み込んでしまった。

で武雄VSエルヴィス家の形で今している。

「・・・スミス坊ちゃんとアリスお嬢様とでリバーシをしてください。

 私はお茶を飲みながら将棋をしますので。」

「「勝ち逃げですか!?」」

アリスとスミスの姉弟が武雄に食ってかかる。

「はいはい。勝ち逃げですよ。

 今日はもうリバーシはしませんからね。

 ・・・そうですね、先に3勝した方と明日の夕飯後に戦いましょうかね。」

「スミス、勝負よ!」

「お姉様勝負です!」

姉弟は仲良く(?)やり始めるのだった。


「で?エルヴィスさん、早く打ってください。

 終わらせて今日は寝たいんですけど。」

「むぅ・・・少し待て!

 フレデリック・・・ここはどうじゃ?」

「・・・悪くはないですね。

 ですが、タケオ様がどう来るか・・・」

「うむ・・・ここに打って出るかの。」

とエルヴィス爺さんが駒を進める。

「と言うよりですね。

 相談しながら打っても面白くないと思うのですけど・・・」

「勝ちたいのじゃ!」

「それは、まぁ・・・わかりますが・・・

 盤上の駒をどうやって動かして行くかは指し手の戦術や世界観でしょう?

 2人がかりですれば2倍の戦力になるわけではないですよ。

 むしろ他者の意見を聞いてしまって指し手が気持ち良く打てない方が問題なのでは?

 所詮はこれは遊びです。

 他者の意見は本番で聞いて熟慮すれば良いのです。」

「確かに。

 では、私の助言はなしで行きましょう。」

フレデリックが頷く。

「勝ちたいのじゃ・・・」

エルヴィス爺さんが不貞腐れる。

「勝った負けたは時の運です。」

「タケオは勝ちたくないのかの?」

「出来れば勝ちたいですが・・・勝ちに拘りたくはないですね。

 じゃあ私はここで。」

武雄が話ながら中央に駒を進める。

「・・・んん~・・・そこかぁ・・・」

エルヴィス爺さんが再び悩むのだった。

・・・

・・

いつものお風呂関係を終えた武雄はアリスと寝室で寝る準備を終えていた。

「タケオ様、寝る前にしましょうよ。」

ベッドにうつ伏せでマッタリしている武雄の背にアリスが腹ばいで乗っかりながら言ってくる。

「私を動かしたいのか動かしたくないのかわからない体勢になっていますが・・・

 それにそんな事を言わなくても戻ってからはほぼ毎日抱い」

「違います!リバーシです!」

「あれは客間に置いてき・・・あれ?」

武雄が机の方を向くと既に机上に用意されている。

「タケオ様がお風呂に行っている間に取って来ました。」

「準備万端ですね。

 ですが、今日はいっぱいしましたからしたくないですね。」

「そんな事言わずに、やりましょう?ね?ね?」

「ん~・・・じゃあ、私が勝ったら何かご褒美をください。」

「えぇぇ・・・タケオ様とは1勝4敗です。

 ほとんど勝つのにご褒美ですか?」

「はい。」

「じゃあ、私も勝ったらご褒美を貰います!」

「ええ。どうぞ。」

「くっ・・・余裕ですね!

 じゃあ!お互いに勝ったら相手から何が欲しいか言いましょうか?」

「その前に際限なく上限を上げられても嫌なので、金銭的には金貨10枚まで、内容は現実的な要求で。

 あと他の人の迷惑にならない事とエルヴィス家の家名が落ちないということも条件に入れますか。

 ・・・この条件でならやりますよ。

 ちなみにして欲しい要求を聞いてから降りるのはなしです。

 アリスお嬢様、降りるなら今ですよ?」

「う・・・受けて立ちます!」

アリスが覚悟を決める。

「じゃあお互いにして欲しい事を言いましょうか。

 せーのっ」


「一緒にお風呂♪」

「小銃改1をください!」


「「は?」」

お互いがお互いの望みに呆れる。

「・・・まぁ、良いでしょう。

 さ、しましょうか。」

武雄がアリスの下から這い出てくる。

「いやいやいや、お風呂って何ですか?」

アリスが狼狽する。

「その言葉のままです。」

「くぅ・・・負けませんよ!」

「はいはい。」

武雄とアリスの激闘が今まさに始まるのだった。

・・

死闘は40分にも及んだのだが・・・

「「・・・」」

2人して盤上の駒を見ながら固まっていた。

「はぁ・・・引き分けですね。」

武雄が「引き分けなんてほとんどお目にかかれないんだけどなぁ」と思いながらため息をつく。

全てをやり終えて集計の為に白黒を並べていたらきっかりと32個ずつになっていた。

「引き分け。

 むぅ、勝ちきれなかったです。」

アリスはそう言いながらも一緒にお風呂がなくなって安堵していた。

「はぁ、では寝ましょうか。

 私は今日もスライムと会いますからね。」

「え?会いに行くのですか?」

「はい。

 まぁ、昨日の感じだと平気ですよ。」

「タケオ様、私も行きます!」

「ダメですね。

 大人数で行ってどうするのですか。

 しばらくは私1人で行くのが良いでしょうね。」

「むぅ・・・」

アリスがジト目で抗議をしてくる。

「寝ますよ。」

「うぅ・・・私も行きたい。」

「もう少ししたらですね。」

武雄は朗らかに言うのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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