表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
637/3612

第627話 武雄の相談事。(仁王に豆腐の作成方法をレクチャーして貰おう。)

「はぁ~♪」

テトが団子を嬉しそうに頬張りながら幸せ感を出している。

「これは・・・見た目は黒いですが美味しいですね。」

テイラーも驚きながら言ってくる。

「ふむ、タケオ、見事だ!」

仁王が団子を食べ終えお茶をすすりながら言ってくる。

「ええ。動物も魚も(・・・・・)使用していませんからこれなら仁王様も食べられるかと思って。」

「ふむ・・・気を使わせたな。

 だがな、基本的に仏教には肉食妻帯してはいけないという考えはないぞ?」

「え?そうなのですか?」

「うむ。

 戒律的には五戒という物があるのだが、その中の不殺生と不邪淫と言うのがあるだけだ。

 よって食事と結婚の解釈は地域によって違う物なのだよ。

 肉食妻帯をしなかったのは日本に伝来してから歴史的には一部していた節はあるが・・・おおむね明治が始まるまでになるな。

 それにお釈迦様も結婚をして跡取りを残して出家しているからな。

 戒律という事なら不飲酒戒・・・酒は禁止だな。」

「・・・日本人は飲みますが?」

「あぁ日本仏教(・・・・)では構わないだろう。

 檀家やその他の者に禁酒までさせる訳には行かんし、ほら神道があるからの。

 あっちは供物に『お神酒』があるだろう?なんでもかんでも規制していたら仏教が根付かなかったろう。

 宗教とは人々を導く物だ。

 厳格に教えを説く事も必要だが、その地域の人々が幸せになれるのであれば解釈を広げるのも寛容の一つだ。

 それに修行僧には十戒という物がある。

 これは禁欲、禁酒等修行の妨げになるような物を禁止しているのだ。

 正式に僧侶になればある程度の縛りが外れるがな。」

「そうなのですか。

 あ、そう言われれば良く見聞きしていたのは比叡山や高野山の修行中の僧侶達ですね。」

「うむ、かの信徒達も頑張っておるの。

 という訳で、我には何でも持って来て構わないからの!」

「はい。ですが、ある程度は気を付けさせて貰います。」

「うむ。

 で、今日はどうしたのだ?団子を持ってきただけか?」

「実はですね、相談がありまして。」

「ふむ。

 タケオは前に我に『自分で見聞きして考える』と言っていたが・・・

 タケオ的にこの世になさそう(・・・・・・・・)なのだな?」

「はい。なさそうというより製造方法がわからないのです。

 実は今回の団子を見て頂いてわかる通り大豆と小豆は手に入るようになりました。」

「この豆もこの国では手に入れるのに苦労するだろうに・・・で、どうした?」

「仁王様、『苦汁』はどう作りますか?」

「なるほど・・・豆腐を作るのか。

 確かにこの世界では苦汁は捨てているな。

 タケオはわからんのか?」

「苦汁は豆腐を作る商品の一部について来たと思います

 ・・・確か祖父が豆乳鍋の時に豆乳に塩を入れて『自家製豆腐は美味い!』と言っていたような気もしますが・・・子供だったのでいまいち正確性に欠けます。」

「タケオ、それが正解だ。」

「え?」

「苦汁は早く言えば塩を生成する際に出来る上汁だ。」

「ええ?」

武雄は「意外な所にあったよ」と思うのだった。

「そうだな・・・タケオ、メモをしてくれるか?

 簡単に製造方法を説明するとだな。

 綺麗な海水5L用意し、2割くらいの量になるまで強火で煮詰める。

 ちなみに沸騰している水1Lに溶けていられる塩は280g程度だ。

 海水はこの世界も同じで塩分濃度は3.4%程度だったな。 」

「・・・」

武雄は一生懸命メモを取る。

「さらに煮詰めると海水が濁り始めるが、これを一旦ろ過し、ろ過した海水をさらに煮詰めると塩が出来始めるのだが、この最後の煮詰めた塩以外の水分が豆腐の凝固剤である『苦汁』になるんだ。

 成分はナトリウムがほとんどだが凝固剤としてはマグネシウムだ。」

「飽和状態の塩水・・・と言う事は限界が28%程度・・・苦汁の塩分は25%程度なのですか?」

「その辺の濃度は苦汁の制作サイドが決める物だろう。

 我が言っているのは一番簡単な製造方法(・・・・・・・・・)になる。」

「わかりました。後はこちらで考えます。」

「うむ、それとだが・・・

 苦汁の過剰摂取には下痢や内臓疾患等の健康被害があるからな。直接飲む事はお勧めしない。

 豆乳1Lに対して苦汁20ml程度を3倍程度に薄めた物を使用し、豆乳と苦汁を混ぜた物を沸騰しない程度に加熱する事で凝固が始まる仕組みだ。」

「なるほど。」

武雄はメモを取りながら頷く。

「タケオ、厚揚げが食べたいぞ。」

仁王がおねだりしてくる。

「厚揚げには醤油とショウガが私は好きですが、日本酒にも合いそうですね。」

「うむ。

 タケオ、醤油は出来そうか?」

仁王が聞いてくる。

「現状では米麹を作り出せるかで変わるかと思います。」

「タケオ、麹菌をどう手に入れるつもりだ?」

「・・・麹菌の縁類に納豆菌があるのですよね?」

「タケオ、それは違うぞ。

 麹菌は麹菌だし、納豆菌は納豆菌だ。

 どこでそんな風に間違った知識を・・・まぁ訂正しておこうか。

 麹は稲から取れるものだ。米の稲穂に麹菌が良い状態で着くと、黒い菌の塊が出来る事がある。

 これが麹菌だ。

 納豆菌は稲わらに付着していて煮大豆を入れれば納豆が作れるがな。

 そして麹菌を蒸した米(・・・・)に混ぜ35度くらいで30時間程度培養した物が米麹になるんだ。

 ちなみにタケオの中での味噌の作り方は知っているか?」

「大豆1、米麹2、塩1の割合で用意して、今回の豆乳のように大豆を煮る。

 煮た大豆が熱い内に米麹と塩を入れ、大豆を潰しながら混ぜる。

 良く混ぜたら空気が入らないように樽に入れ塩を上に盛ってから蓋をし10か月程度重しを乗せて完成。」

「概要は合っているな。

 ・・・とりあえずそれでしてみる事を勧めるか。」

「間違っていますか?」

「いや、合ってはいるが・・・その製造方法だと廃棄部分が多く出るはずだな。

 塩を乗せると上の方はカビにやられるからな。食べる際には上の塩ごと捨てる必要が出てくるだろう。」

「なるほど。

 ちなみにたまり醤油はどこの段階で出来るのですか?」

「ふむ。

 10か月経った味噌を取り出す際の樽の底に出来ている。

 なので、取り出す際は混ぜるなよ(・・・・・)。」

「まぁその頃になったらまた声をかけます。」

「うむ。味噌も醤油も楽しみの一つだな。」

「はい。

 米については栽培と隣国から(・・・・)入手する方法の2種類を試す事になりました。」

「そうか・・・上手くいくと良いな。」

仁王が微妙な表情をさせるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ