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第626話 武雄の午後。団子を振る舞おう。

「キタミザト様、いらっしゃいませ。」

サリタが入店してきた武雄を見つけ声をかける。

「はい、お邪魔します。」

午後3時になって武雄は一旦団子を持って外出していた。

まずはここブラッドリー達の工房に来ていた。

「皆は何をしているのですか?」

「あぁ、爺ちゃん達は今奥で店の名前決めです。

 そろそろ看板の制作をしようかと。」

「なるほど。

 店名決めに参加しなくても良いので?」

「ええ。店の名前は主人達が決める物ですから。」

「そうですか。

 良い名前に決まると良いですね。」

「はい。

 で、キタミザト様はどうされたのですか?

 まだ懐中時計と小銃関連の生産も始まっていませんし・・・研究所の試作品の依頼もまだでしょうし・・・」

サリタが首を傾げる。

「いえいえ、様子見ですよ。

 あと、新しいお菓子を作りましたから持ってきましたよ。」

「新しいお菓子ですか!?」

武雄の言葉にサリタの目がきらりと光る。

「ええ。見た目は黒いので驚くかもしれませんが、甘いお菓子になります。

 皆で食べてください。

 と、鈴音はどうしました?」

「スズネは図面を書いていますが・・・なかなかうまくイメージ通りに書けないみたいで苦しんでいます。」

「そうですか・・・まぁ悩んでいるなら良いです。」

「良いのですか?」

サリタが不思議そうに聞いてくる。

「ええ。悩んでいるのは現状に不満があるからです。

 それは裏を返せば既に完成形が頭にある(・・・・)からなんですよ。

 なら私は出来た図面を見て確認すれば良いだけです。

 時間はかかるでしょうが、納得した図面を持って来てほしいですね。

 と、この団子には渋めのお茶が合いますからね。」

「はい、わかりました。

 スズネを呼びますか?」

「いえいえ、それには及びませんよ。

 悩んでいるなら今が一番気分が乗っているでしょう。

 渋いお茶と一緒にそっと出してあげてください。」

「はい、わかりました。」

「じゃ、私はこれで。」

「もう行かれるのですか?」

「ええ。お菓子を届けて近況を聞きたかっただけですからね。

 サリタさんも来たばっかりですからあまり働き過ぎないように。」

「はい、ありがとうございます。」

「では。」

武雄が工房を後にする。

「さてと、爺ちゃん達に持って行くか。

 ん?黄色と黒いのかぁ・・・確かにキタミザト様の言う通り何も言われなかったら驚くかな。

 こりゃ、爺ちゃん達の驚く顔が見ものだね。」

武雄を見送ったサリタがそそくさとお茶の用意をするのだった。

・・

・

「「「なんじゃこりゃあ!」」」

横の部屋から絶叫が聞こえて来ていた。

「親方達何を騒いでいるのかな?」

鈴音がペンを止めて伸びをすると部屋の扉をノックしてサリタが入って来る。

「スズネ、お茶だよ~。」

「はい、すみません。」

「どお?」

サリタは鈴音の近くの机にお茶と団子を置きながら聞いてくる。

「んー・・・何か違うんですよね。」

鈴音はお茶には目もくれずに図面を見ながら腕を組む。

「今、キタミザト様が来てね。」

「武雄さんが?」

「ええ。スズネはどうしているかって。

 図面を書いていると言ったら納得した図面を持ってこいって。」

「納得した図面かぁ・・・」

鈴音が難しい顔をさせる。

「あ、それと新しいお菓子を作ったから持ってきたって。」

「新し・・・え!?きな粉につぶ餡!?」

鈴音はこの時初めてサリタが持ってきた菓子を見て驚き大声を上げる。

「え?え?何?どうしたの?」

サリタは鈴音が豹変して逆に驚く。

「こ・・・これは武雄さんが?」

「ええ。黒いけど甘いって。」

「渋いお茶ありますか?」

「キタミザト様も同じ事を言っていたけど・・・渋くはしたわよ?」

「頂きます!」

鈴音は勢い良く食べ始め「美味しいぃ♪」と久しぶりの和菓子を堪能するのだった。

満面の笑みを作る鈴音を見たサリタも「早く戻って私も食べよう!」!と心に誓うのだった。


------------------------

「キタミザト様、いらっしゃいませ。」

「お邪魔します。」

と武雄はテイラーの魔法具商店に入り挨拶をする。

「引っ越しの準備ですか?」

「ええ。ブラッドリーさん達の工房にご厄介になります。」

店内は木箱がゴロゴロしていて店内の品々を入れている真っ最中のようだった。

「そうですか。」

「キタミザト様は今日はどうしたので?

 あ、小銃改3は出来ています。」

「わかりました、引き取っていきますね。

 で、新しいお菓子を作りましたから持ってきました。」

「新しい・・・わかりました。

 一息入れましょうか。

 テト、休憩ですよ。」

テイラーが奥に声をかける。

「は~い。」

とテトが奥からふよふよ飛んでくる。

「おや?テトはこっちでしたか。」

「おー、タケオが来ましたか。

 スズネに言われて引っ越しの手伝いに来ています。」

「テトは重力系の魔法が使えるので品物の出し入れや移動がしやすいのです。」

テイラーが補足する。

「重力ですか・・・

 仁王様は?」

「我も手伝っているぞ!」

とテトに続き仁王も奥から飛んでくる。

「力自慢が2人居ると楽そうですね。」

「大助かりです。

 さて・・・お茶の準備をしましょうかね。」

テイラーが代わり奥に行ってお茶の準備を始めるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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