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第618話 皆で今後の相談。

夕飯後、客間にエルヴィス爺さん、アリス、スミスと武雄が移動する。

フレデリックが食後のお茶を入れ、皆の前に置き、皆から少し後ろに下がる。

「はぁ・・・タケオ、アズパールカレーは良いの!」

エルヴィス爺さんが開口一番に料理の感想を言う。

「気に入って貰って何よりですね。

 ゆくゆくはこのカレーの固形物・・・カレーの素を販売してみたいですね。」

「タケオ様、それはすぐにした方が良いのではないのですか?」

アリスが聞いてくる。

「いえ。流石にそれは・・・王都西の宿に判断して貰いますよ。

 この粉が広まると国中でいろんな料理が出てくるかもしれないので・・・販売するには向こうの意見を尊重しないといけないでしょう。」

「タケオ様はこのアズパールカレーを商品化しないのですか?」

スミスが聞いてくる。

「今の所はこちらからはないですね。

 契約をしてレシピは教えて貰いましたが、基本的には普及させるかどうかの判断は向こうにあります。

 私がこれで何か商売をするならレシピがわからないような・・・

 そうですね、例えばお菓子に混ぜてみるとかですか?」

「お菓子ですか?」

「はい。

 バターが手に入りましたので、クッキーも作れる様になりましたし、カレー味のクッキーなんかも面白いかもしれませんね。」

「「「クッキー?」」」

エルヴィス家の面々が不思議そうな顔をさせる。

「あれ?王都で出ていましたが・・・

 まぁバターの味はあまりしていませんでしたけど。」

「あ、皇子一家に出ていたビスケットですかね?

 お菓子と言えば大体マドレーヌやホットケーキ、ミルクトーストと後はビスケットですね。

 王都はビスケットとジャムが一緒に出ていましたが、タケオ様と食べたマドレーヌは今思えばバターの風味がしていましたね。」

「あれ?基本的にマドレーヌはバターを使うと思いますけど。違うのですか?」

「・・・お菓子の製法は店ごとに秘密にされていて正確な材料は知らない事が多いのです。」

「フレデリックさん、バターは一般的でないのですか?」

「そうですね、知る人ぞ知る食材です。

 そもそも生産量が少ないので入手があまり出来ない食材の1つです。」

「マドレーヌのレシピは皆さん知らないのですか?」

「ジョージも試みていましたが・・・あの店ほど美味しく出来ないのです。」

「そうなのですね。」

武雄はそう言うが「ケーキに最適な小麦を見つけたのかな?」と思う。

「タケオ、美味しいマドレーヌを作る秘訣はなんじゃろうの。」

「小麦粉の質でしょう。」

「質かぁ・・・やはりこの地方では良い小麦が取れないのかのぉ・・」

エルヴィス爺さんが寂しそうに呟く。

「いえ・・・そうではなくて・・・

 お菓子に合った小麦粉を使っていないだけだと思うのですが。」

「・・・タケオ、小麦粉に種類があるのかの?」

「どんな穀物も複数種類があると思いますけど・・・王都でも分類はされていませんでしたね。

 たぶん地域ごとに分けているのでしょうか?

 基本的に小麦を大別すると2つです。

 強力粉と薄力粉です。

 強力粉はパンやパスタに薄力粉はケーキやクッキーのお菓子に適していると言われています。」

「ふむ・・・で、どうやって見分けるのじゃ?」

「粉状にした小麦粉に水を含ませると粘り気がでますが、粘りが強い物を強力粉、粘りが薄い物を薄力粉という風に分類します。

 パンは強力粉に水とイーストを入れて捏ねて軽く発酵させた物を焼いて作ります。

 クッキーはまずバターと砂糖、塩、卵を入れ良く混ぜてから、薄力粉をさらに加え捏ね過ぎないように混ぜた物を型抜きしてから焼いて作ります。」

「タケオ様、聞いている感じだと全く違う物のように思うのですが?」

スミスが聞いてくる。

「ええ、用途によって違います。

 小麦を粉状にした物という括りでは同じですが、中身が違うのです。

 これは大まかに言えば地域ごとに違いがありますし、もっと言えば種の時点で違うので作付けの時から同じ種類(・・・・)を栽培するようにして強力粉か薄力粉の小麦を集中的に作るのが望ましいと思います。」

「フレデリック、小麦の集荷はどうしておるかの?」

「村ごとに収穫された物を合わせて(・・・・)搬送しているはずです。」

「という事はお爺さま、フレデリック。

 タケオ様の言う強力粉と薄力粉の種類があったとしても私達が(・・・)納められる際に合わせているという事なのですか?」

アリスが聞いてくる。

「うむ・・・そうなるの。

 ・・・タケオ、どうやって粉にする前に(・・・・・・)分類が出来ると思うかの?」

「・・・さて・・・普通に考えるなら色や大きさだと思います。

 まずはそれらを分類し、確認してみるのも良いかもしれません。」

「今、種蒔きが終わった時期になりますね。

 ふむ・・・主、来年の収穫の際にこの街の農家に協力をして貰いまずは色で分けてみてタケオ様のいう粘りに違いがあるのか確認をしてみようかと。」

「そうじゃの。

 それでえーっと・・・強力粉と薄力粉だったかの?

 どちらなのかを確かめ来年の作付けの際に種類ごとに1つの畑で集中して栽培するように実験をしてみようかの。」

「はい。」

エルヴィス爺さんとフレデリックが頷き合う。

「と言うよりも穀物屋さんから買ってきて分類すれば良いのではないのですか?」

武雄が素朴な疑問をいうのだが。

「いや・・・タケオ、袋詰めされている小麦は10㎏単位なのじゃが・・・

 それを1粒ずつ確認するのかの?」

「・・・嫌な作業ですね。」

武雄も自身で途方もない事を言っているとわかり断念するのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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