第612話 研究所の間取りの確認中。2
「なるほどなぁ。」
「そういう考えも面白いですね。」
料理長とフレデリックが「へぇ~」と思う。
武雄が考えたのが、
1階の片方が喫茶店。階段を挟んだ向かい側が多目的スペース。
この多目的スペースは通常は研究所内の人員の雑談スペースや業者(ブラッドリーさん達)が来た際の打ち合わせ場所。
だが、喫茶店が混んで来たら解放し、臨時の食堂にも出来るようにすることを述べていた。
2階は喫茶店の上は試験小隊詰め所。反対側に地図や文献等の保管倉庫。
3階に幹部の執務室と研究室と会議室があった。
武雄が発案したのをフレデリックが間取り図に書き込んでいた。
「番外編で私の執務室を1階の多目的スペースの所に配置するということも」
「それはダメでしょうね。
それにタケオ様、来訪した方が・・・例えばタケオ様を呼び出すのにわざわざ2階の試験小隊の詰め所まで行くのですか?
それは少し不用心です。」
フレデリックが言ってくる。
「んー・・・となると1階には受付をしてくれる所が必要なのですね。
そうなると1階の喫茶店の反対側に試験小隊の詰め所を置いた方が良いのでしょうか。
でもそうすると喫茶店が混んできた際に飲食する場を広げられないですよね。
受付の為に誰かを配置するのも今の段階では違うような気がしますし・・・そうなるとやはり試験小隊の詰め所を配置した方が良いのですよね。」
「タケオ、なら外に格納型の庇を設けておいて喫茶店が混んできたら広げて3か4テーブルぐらい臨時で出せば良いんじゃないか?」
「雨の時はどうするのですか?」
「多少は平気だろうが・・・足元は雨ざらしだな。」
「晴れか曇りの日は良いでしょうが・・・それではダメですね。
それに極端な気温であろう夏と冬の時もダメでしょう。」
「ならこの店内で賄うしかないだろう。
・・・フレデリック、部署ごとに昼食の時間帯をズラす事は出来ると思うか?」
「ふむ・・・11時から12時、12時から1時、1時から2時・・・3つに分けるのですね。
・・・それも一度検討してみましょうか。
出来る部署と出来ない部署があるでしょうし、部署内でも課ごとに違いがあると思いますね。」
「となると2階の喫茶店側の方が空くのか・・・
ならロッカールームや湯あみ場、室内で軽く運動が出来るようにした方が良いのでしょうか・・・」
「厨房の上でドタバタされるのは頂けないな。」
料理長が呆れる。
「・・・んー・・・だとしたら・・・あ、1階に研究室でも良いのか。
で、2階の喫茶店側を試験小隊の詰め所、反対側に地図や文献等の保管倉庫。
3階に私と総監の執務室、そして会議室兼多目的スペースを作って軽く運動も出来るようにすれば・・・うん、行けそうですね。」
「1階に研究室ですか・・・防犯的に大丈夫なのでしょうか?」
フレデリックが難しい顔をさせて言ってくる。
「ロッカールームは試験小隊も研究室も兼ね備えて貰って、研究室の受付でベルを鳴らして呼んで貰うようにしましょう。
1階の室内に研究室人員用の小部屋と簡易の打ち合わせ場所を用意して、個人の小部屋に入るには2重の鍵付き扉の設置と鍵付きの棚であれば問題ないのではないでしょうか?
あぁ、でも研究室の人員はまだ2名しか決まっていないですし、採用人数も少ないから難しいですかね。」
「でしたら、やはり1階を試験小隊にして2階に研究室を設けるのが良いのではないでしょうか。
人数的にも実力的も試験小隊が担当した方が良いでしょう。」
「なるほど・・・
ではこんな感じで室内に入ったら受付する個室を作って、奥に行く扉を設けておきますか。
ベルが鳴ったらその扉を開けて対応すると。
それと受付場所の音が聞こえる様に上部分は格子状に隙間を作っておいて貰っておけば安心ですね。」
「なるほど、簡易的な前室を作るのですね。」
「さらに私や他の人を呼びに来る場合は・・・
あ、1階の室内から階段横に直接出れる扉を設けておけば、来訪者の横を通らずに直接呼びに来れますよね。
こんな感じでどうでしょうか?」
武雄は間取り図に書き込む。
「これなら失礼ではないでしょうね。」
「タケオ、フレデリック、なら喫茶店からも階段横の扉と厨房から外に出れる勝手口が欲しいな。」
「・・・えーっと、ジョージ、こんな感じですか?」
フレデリックも書き込んでくる。
「んー・・・いや、もう少し室内よりかな。
ここには食材の貯蔵をしたいから奥行きが欲しいな。
あ、フレデリック、生ごみはどうすれば良いと思う?」
「ふむ・・・裏の勝手口を出た所の横に生ごみ専用の箱でも作りますか。
その辺は環境局と整備局で検討させましょう。」
「そうか・・・まぁ本格稼働はまだ数か月あるし、建物の概要はそんな感じか。
また素案が出来て来たら皆で考えれば良いしな。
後は1か月のメニューをどうするかだな。」
「料理長的にはどう思いますか?」
武雄が聞いてくる。
「1か月、30日の5週だからなぁ。
ちなみにフレデリック。タケオ。うちの料理人2名は給料はエルヴィス家で持つが喫茶店の資金はどうなっているんだ?」
「今の所、タケオ様の助言通りに食券制にしようと思っています。
タケオ様が日替わりメニューは毎日150食分用意して頂けると言っておりますが・・・
正直に言えば売れた食券の枚数×銅貨10枚をお渡ししたいですが、それでは資金が見通せないでしょう。
1食銅貨10枚として毎日150食分の補助をお出しする見込みです。」
「毎日銀貨15枚分、月で金貨45枚か。」
料理長が悩む。
「私としては家賃は取りませんので、後は先ほど言った配膳等の係の費用と日替わり以外の食材費、後は諸経費分は稼ぎたいですね。」
「んー・・・文官以外からの日替わりメニューの価格が銅貨12枚だったか。
となると、日替わりを1食当たり原価銅貨5枚辺りにする必要があるのか。
150食分ならある程度は費用を抑えられるが・・・皆で試算してみるか。
フレデリック、空いている時に試算の相談をさせてくれ。」
「ええ、構いませんよ。」
フレデリックが頷く。
「あとは常設メニューだな。」
「楽しみに待っています。」
武雄が楽しそうに言う。
「それが一番の難点なのかもしれないな。」
料理長の呟きにフレデリックも苦笑しながら頷くのだった。
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