第611話 研究所の間取りの確認中。
武雄と料理長は整備局の一室に通されていた。
アリス以下チビッ子達は「昼寝です♪」と付いてこなかった。
で、目の前の間取り図を見ているのだが・・・大まかに言って建物の真ん中に階段がある為、各階ともに左右の大部屋が1個ずつあるような感じなのだった。
「んー・・・
1階のここが喫茶店でしょうね・・・で反対側が倉庫。
2階は喫茶店側が小隊の詰め所で反対側が倉庫。
3階の喫茶店側が研究室で倉庫側が私や幹部の執務室と会議室ですかね。
若干狭いかなぁ。でも用意出来るのはこの広さだけだしなぁ。」
「んー・・・厨房の配置が少し無駄だなぁ。
出来れば奥でなくてこっちの手前が配膳も考えれば使いやすいんだがなぁ。」
武雄と料理長が各々で不満を漏らしている。
一緒に立ち会っている整備局の担当官は苦笑するしかない。
「んー・・・あのすみませんが、倉庫には何が入るのですか?」
「ここは元々総監部の資料置き場だったので、書類関係が入ります。」
「書類ですか・・・んー・・・・」
武雄が悩む。
と、部屋の扉がノックされ、さっき屋敷で別れたフレデリックと見覚えのある男性2人(整備局長と財政局長)が入って来る。
「失礼します。」
「フレデリックさん、どうしたのですか?」
武雄が「緊急ですか?」という真面目な顔つきで聞いてくる。
「いえ、実はですね。
タケオ様が屋敷を出た後に報告が来たのですが、研究所の通りを挟んだ向かい側の倉庫も大規模修繕が必要な事が先ほど発覚したようなのです。」
フレデリックが「緊急ではないですよ。」と苦笑を返してくる。
「通りを挟んだ向かい側・・・ですか。」
「こちらになります。」
一緒に来た整備局長が街区図を広げて指し示す。
「広さは研究所と同じ広さがあるのですが・・・
タケオ様、今の研究所の所は1階を喫茶店にして2階と3階を研究所に、向かい側の倉庫を3階建てにしてそこを全て倉庫にしてみようかと思うのですがいかがでしょうか。」
「え?・・・あ、うちの研究所を広くして頂けるのはとってもありがたいのですが・・・費用はどうなりますか?
私の頭の中では研究所関連費用ならばあと最大で金貨500枚程度までは捻出できると思いますが。」
「我々としては建て直し費用としては頂けるのでしたら十分でしょうが・・・
財政局長、どう思いますか?」
「そうですね・・・
研究所の方の建て替え費用は金貨300枚を頂きましたが、金貨400枚で請け負わせて頂きます。
キタミザト様、新たな発想としてこの通りの上にも倉庫を設けてみたいと思っています。」
「・・・1階の喫茶店の前は道路を残したままですね?」
「はい。
倉庫には総監部の書類と軍務局の戦闘報告書を収めようと思っています。
さらに再来年に向かい側のさらに通り向こうの財政局の倉庫の建て替えが計画されています。
そこも同じ構造にしようかと。
ですが、発想はしてみても利用方法は現状の倉庫で良いのか
少し迷っておりまして、ご助言を頂けますでしょうか。」
整備局長が言ってくる。
「3棟の建て替えですか。とりあえず2棟の事を考えると・・・
そうですね・・・建物の部屋割りが同じと考えるなら、
まず道路上の建物の2階部分は通路と閲覧室を設けてみるのも良いかと思います。」
「閲覧室ですか。」
「はい。
相互に行き来出来るようにしておいてお互いに資料を見れる環境にしましょうか。
私達の試験小隊が考える戦術の考察結果も軍務局は見たいでしょうし、私達も過去の戦闘報告を見たいですからね。
閲覧の場所を確保しておけば建物内は完全に収納として機能出来ますので利便性は高くなると思います。
それと基本的に書き写しは良いとしても持ち出しは禁止にした方が良いと思います。」
「なるほど。」
「それと向かい側の1階の半分を雑貨屋等の店舗に貸し出し、もう半分は司書の詰め所を置いてみるのはいかがでしょうか。」
「司書・・・確か王都では資料の管理をする者をそう呼んでいますね。
その仕組みを我々もしてみるのですか?」
フレデリックが聞いてくる。
「はい。
本来ならいろんな本の収集と整理、保管、提供する専門職でしょうが・・・今の所、建物内に入る人達の入出管理と資料の整理と管理をさせてみるのが良いかと思います。」
「収集・・・売っている本を集めるのですか?」
財政局長が聞いてくる。
「ええ。今は最新の本でも50年、100年経てば古書です。
今は見向きもされない物でも未来では重要な参考資料となる物もあると思います。
ですが、とりあえず今はそこは考えないでおきましょう。」
「はい。
では司書は資料の管理をして貰い閲覧で各資料を見る。
見た資料は各々で返した後、司書が確認すれば良いのですか?」
「いや、見た資料は1階の司書に渡し、司書が戻す方が良いでしょう。
そうすれば無断持ち出しをした者がわかりますからね。」
「なるほど。管理のしやすさも兼ね備えているのですね。」
「ええ。ですが、司書はこの建物にある全ての資料の内容と何があるかは知っていないといけないので相当大変だとは思います。
それに訪問者が『こういった物を探している』と探している内容を言えば関連資料を全部揃えてくれれば良いですね。」
「なるほど。
確かにそれは便利かと思いますね。
あ、でもそれだと研究所の資料も知っておかないといけないと思われますね。」
「閲覧自体は平気でしょうが・・・そこは試験小隊でとりあえず管理させて貰って良いでしょうか。
どんな内容なのかの概要はお教えしますので、必要なら司書の方が試験小隊長や私とかの幹部に許可を貰って取りに来てください。」
「そうですね。
タケオ様の研究所は王立ですからね。
勝手に取りに行くのはまずいでしょうね。」
「それは研究所がエルヴィス家への資料を取りに行く際もそうでしょう。
なので基本的には資料を用意するのは司書にした方が良いのかもしれませんね。
各々で調べたい人もいるでしょうが、そういった人は先ほど言った戻す時に確認をする事として、研究所所属の人員とエルヴィス家所属の人員との間での資料の用意は司書がする事を前提にしてみましょうか。」
「そうですね。
その方がやりやすいかもしれませんね。」
「はい。
エルヴィス家側は司書が管理し、研究所側は研究所の人員で管理させる方向で検討して貰えますか?」
「わかりました。
では各部局で一度検討をさせましょう。
ですが、タケオ様の方の棟は基本倉庫にはしませんので欲しい部屋割りを考えてリスト化して貰えますか?」
「わかりました。
・・・では、この間取り図は使わないのですか?」
「はい。そちらは破棄して新しい物を作ります。」
「ではこちらに欲しい部屋を追記しておきますから、参考にして貰えますでしょうか。」
「はい、畏まりました。」
整備局長が答える。
「ではこの話は以上ですね。
あとは任せましたよ?」
「「はい。」」
フレデリックの言葉に整備局長と財政局長が頷く。
「折角来ましたからタケオ様の方の研究所棟の考えを見ておきますか。」
フレデリックが武雄と料理長の研究所の間取り図検討に加わるのだった。
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