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第605話 貴族会議開催中。(将来を見据えた街道整備事業。)

本日も王城内の広間にて王家と貴族会議議員、文官幹部による会議を開催中。

「んん~・・・

 ここ数日同じ議題だが、方向性がでないなぁ。」

アズパール王が腕を組みながら悩んでいた。

「問題点は時期にあります。

 来年度はウィリアム殿下の異動と新貴族・・・特にバビントン男爵の新領地の費用とアルダーソン男爵とキタミザト子爵の研究所の開設です。

 そこにカトランダ帝国やウィリプ連合国が侵攻してきた際の反攻用の兵力(・・・・・)の増設というのは厳しいです。

 軍務局と経済局で試算しましたが・・・とてもではないですが、侵攻用の騎士団を創設し、王都から派遣する事を想定した費用は賄いきれないと思っています。」

「財政面ではそうだな。」

「ですが陛下、クリフ殿下やニール殿下が仰っている

 カトランダ帝国がウィリプ連合国に侵攻した際に『海辺の領地を取らせない』という戦略はありだと私達貴族会議は考えます。」

クラークが言ってくる。

「うむ、そうだな。

 塩までカトランダ帝国に生産する事を認めれば次に侵攻してくるのはうちだ。

 なら生活に必要な塩を我らから供給(・・・・・・)するのが交渉としても対等に渡り合えるだろう。

 だがな・・・魔王国についても来年、再来年に国政の変更があるのだったな?

 魔王国に面している貴族に対ウィリプ連合国への参戦要求は出来んぞ。

 新国王になった際に不測の事態が起きても現状より領地を減らさない為・・・負けないように関の強化や兵士の教育をしておいて貰わないといけない。

 むしろ関の強化には多少の補助が必要なのではとすら思うぞ。」

「確かにその通りです。」

「そこは認めます。」

オルコットとクラークが難しい顔をさせる。

「対ウィリプ連合国への反攻作戦をするにも魔王国側の裏口は強固に閉じておかないといけないだろう。」

「「「はい。」」」

アズパール王の言葉にその場の全員が頷く。

「となると・・・最大級の支援でも王都から第1騎士団か第2騎士団を派遣し、あとは各々の領地で兵士を増やして貰うしかないか?」

「あと出来る事といえば・・・

 陛下、キタミザト子爵が第二研究所(通称:二研)の人員との打ち合わせの際に言っておられた戦略についての講義を覚えておりますか?」

「確か・・・戦略は戦術をするに当たっての事前準備を総称すると言っていたな。

 情報、地理の把握、予防線の3種類に大別するのだった思うが。」

「はい。

 キタミザト子爵は予防線の中で『隣接領との街道の整備、戦地への迅速な輸送体制の確立と備蓄』が必要だと言っておられました。」

「その通りだ。

 ・・・街道整備か。」

「はい。

 おい!王国全土の地図を持て!」

「はっ!」

文官が該当地図を持ってアズパール王達の前に広げる。

その地図には現在の大まかな街道が書かれていた。

「うむ・・・どう整備するか・・・

 既存の街道を広げるか?」

「それも1つの手ではあるかと思いますが、もう1つの手としては・・・」

オルコットが木の棒を地図に置く。

「なるほど・・・王都とニール領そしてウィリアム領への直通街道の整備か・・・

 確か、王都からウィリアムの街に向けての街道整備計画が出来ていたな。」

「はい。王都と王家が率いる2大都市との大規模街道整備をしてそこから各領地へも街道整備をするというのはどうでしょうか。」

「そういう手もあるな。

 それにアシュトン子爵の所の関までの街道とこの街道とを繋げて移動時間の短縮が必要か・・・

 王都、ニール、ウィリアムの3領地がそれぞれに直通出来る街道も必要だし、王都とエルヴィス伯爵の所にも必要だな。」

「確かに・・・そうすれば今よりも短時間で戦場までの兵士の移動が出来そうですね。

 オルコット宰相、この整備費用は兵士の増員よりも費用は低いのでしょうか?」

「試算段階では新騎士団の創設より王都と殿下領の3地域への街道整備の方が3割程度低いと考えます。

 さらにアシュトン子爵の関とニール殿下領までの街道の整備、エルヴィス伯爵の抱えている関までの王都からの街道拡張工事の費用を見込んでも街道整備の方が低いと考えます。」

「ふむ・・・財政面ではこちらか・・・

 経済局長、居るか?」

「はっ!」

「どう思う?」

アズパール王の問いかけに経済局長が前に出てくる。

「では・・・

 現状ではどちらの案でも良し悪しは同じくらいではないでしょうか。

 とりあえずエルヴィス領への街道拡張整備は問題はないと思いますし、ウィリアム殿下の方の新規街道整備も問題はないでしょう。

 問題なのは・・・」

経済局長が皇子達を見る。

「クリフとニールの方か?」

「はい。

 ウィリアム殿下領の方は基本全てが新規で街道が作れる為、既存の街道周辺の村々への影響は少ないでしょう。

 これはニール殿下領とウィリアム殿下領との街道整備でも同様かと。

 ですが、王都からクリフ殿下領とニール殿下領へ向かう街道が変わります。

 仮称ですが、現在の街道を旧街道、オルコット宰相が提唱している街道を新街道と呼称するなら。

 えーっと・・・旧街道沿いには町や村が大まかに20個程度あります。

 これらで新街道側との通行に不便がないのが・・・ここら辺とここでしょうか。」

経済局長が地図を棒で指しながら説明する。

「・・・王都の出口とニールの所の入り口付近だけだな。」

「はい。

 楽観的に考えて半数は街道が変わっても大した影響がないと考えて残り10か所。

 こちらは明らかに主要街道から離れてしまいます。

 町や村はそう簡単に移動は出来ないでしょう。ならこの新街道には新規に町や村の整備が必要です。」

「流石にそれは難しいと思えるな。

 クリフ、ニール、どう思う?」

「私としてはどちらにしても街道整備計画から漏れます。

 今のままの商売ではある程度の経済の縮小が予想される為、新たな新規産業を掘り起こしておかないといけないと思っています。」

クリフが難しい顔をさせる。

「私としては現状の街道を拡張させた方が良いと思います。

 クリフ兄上の所とうちの所の街道は王都を出る所までは一緒です。

 分岐する所から整備をした方が、村や町への影響は少ないだろうとは思います。

 むしろ新街道を使うよりも街道を一気に拡張させると共に村を数個新規に作った方が利便性が高くなるようにも思うのですが・・・どうでしょうか。」

「それも手だな。

 オルコット、そこは一度経済局や整備局等々文官の中で検討してみようか。」

「はっ!」

オルコットが返事をする。

「では現状では魔王国に面している貴族には関の強化の補助金の概算を。

 街道整備については先の通り、エルヴィス領とニール領への街道拡張整備の概要と王都とニール領からウィリアム領への新規街道整備の概要を作成する事。

 ウィリプ連合国への対応方法は既存の面している貴族の兵士の増加努力を促す事とする。

 軍務局と外交局は万が一、カトランダ帝国がウィリプ連合国に侵攻した際はカトランダ帝国に面している貴族からと王都の一騎士団の増援で対応する事を想定した侵攻計画を考える事。

 以上だ。

 他に意見はあるか?」

「「・・・」」

意見は出て来ない。

「では午前の会議を終わろう。」

アズパール王が席を立つと皆が最敬礼をして見送るのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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