第606話 皇子妃達の午後。(エイミーの領地戦略。)
王家の皇子妃一同+エリカが昼前のお茶会をしていた。
エイミーとアンとクリナは熱心にアリスの伝記を1、2巻連続で読み込んでいる。
「アルマにレイラ、そしてエリカさん、領地の方は大丈夫?」
セリーナが聞いてくる。
「「「んー・・・」」」
3人とも腕を組んで悩んでしまう。
「ちょっと・・・大丈夫?
異動が1年後と言っても今決めないといけない事は多数あるわよ?」
ローナが心配そうに聞いてくる。
「いえ・・・街の街区は決め終わったよね?」
アルマがエリカに聞いてくる。
「はい。街中の道幅を18mにする事で決着がつきました。」
「「道幅が18m!?」」
「それは広すぎませんか?」
ローナとセリーナは驚きリネットが疑問を呈してくる。クラリッサはリネットの言葉に頷いていた。
「いや・・・
表通りも裏通りも馬車が4台・・・相互に2台並走しても当たらないように配置して商店に荷下ろししている幌馬車を気にせず他の幌馬車が移動出来るようにしてみたの。」
アルマが武雄の言葉をそのまま説明する。
「画期的ね。」
「確かにそれなら街中で渋滞が起きないか・・・よく考え付いたわね。」
ローナとセリーナが褒める。
「と、街区と道は終わったんですよね。
で、エリカさん起案の卸売市場も素案が出来てきているし・・・」
「「「卸売市場?」」」
皇子妃達が興味深々で聞いてくる。
「じゃあエリカさん、説明をお願い。」
レイラが説明をするようにエリカに促す。
「・・・うぅ、最近いろんな方に同じ説明をしている気がします・・・」
エリカがガックリとする。
「それはそうでしょう。
うちの文官達と向こうにいる商人の代表に連れて行く商人、農家の方々や王都の局長達にもしたわよね。
いろんな所から協力を仰がないといけないからその数だけ新しい考えを説明しないといけないからね!
それに年始は魔王国3伯爵領の貴族達への説明もしないといけないし・・・
エリカさん、用意よろしくね。」
アルマが楽しそうに言う。
「そこが一番の山場じゃないですか・・・」
「まぁね~。
実際は4貴族合同事業みたいな物だしね。
成否はエリカさんにかかっているからね!」
レイラが満面の笑みを向ける。
「うぅ・・・わかりました。
と、それでは皆様に卸売市場の概要の説明をします。」
エリカが皇子妃達に説明を始めるのだった。
・・
・
「「「「ん~・・・」」」」
エリカの説明を聞いた第1、第2皇子妃達が悩んでいた。
「革新的と言えば良いのかしら?」
「成功するか失敗するかによって評価が変わってしまうわね。
成功すれば画期的な考え、失敗すれば無謀な試み・・・王都側の文官は言いだしそうかな?」
セリーナとローナが評価を下す。
「でも成功したら商売や流通が変わりそうですよね?」
クラリッサが皆に聞いてくる。
「んー・・・そこまで変わるかは疑問が残りますかね。
ある意味でウィリアム殿下領が出来るからこその新流通体制と取れなくもないですよね。
うちの場合はどうかなぁ・・・今のままでも不評は出て来てないし、むしろ混乱をしかねないかも。
導入は最初は小さい規模で行うしかないと思います。」
リネットがそう言う。
「確かにうちに導入するならそうでしょうね。」
エイミーが読書を中断して皇子妃達の方に来ていた。
「ん?エイミーちゃんは違う考えなの?」
「いえ、お母様の言っているのはうちの領内での実施に向けての思考です。
ですのでそこについては賛成しますが、別にうちでもする必要が出るかは後々の状況を見ながら考えれば良いのです。
言葉は悪いですが、するのであれば第3皇子一家の実施状況を見て良い所を取り入れれば良いのですから。」
「そうねぇ、それで良いかもねぇ。」
ローナがエイミーに賛同する。
「で、エイミーはどう考えるの?」
アルマが聞いてくる。
「私達第2皇子一家領からも売る側で参加してみようかと。」
「え!?」
リネットが驚く。
「エイミー、リネットが驚いているわよ?」
アルマが苦笑しながら聞いてくる。
「ん?なんでお母様が驚くのですか?
これは新たな流通網なのでしょう?
エリカさんが言っているではないですか。この卸売市場の概念は『売りたい物を買いたい者達が価格を決める制度』だと。
ならうちから参加しても何も問題はないでしょう。」
「何を売りますか?」
「んー・・・基本的に他領に売る為には他領よりも特色がある商品かその地域でしか作っていない物しか売れないのが基本でしょう。
アルマお姉様、レイラお姉様、現状の考察として他の3伯爵領はどんな物を持ち込んでくると思いますか?」
「そうねぇ、うちの兄は魚系かな?
ゴドウィン伯爵領とエルヴィス伯爵領には海魚の干物が良く売れるし。」
「ジェシーお姉様の所は・・・んー・・・小麦を中心とした穀物か獣肉の干物かなぁ。
お爺さまは・・・まぁタケオさん一派だから、ウォルトウィスキーとウスターソースは確実に出てくるだろうし、あとは何かなぁ・・・
トレンチコートも売り込みに来るのかな?あとは余裕があれば懐中時計か。」
「レイラ殿下、卸売市場は一応、食べ物のみなのですが・・・」
エリカが苦笑する。
「ならウォルトウィスキーとウスターソースね。」
「ふむ・・・なら私達は大豆と小豆を売りに行ってみますか。」
「エイミー、大豆は結構・・・不評よ?」
「・・・お母様、これをどうぞ。」
エイミーが1枚のメモをリネットに渡す。
「ん?・・・・ん?」
リネットは見る前に首を傾げ、見てからも首を傾げる。
「エイミー、これ誰から?」
「何が書いてあるの?」
皆が興味深々に聞いてくる。
「内容は大したことがないです。
大豆の生産量と収穫時期を聞いてきているのです。
それと王都に卸した小豆の販売量です。」
「ん?それだけなの?」
「はい。
大豆については料理長からですが、実質大豆に興味を持っているのは王城の料理長に聞いたタケオさん。
試験的に卸した小豆の1割を買ったのはタケオさん。
うちの領地ではタケオさんが興味を持っている穀物を2つ生産している事になります。
レイラお姉様、大豆も小豆もエルヴィス領では作っていないのですね?」
エイミーがレイラに聞いてくる。
「ないわ。どちらも初めて聞いたわ。
タケオさんが興味を持つ穀物かぁ。」
レイラが「ん~・・・」と悩む。
「なので、タケオさんが王都に来る来年に私はタケオさんと商談をしたいと思います。」
「「「「商談!?」」」」
「ま・・・豆を売るの!?」
リネットが恐る恐る聞いてくる。
「・・・私はタケオさんから大豆と小豆のレシピを買い取りたいと思います!」
「「「「なっ!?」」」」
皇子妃達が驚愕の表情をさせて固まる。
「第1皇子一家はウスターソースで地域振興を、第3皇子一家は卸売市場という新たな流通をして地域振興をします。
各々が何かしらの地域振興をするのですから私達第2皇子一家も何かしなければ生き残れないでしょう。
なら他の地域にはない大豆と小豆を使ったレシピを考えて貰い、地域を活性化させるしかないと考えました。」
エイミーがスレンダーな胸を張る。
「でもエイミーちゃん、タケオさんが知っているとは限らないし、美味しいかどうかも・・・特産品になるかもわからないわよ?」
レイラが難しく顔をさせる。
「その時はその時です。
その際は相談させて貰えれば良いのです。」
「ん~・・・まぁ、聞いてみないとわからないか。
一応、タケオさんに事前に聞いてみたら?
タケオさんならこっちの事情もわかってくれるだろうし。まぁ、値段は・・・要相談かな?」
「確かに・・・そうですね。
なら後で伝令を走らせます。」
エイミーが頷くのだった。
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