第584話 作業服の装備品。
「えーっと・・・
まずは頭ですね。
これは店長さんが来る前に話はしましたが、もう一度します。
帽子は2種類を作って貰います。
一つは布製、もう一つは鉄製です。
ここでは布製は帽子、鉄製はヘルメットとします。」
「「はい。」」
皆が頷く。
「さっきも書いたのですが、こっちが帽子、こっちがヘルメットです。」
キャップと鉄の戦闘用ヘルメットを書いた物を皆に見せる。
「この2つは先ほど仕様の説明したので詳しくは省きますが・・・
帽子は作業時に、ヘルメットは戦闘時にこの帽子の上から被ります。
そしてヘルメットは外側からの衝撃を直接防ぐ鉄の外装と被っている帽子に隙間がある2重構造として頭部を守ります。」
「・・・詳しくはわかりませんが、話の内容はわかります。
つまりはキタミザト様は打撃の衝撃を頭に伝えない為の構造を考えたのですね。」
ラルフ店長が顎に手を置きながら言ってくる。
「はい。
鈴音はどう思いますか?」
「ヘルメットの良し悪しは基本的な所はわかるのですが・・・
耳の上までなのか下までなのか・・・実際に付けてみないとわからない事が多いような気がします。」
「そうですね。
とりあえずはこのデザインで試してみましょうか。
というわけで試作をお願いします。」
「わかりました。」
「では次は。」
「まだあるのですか?」
ラルフ店長が言ってくる。
「ええ、最後ですよ。とりあえずは。」
「とりあえず・・・なのですか?」
「はい。今の所思いついたことがこれだけですので。
で、前に発案したダウンベストはありますか?」
「え?・・・はい。こちらももうすぐ市販出来るように準備はしていますが・・・
おい!LLを持って来てくれ。」
ラルフ店長の言葉に職人が1人奥に行って手にダウンジャケットを持ってすぐに戻って来る。
「キタミザト様、こちらになります。」
「はい、ありがとうございます。
このベストから綿を抜いたもので戦闘用ベストを考えましょう。
まずは、左胸に指3本分の大きさでポケットが2つ。
前のお腹の所に指4本分で4つ。
腰の左右両端に1個ずつ計8か所のポケットを作ってください。
そしてこれもポケットの下側にベルトを付けておいてください。」
「ちなみにどんな物を収納するのですか?」
「ナイフ等の武器、水筒、地図、携帯食料・・・まぁ小物です。
それとこれにリュックを背負うことも考えています。」
「なるほど・・・他にはありますか?」
「ベストの襟の部分を少し高めに折れない仕様にしてください。」
「襟を立てるのですね。
生地を重ねる方法でも構わないですか?」
「その辺はお任せします。
襟自体を強固にする必要はあまりありません。
ですが、自然に折れてしまうのは頂けません。」
「わかりました。
何とかしてみましょう。」
「どのくらいで出来そうでしょうか?」
「そうですね・・・制服と作業服、戦闘ベストは改良をすれば良いのでそこまでの日数はかかりません。
靴についても茶色の靴と馬術用の靴の加工でそこまでは必要ないでしょう。
まぁ鉄板を入れれるかはちょっとわかりませんが・・・これは相談する事にします。
制服の帽子と作業服の帽子も絵がありますので何とかなるかと。
ですが・・・ヘルメットが問題かと。
これには10日は見て欲しいと思います。
他のは1週間で何とか形にはしてみせます。」
「ふむ・・・そうですか。
ですが、靴とヘルメットについては今の所、完成品を求めていません。
1週間後に制服と作業服の服、帽子、靴、戦闘用ベストを用意してください。
とりあえず試験したいので、作業服用の靴はまだ鉄板は入れなくて結構です。
厚底の脛まである革靴を用意してくれれば構いません。」
「畏まりました。」
「今回の費用はいくらかかると思いますか?」
「・・・オーダーのスーツが金貨2枚、コートが金貨5枚・・・
・・・制服と作業服が金貨3枚ずつ、ベストが金貨2枚、靴が2足で銀貨5枚、ヘルメットは銀貨5枚、帽子が2つで銀貨5枚・・・諸経費で銀貨5枚の計金貨10枚でいかがでしょうか。」
「では、そちらで結構です。
私と鈴音の分をお願いします。」
武雄が即答する。
「「え!?」」
武雄が連れて来た面々が驚く。
「ん?
あ、あとトレンチコートの5名分の費用で金貨12枚と銀貨5枚ですか。」
「えぇ!?
キタミザト殿!備品は自己管理ですが!?」
「そうですか?
・・・いや、このメンバーのトレンチコートは私がとりあえず払っておきましょう。
制服の費用もありますしね。
追々合算して給料から引きます。」
「わかりました、それでお願いします。」
アーキンがそう答える。
「ねぇ、ミア、その服ここで作ったの?」
テトが何気にミアに聞いてくる。
「はい!ここで作って貰いましたよ?」
「スズネ!私も欲しいです!」
テトが鈴音におねだりを始める。
「え?テトちゃんも?
武雄さん、作れますか?」
「店長さん、出来ますか?」
「はい、ミア様の型が残っていますので。
1着銀貨7枚になるかと。」
「う・・・7枚かぁ。
武雄さん、給料の前借りできますか?」
「鈴音からそんな言葉を聞くとは・・・
そうですね・・・私が買い与えましょうか。テト、これからもよろしく。」
「良いのですか!?」
鈴音が驚く。
「はは。じゃあ無償というのも悪いでしょうから。
テト、いつか私の要請に答えてくれるとありがたいですね?」
「それは構いませんが・・・出来る事だけですよ?」
「ええ。無理強いはさせる気はありませんが、その時になったら言いますから検討してください。」
「はい、わかりました。」
テトが了承する。
「店長さん、お金は明日で良いですか?」
「構いません。
えーっと・・・制服と作業服一式が金貨20枚、トレンチコートの5名分の費用で金貨12枚と銀貨5枚、テト様のトレンチコートで銀貨7枚・・・
計金貨33枚と銀貨2枚になります。」
「はい。では明日持ってきます。」
武雄は相変わらず即決する。
「さてと、じゃあ皆さん、次に行きますか。」
武雄が皆に促し席を立つ。
「ではまた明日。」
武雄達が店を後にするのだった。
・・
・
「で?どうしてこうなったのかな?」
ラルフ店長が皆に笑顔を向けながら言ってくる。
「「ヒィ!」」
職人達が固まる。
「はぁ・・・まぁキタミザト様だから良いような物の・・・
他のお客様だったら断るか日を改めてくれ。」
ラルフ店長が疲れ切った顔をする。
「すみません、店長。」
「いや、対キタミザト様で納期に1週間も貰えたのは良かったのかもしれない。
・・・今抱えている各々の仕事をリスト化してくれ。
キタミザト様の制服と作業服に人が回せるようにしよう。
あと防具店に依頼して帽子等々の打ち合わせをしないといけないな。
ちなみにこれはまだキタミザト様の趣味なんだな?」
「はい。まずは個人的に買ってから研究所の制服等を決めるそうです。」
「そうか・・・どちらにしても制服の受注はうちでしたいな。
そのためにもこの制服と作業服は要望を叶えないといけない。
皆、忙しいがやるぞ!」
「「はい!」」
皆が動き出すのだった。
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