第585話 魔法具商店に到着。
「いや~、面白い事になってきましたね。」
武雄がラルフの仕立て屋からテイラーの魔法具商店に向かう道すがら楽しそうに言う。
「キタミザト殿、あの制服は基本的に研究所の室内用なのですか?」
「んー・・・そうとも思うし、そうじゃないと思うし・・・
ですが、私の中では基本的な室内作業時はあの制服で行い、野外訓練や試験、緊急時の対応はあの作業服で行いたいとは思いますよ。
それとアーキンさん、ブルックさん。」
「「はい。」」
「2人とも作業服に懐疑的なので、1週間後に実地で性能試験をしますからその時に体験してくださいね。」
「「え!?」」
「そうですね・・・森の中に1本道を作りますからそこで私が待ち伏せでもしますかね?」
「私達2名で対応しても良いのでしょうか?」
「ダメです。
私はそもそも兵士ではないのですよ?
王国最強の王都守備隊員に1対2で敵うわけないです。
1名ずつでお願いします。」
「えぇぇ・・・」
ブルックが嫌な顔をする。
「そんなに嫌がらなくても・・・じゃあ、武器も使いませんし、ブルックさん達は真っ直ぐ歩いて頂いて、それで私を見つけるというのはどうですか?」
「ん~・・・それなら良いのかなぁ・・・」
ブルックが悩む。
「アーキンさんはどうですか?」
「私は別に構いません。
それに制服や作業服も防具としての括りで性能試験をすると言うならば、私達は試験小隊なのです。
キタミザト殿が評価を必要とするなら部下として参加は当たり前かと。」
「確かにそう言われるとそうですかね。
まぁ、とりあえず私の趣味に付き合って貰いましょう。」
「わかりました。」
「は~い。」
アーキンは即答、ブルックは諦めながら返事をするのだった。
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武雄達が魔法具商店に着き、中に入るとテイラーが挨拶をしてくる。
「キタミザト様・・・・いらっしゃいませ。」
テイラーが驚きながら挨拶をしてくる。
「お邪魔します。」
「「失礼します。」」
皆が挨拶をして入って来る。
「えーっと・・・まずはどうすれば・・・
皆さん、すみませんが、人数分のまとまった席がないので適当に座って頂いても構いませんか?」
「わかりました。」
武雄が答えると皆が頷いて各々座る。
「はぁ・・・大人数ですね。
それに・・・エルフにドラゴン、妖精・・・鳥ですか?」
テイラーが皆を見回しながら言ってくる。
「正確には違いますね。
エルフのアニータとミルコ、ドラゴンのクゥ、精霊のテト、同じく精霊のスーです。
あ、それと今日は連れて来ていませんが、私の執事に人間から狼に変身する型の獣人が2名です。」
「・・・はぃ?エルフも獣人も驚きですが・・・精霊が2名??」
「んー・・・・えぇ。
あ、アーキンさん、ブルックさん。」
「「はい。」」
「所長命令、これからの事は口外禁止です。」
「「わかりました!」」
「他の人達も口外はしちゃダメですからね?」
「「「はい。」」」
アニータとミルコ、鈴音も返事をする。
「・・・キタミザト様、大丈夫なのですか?」
「この2人は王都守備隊出身ですし、他は私の部下ですからそう問題にもならないでしょう。
それとテイラー店長にも話しておきましょうか。」
と、武雄が今回の旅で起こったこと(王都の騒動、カトランダ帝国への視察と工房の件、研究所の件、精霊との契約)を掻い摘んで話すのだった。
・・
・
「・・・そうですか、師匠は生きていましたか。」
テイラーが腕を組んで武雄の話を聞いていたが最初の一言がこれだった。
武雄は「そこですか?」と思う。
「あの・・・キタミザト殿、こちらの店長さんはどういった人なんですか?」
ブルックが「いくら何でも話し過ぎでは?」と思い恐る恐る聞いてくる。
「私はスミソン・テイラーと言います。
元王家専属魔法師部隊所属です。」
「「え!?」」
アーキンとブルックが出自に驚く。
「そして仁王様いらっしゃいますか?」
武雄がそう言うと「ポンッ」と音と共に仁王が空中に現れ優雅に着地する。
「うむ。タケオ、おかえり。」
「「な!?」」
アーキンとブルックがニオに驚く。
「テイラー店長は精霊魔法師です。
陛下がこの前に来た時にテイラー店長と話していますのでここに居る経緯は不問です。
それと私達は王都に対してはテイラー店長が精霊魔法師である事は知らない体で行きます。
一応、王家専属魔法師殿には私が知っている事は言っていますが、陛下達には伝えません。
わかりましたか?」
「「はぁ・・・」」
アーキンとブルックが呆気に取られて生返事を返す。
「ニオ!」
「チュン!」
テトとスーが仁王に駆け寄る。
「おぉ、テトとスー助か。
久しいな!」
仁王は皆が入って来た時から気が付いていたが今知ったかのように対応する。
「『久しいな』ではないですよ!何でこんな辺鄙なとこにいるのですか!?」
「へ・・・辺鄙・・・」
アリスがテトの言い分に苦笑する。
「住めば都だぞ?
ここには大して争いもないし、特にこれといって事件も起きん。
都会の喧騒を忘れてのんびりするには良い土地だ。」
仁王がウンウン頷きながら説明する。
「いや!貴方!精霊でしょう!?
もっと人の為に何かしないの!?」
「うむ!テイラーと一緒に隠居生活を満喫しておる!」
仁王が堂々と胸を張って自堕落を宣言する。
「違うでしょう!?」
「ん?そもそも我らは布教はしないとしているだろう?
適応者に力を貸す事が使命だ。適応者が望まない事はしない・・・当たり前だろう?」
「くっ・・・それはそうだけど・・・
じゃあニオは今何しているの?」
「毎日ほのぼのしている。」
「ダメじゃん!」
「テトは相変わらず固いな。
まぁこの街に居れば考えも変わるだろう。」
「チュン!」
「ん?スー助は久しぶりに外に出たのか?
この世界を満喫しておるか?」
「チュン♪」
「うむうむ、アリスの下で満喫しておるか。
テトよりスー助の方が適応力は高いな。」
「チチチッ・・・」
「な!?スー助!貴方も自堕落になる気ね!?」
「チュン♪」
「くっ・・・確かにニオが言った通り適応者の意思に沿わないといけないけど・・・」
テトが悩み始めるのだった。
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