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第473話 武雄とアリスの話し合い。(第3皇女の事。)

「あとは・・・エリカさん達ですね。

 アリスお嬢様、何で威嚇をしましたか?」

「う・・・」

アリスは明後日の方を向く。

「・・・」

武雄は何も言わないでアリスを見ている。

「うぅ・・・」

アリスは若干汗をかき始める。

「はぁ・・・大方、エリカさんが私に求婚したとか私がエリカさんに手を出すんじゃないかと勘繰りましたか?」

「・・・はぃ。」

アリスは俯きながら答える。

「まぁ状況を見れば私が同行を拒否したのについて来たのですからそう取れなくもないですね。

 ですけど、明確に断る理由がそもそもなかったのですよね。」

武雄はため息をつきながら言う。

「理由はあるじゃないですか。

 アズパール王国から視察に来たと言えば・・・ん?・・・視察じゃないのでしたね。」

アリスが気が付きため息をつく。

「ええ。今回の旅は私の個人的な視察旅行で国の使者としての視察ではありませんね。

 正式な外交上の視察なら機密があるので拒否が出来るでしょうが、個人で旅行をしているのですから他者が自分の意思で旅行をしているのに付いて来るなとは言えませんよ。

 それにエリカさん達はアズパール王国に来るのも初めてっぽいですからね。

 誰かと一緒に来たかったのでしょう。」

「皇女なら出国すらしたことがないとは思いますが・・・」

「そういう物ですか?」

「ええ。例えばカトランダ帝国の第1皇子が結婚をする際は跡取りなので、アズパール王国からは文官の上位と王家の誰かが参列するとは思いますが・・・男性が行くと思います。」

「敵対国なのに王家の者が参列するのですか?」

「はい、見栄を張りに。

 相当贈り物をしてくるらしいですよ。逆にこちらもクリフ殿下の結婚の際は向こうから皇子が来たらしいです。」

「なんでアリスお嬢様は知っているのですか?」

「レイラお姉様の結婚式でそういう話になりました。」

「なんでそんな話になったのだか・・・まぁ良いです。

 という事はエリカさん達は初めての国外なのに国外退去なのですか・・・親御さんも無茶をさせますね。」

「陛下は『カトランダ帝国は相当の覚悟で何かを狙っている』と仰っていました。

 それにエリカさんが第3皇女だと確信していましたね。

 ブルックさん達が報告に来るちょっと前にカトランダ帝国から書簡が来て『第3皇女エリカ・クレト・カトランダが亡くなり、第4皇子チコ・クレト・カトランダが正式に跡継ぎとなった』と通告されていましたから名前から第3皇女だろうと。」

「なるほど、名前からですか。」

武雄は思案する。

「陛下からはタケオ様と会った時と同じ方式でタケオ様の執事2名とエリカさん達と話したいそうです。」

「まぁ、当然そうなるでしょうね。」

武雄が頷く。

「・・・タケオ様、実際の所、エリカさん達をどうするのですか?」

「どうしましょうかね。」

武雄が首を傾げる。

「決めていないのですか?」

「はい。私が来て欲しいと依頼したわけではありませんから何かをして欲しいとは考えていませんね。

 それに今現在、エリカさんは自分がやりたい事を探している最中なんです。

 なので、何がやりたいのか決まったら相談を受けようかと思っています。」

「彼女はやりたい事がないのですか?」

「今まで仕事は与えられて来たのをいきなり外に放り出されて、『好きにして良い』と言われたら困惑するのではないでしょうか。」

「確かにそうかもしれませんが・・・万が一、タケオ様の側室になるなんて言い出したらどうするのですか?」

「・・・は?

 なんでそうなるんですか?」

武雄は「何言ってるの?」という顔をアリスに向ける。

「いや・・・だって・・・」

アリスは困惑しながら言う。

「そういう事は言われないと思いますけど・・・

 言われたとして男としては嬉しいですね。」

「嬉しいのですか!?」

「ええ。人に好かれるのは悪いことではないでしょう?

 ですけど、前にアリスお嬢様に言いましたが、アリスお嬢様の同意がなければ側室は入れませんよ。」

「私の判断ではなく。タケオ様はどう思っているのですか?」

アリスが真面目に聞いてくる。

「アリスお嬢様で十分楽しんでいますから側室はいりません。

 それに私達はまだ結婚もしていないのですから側室の話は早すぎるでしょう。」

「それは・・・そうですけど・・・

 じゃあ、タケオ様は側室はいらないのですね?」

「はい。今は必要ではないですね。」

「今は!?」

「ええ。この先どうなるかなんてわかりませんし、少なくとも今の時点ではいりません。」

「むぅ・・・不安です。」

「・・・逆に私的にはアリスお嬢様に飽きられないか不安です。」

「え?私がタケオ様を見限ると?」

「はい。年も離れていますし・・・」

「いやいや、私が見限る事はないですよ?」

「本当に?」

「はい!」

「そうですか。

 では、私も誓いますね。私から側室をいれたいとは言いません。」

「?・・・タケオ様からは言わないのですか?」

「はい。私としてはアリスお嬢様と添い遂げる気満々ですし、子供も欲しいですよね。」

「確かに・・・ですけど・・・子供はもう少しあとで・・・今はタケオ様と楽しみたいと。」

アリスは少し照れながら言う。

「ですので私からは側室が欲しいとは言いませんよ。」

「タケオ様から以外に誰が言うのですか?」

「政略的な事で娶らなければならないかもしれませんし・・・」

「断ってしまいましょう!」

「断れたら良いですけど・・・断れない相手も居たりするかもしれません。」

「・・・王家ですか?」

「王家には私に嫁ぐような年齢の女子は居ないと思いますけど・・・まだいるのですかね?」

「たぶんいませんが・・・タケオ様は貴族ですから領民からの求婚は断れると思いますし・・・誰が無理強いすると考えているのですか?」

「他国。」

「んー・・・『それはないです』とは言えないですね・・・

 でも確率的には低いです。」

「私もほぼないとは思っていますが、それでも絶対にないとは言えないと思うので『私からは』という形にしました。」

「んー・・・出来る限り抵抗してくださいね。」

「最善は尽くします。」

「タケオ様の最善は時と場合によって結果が違いますからね。」

アリスはため息をつく。

アリスは武雄が側室を持つ気が無いと改めてわかり気分が幾分スッキリはするのだが、「タケオ様は優しいから女性に迫られたら断れないだろうから気を付けないと」と武雄に接近する女性の監視をする気になるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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