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第430話 魔法師専門学院 生徒たちの進路決定とアリス達にエルヴィス爺さんからの手紙。

「あぁ・・・皆ぁ・・・お疲れ~。」

トレーシーが学院長室の自身の机に突っ伏しながら呟く。

「学院長、お疲れ様です。」

一緒に学院長室に入って来た教師達数名も各々に労いの言葉をかける。


魔法師専門学院は昨日から求人を貼り出し、昨日の午後と今日の午後いっぱいまで10月末時点の成績順に生徒を呼び出し希望先を聞き、求人票を埋める作業をしていた。

そしてトレーシー達は生徒全員の面接を終え、学院長室に移動してこれから会議だ。


「はぁ、お茶でもしながら話をしよう。」

トレーシーの言葉に教師達がお茶の用意を始める。

トレーシーも自身の机の引き出しから秘蔵のお菓子を取り出して皆に配る。

・・

「さてと・・・今年はあんまり波乱はなかったね。」

トレーシーが感想を言う。

「まぁ・・・去年が大変だっただけかと。

 それにしても王都の第1騎士団と第2騎士団から大幅な増員求人がされるとは思いませんでした。

 おかげで今年は定員割れの地方貴族が4家ありますよ・・・

 生徒たちは張り出された瞬間に驚いていたみたいですけどね。」

教師がため息をつく。

「あぁ・・・それね。

 ウィリアム殿下の公領への異動に関して、王都の人事がかなり動くらしいからね。」

「それに公になってはいませんが学院長がキタミザト卿の研究室長に、ケイ・ケードとパメラ・コーエンがキタミザト卿の試験小隊に採用。

 あのパメラが・・・面接の時の生き生きとした顔が・・・」

と教師が涙ぐむ。

「気持ちはわかるなぁ。

 あの子は一番伸び悩んだ子だからね。」

トレーシーや他の教師も頷く。

「すみません・・・私の初めての生徒達ですので・・・

 コーエンはここ1年気落ちしていましたし・・・気にはかけていたので。」

「ウンウン、それは大事ですよ。

 これからもその気持ちは大切にしないといけませんね。」

「はい、学院長。」

涙ぐんでいた教師が大きく頷く。

「さてと・・・定員割れを起こしたのは・・・

 あぁ・・・事務方かぁ。エルヴィス家に至っては0(ゼロ)・・・」

トレーシーが求人票を見ながらガックリとする。

「ええ、今回は王都の騎士団が増員に傾きましたからね。

 毎年生徒の受け皿として懇意にさせて頂いている貴族の事務方への採用は見送られてしまいましたね。」

「んー・・・来年も求人を頂けるのだろうか・・・

 この貴族方は事務方に採用された生徒達も大切にしてくれていると卒業生達からも報告が来ているが・・・

 求人結果の通達の際に一筆書くか。」

「そうですね。」

他の教師たちが頷くのだった。


------------------------

「決まったわね。」

ジーニーが食堂で数人と食事をしながら呟く。

他の生徒達も採用先ごとにまとまって食事を取っているみたいだった。

一緒に食事を取る面々はエルヴィス家への魔法師小隊に入る男子2名とケイとパメラだ。

「あぁ!だがまさかパメラが試験小隊とはな!」

男子生徒が驚きの声を楽しそうに上げてパメラを見る。

「しーー!

 試験小隊はまだ正式発足していないのよ!

 大声で言っちゃダメよ!」

ジーニーが慌てる。

「お・・・おぉぅ・・・それはすまん・・・

 良かったなぁ、パメラ。」

男子生徒が声を潜めて言ってくる。

「うん!キタミザト様には拾って頂いて感謝のしようがないよ。」

「やったなぁ。パメラは入学時は上だったがこの頃は失敗続きだったからなぁ。」

もう1人の男子生徒も嬉しそうに言う。

「そうね、ホント良かったわ。」

ジーニーも嬉しそうに言う。

「で、決まったのは良いがこれから何をするんだろうな?」

「さて・・・後は卒業まで各々が自習になるはずなんだけど・・・

 ケイとパメラは何をするの?」

「私達は図書館で文献を見てくつもりよ。

 確かキタミザト卿が戦術考察もすると言っていたから過去の戦闘報告書を書き写しているわ。

 たぶん必要になると思って。

 あとは基礎体力の向上かな?」

ケイが答える。

「なるほどね~。私達はどうする?」

ジーニーが他の2名に聞く。

「俺たちも基礎体力向上しかないだろう。

 向こうでのシゴキに耐えられる体力を付けとかないとな。」

男子生徒の答えに他の面々も頷く。

「皆やることは変わらないのかぁ」

パメラがそう呟くのだった。


------------------------

「この書類はまとめて置いておけば良いのですか?」

「そうよ。お願いねアリス。」

アリスは今日はレイラ達の執務室で書類整理を手伝っていた。

「手伝わせてごめんね、アリス。」

アルマが礼をする。

「いえいえ、居候ですからこのぐらいはしますよ。」

アリスがせっせと書類をまとめて綴じていく。

クゥはアリスの隣でお昼寝の真っただ中。

と、執務室の扉がノックされる。

「どうぞ。」

ウィリアムが答えると執事が入って来て「エルヴィス家より手紙が参っております。」とレイラ宛の手紙を置いて退出していった。

「レイラ宛だよ。」

「はい、どうも。」

と、ウィリアムからレイラに手紙が渡り、レイラが中を確認する。

「んー??これはアリス宛じゃないかしら?」

と、レイラがアリスに手紙を回す。

「何でしょうか?」

と、アリスが受け取り中を確認する。

「タケオ様宛ですね。

 仕立て屋組合の工場の用地確保のプレゼンを勝手にするからという伝言ですね。」

「前に言っていたトレンチコートの工場かぁ。

 仕立て屋の店長さんもやる気ね。」

レイラが頷く。

「うちの兵士達用にもお願いしたからね。

 想定よりも多くを納入する為に早く動かないといけないだろうね。」

ウィリアムが書類から顔を上げて言ってくる。

「あら?そうなの?」

アルマが聞いてくる。

「そうだよ。

 と、2人には言ってなかったかな?

 エルヴィス家の次に納入されるのがうちに決まっているんだよ。」

「えーっと・・・うちの予定が兵士向けの900着でしたが、ウィリアム殿下達はいくつを頼まれたのですか?」

「うちは850着だね。

 どうせ騎士団も毎日フルプレートを着ないだろうからね。

 なら全員分をお願いしたんだよ。」

「なるほど。」

「まぁ実際はまだ契約書でやり取りはしていないけどね。

 とりあえず最短でいつ納品できるのかの確認中なんだよね。」

「あぁ、だからプレゼンが前倒しになったのですね。

 タケオ様を待ってしまうと時期がそれだけずれ込みますから。」

「だね。

 いつになるかなぁ・・・異動前に納品されるのかな?」

「そうですね。

 お爺さまにその辺の事も連絡しておきます。」

「うん、アリスお願いね。」

レイラが朗らかに言う。

「はい。」

と、アリスはエルヴィス爺さんに返事を書き始めるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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